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第四章 遠征編
淫夜☆
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「アトゥイー」
マルスはマントを脱ぐと、ぐったりと倒れているファーリアの身体を包んで抱き上げた。マルスの腕の中で、ファーリアは瞼を伏せて震えている。マルスは貴賓客用の寝室に戻り、ファーリアを寝台に横たえると、女中を呼んだ。間もなく女中が湯と布を持ってきた。
女中がファーリアの身体の汚れを拭き取ろうと、固く絞った布で触れた途端、ファーリアはびくんと跳ねた。女中は驚いて、困った顔をしている。その様子を見て、マルスが言った。
「よい。下がれ」
女中が退出し、寝室は二人きりになった。とうに日は落ちて、オアシスの木々の影の合間に星が瞬いている。
マルスはファーリアの全身を丁寧に拭っていく。布が肌を行き来する度に、ファーリアは躰をくねらせた。まだ薬が効いている。時折、布が傷口に当たると、眉根を寄せて微かに喘ぎ声を漏らした。それが却って艶めかしい。
「あぁあ……やぁん……」
乾いた真っ白なシーツの上で、ファーリアの躰が悶える。
「あ、あ、あ、苦……し……どう、したら……ぁあんっ、ハァん」
熱い吐息が漏れて、か細い声が苦しげに啼く。
マルスはたまらずファーリアの唇を塞いだ。
ファーリアは最初、ひく、と舌を縮めたが、すぐにねっとりと舌を絡めてきた。血はもう出ていない。
唇を離し、また重ねる。ファーリアの熱い吐息の合間に、マルスの息遣いも徐々に激しくなっていく。ファーリアがしがみつくようにマルスの身体に腕を絡めてくる。
「……抱いて……」
濃厚な口づけの隙間に、ファーリアが囁く。
「抱いて……おねがい……おねがい……抱いて……おねがい……」
小鳥の囀るような甘やかな声で、繰り返す。
マルスはファーリアの背に腕を回して、どさりと寝台に寝かせると、自身もその上に覆い被さった。唇を数度、奪うように喋むと、そのまま唇を首筋へと滑らせる。
「あ……っ」
びくんと反応した躰を、大きな身体で押さえつけるようにして、唇はなおも下へと滑り落ちていく。形よく上を向いた乳房を愛おしむように唇を這わせ、先端を喰む。
「んっ、あ……」
ファーリアの唇から、甘い吐息が漏れた。マルスは舌で乳首を優しく舐め転がし、また唇で挟んだ。
「んん――っ……」
マルスの身体の下で、ファーリアが身をくねらせる。さらさらとした肌が擦れ合い、しっとりと濡れたそこがマルスの太腿に当たった。
マルスはその濡れそぼった割れ目に指を這わせる。ファーリアはびくんと腰を浮かせた。
「ファー……リア」
ふと、目の前の肌に焼き付けられた文字を、マルスは読んだ。
「はぁ……ん」
ファーリアは目を閉じたまま、一瞬だけ幼い子供のような顔をした。母親に抱かれて眠りに落ちる前の、安心しきった顔。
「……ファーリア?」
「ん……」
マルスの胸板に、甘えるように頭を擦り付けてくる。
「これは、そなたの名か……?」
マルスが優しく頭を撫でた。
「ファーリア」
「ん……抱い……て……」
そう言って、ファーリアはマルスの胸に口づけする。
「ファーリア」
こんな姿は見たことがないな、とマルスは思った。普段のファーリアは言葉も少なく表情にも乏しい。男と寝る時にはこんな声で甘えるのかと、新鮮な気持ちで眺める。
(いや、だが……)
マルスはいつか口づけを躱されたことを思い出す。
辺境伯に飲ませられたという淫薬が効いているせいか。今のファーリアは、相手がマルスであることにも気付いていないかもしれない。
「……ファーリア……」
(正気でないなら、抱かぬほうが良い――)
そう思っても、目の前で美しい裸身をくねらせて誘われれば、さすがに理性を保ってはいられない。
「……私のほうが、正気でいられなくなるではないか……」
マルスはふっと苦笑した。
そしてふたたびファーリアの割れ目に片手を伸ばし、指を沈めた。
「……っあっ……ハァ……ん……っ」
背中を弓なりに反らせ、ファーリアが身悶える。マルスはそのほっそりした躰をもう片方の腕できつく抱き締めると、割れ目の間の感じやすい突起を擦り上げた。
「……っ、くぅ――ん……」
ファーリアは小さな声を漏らして、唇を噛み締める。快感に耐えようとする表情がなんとも悩ましく、それに反応して硬く膨らんだ自身のものを自覚して、マルスはまた苦笑した。
マルスは濡れた膣に指を沈めた。温かく脈動する内壁が、侵入者を悦ぶように指に吸い付いてくる。そしてもっと奥へと誘導するように、腰を振る。
「ん――――っ、んんっ」
いい場所に当たったのか、唇をきつく噛んで、ファーリアはか細く啼いた。
「どうした。我慢などするな」
マルスの指が、感じる場所を探るように、丹念に中を愛撫する。指の動きに合わせてファーリアの躰がしなり、顔が恍惚に輝いていく。
「感じたままに啼けば良い――」
「…………あ……ああ、ん、あああ―――っ……」
マルスの囁きに応じるように、ファーリアは春の小鳥の叫びのような嬌声を上げ、同時に熱い液を吹いた。
マルスはファーリアの胸に顔をうずめた。
「く……っは……」
咄嗟にびくびくと痙攣した自身の陰茎を握り締めていた。それは硬く膨らみ、これ以上ないほど張り詰めていた。
「……ふ……限界か……」
マルスは自嘲するように呟いた。
その時、うっすらとファーリアが眼を開けた。
マルスはマントを脱ぐと、ぐったりと倒れているファーリアの身体を包んで抱き上げた。マルスの腕の中で、ファーリアは瞼を伏せて震えている。マルスは貴賓客用の寝室に戻り、ファーリアを寝台に横たえると、女中を呼んだ。間もなく女中が湯と布を持ってきた。
女中がファーリアの身体の汚れを拭き取ろうと、固く絞った布で触れた途端、ファーリアはびくんと跳ねた。女中は驚いて、困った顔をしている。その様子を見て、マルスが言った。
「よい。下がれ」
女中が退出し、寝室は二人きりになった。とうに日は落ちて、オアシスの木々の影の合間に星が瞬いている。
マルスはファーリアの全身を丁寧に拭っていく。布が肌を行き来する度に、ファーリアは躰をくねらせた。まだ薬が効いている。時折、布が傷口に当たると、眉根を寄せて微かに喘ぎ声を漏らした。それが却って艶めかしい。
「あぁあ……やぁん……」
乾いた真っ白なシーツの上で、ファーリアの躰が悶える。
「あ、あ、あ、苦……し……どう、したら……ぁあんっ、ハァん」
熱い吐息が漏れて、か細い声が苦しげに啼く。
マルスはたまらずファーリアの唇を塞いだ。
ファーリアは最初、ひく、と舌を縮めたが、すぐにねっとりと舌を絡めてきた。血はもう出ていない。
唇を離し、また重ねる。ファーリアの熱い吐息の合間に、マルスの息遣いも徐々に激しくなっていく。ファーリアがしがみつくようにマルスの身体に腕を絡めてくる。
「……抱いて……」
濃厚な口づけの隙間に、ファーリアが囁く。
「抱いて……おねがい……おねがい……抱いて……おねがい……」
小鳥の囀るような甘やかな声で、繰り返す。
マルスはファーリアの背に腕を回して、どさりと寝台に寝かせると、自身もその上に覆い被さった。唇を数度、奪うように喋むと、そのまま唇を首筋へと滑らせる。
「あ……っ」
びくんと反応した躰を、大きな身体で押さえつけるようにして、唇はなおも下へと滑り落ちていく。形よく上を向いた乳房を愛おしむように唇を這わせ、先端を喰む。
「んっ、あ……」
ファーリアの唇から、甘い吐息が漏れた。マルスは舌で乳首を優しく舐め転がし、また唇で挟んだ。
「んん――っ……」
マルスの身体の下で、ファーリアが身をくねらせる。さらさらとした肌が擦れ合い、しっとりと濡れたそこがマルスの太腿に当たった。
マルスはその濡れそぼった割れ目に指を這わせる。ファーリアはびくんと腰を浮かせた。
「ファー……リア」
ふと、目の前の肌に焼き付けられた文字を、マルスは読んだ。
「はぁ……ん」
ファーリアは目を閉じたまま、一瞬だけ幼い子供のような顔をした。母親に抱かれて眠りに落ちる前の、安心しきった顔。
「……ファーリア?」
「ん……」
マルスの胸板に、甘えるように頭を擦り付けてくる。
「これは、そなたの名か……?」
マルスが優しく頭を撫でた。
「ファーリア」
「ん……抱い……て……」
そう言って、ファーリアはマルスの胸に口づけする。
「ファーリア」
こんな姿は見たことがないな、とマルスは思った。普段のファーリアは言葉も少なく表情にも乏しい。男と寝る時にはこんな声で甘えるのかと、新鮮な気持ちで眺める。
(いや、だが……)
マルスはいつか口づけを躱されたことを思い出す。
辺境伯に飲ませられたという淫薬が効いているせいか。今のファーリアは、相手がマルスであることにも気付いていないかもしれない。
「……ファーリア……」
(正気でないなら、抱かぬほうが良い――)
そう思っても、目の前で美しい裸身をくねらせて誘われれば、さすがに理性を保ってはいられない。
「……私のほうが、正気でいられなくなるではないか……」
マルスはふっと苦笑した。
そしてふたたびファーリアの割れ目に片手を伸ばし、指を沈めた。
「……っあっ……ハァ……ん……っ」
背中を弓なりに反らせ、ファーリアが身悶える。マルスはそのほっそりした躰をもう片方の腕できつく抱き締めると、割れ目の間の感じやすい突起を擦り上げた。
「……っ、くぅ――ん……」
ファーリアは小さな声を漏らして、唇を噛み締める。快感に耐えようとする表情がなんとも悩ましく、それに反応して硬く膨らんだ自身のものを自覚して、マルスはまた苦笑した。
マルスは濡れた膣に指を沈めた。温かく脈動する内壁が、侵入者を悦ぶように指に吸い付いてくる。そしてもっと奥へと誘導するように、腰を振る。
「ん――――っ、んんっ」
いい場所に当たったのか、唇をきつく噛んで、ファーリアはか細く啼いた。
「どうした。我慢などするな」
マルスの指が、感じる場所を探るように、丹念に中を愛撫する。指の動きに合わせてファーリアの躰がしなり、顔が恍惚に輝いていく。
「感じたままに啼けば良い――」
「…………あ……ああ、ん、あああ―――っ……」
マルスの囁きに応じるように、ファーリアは春の小鳥の叫びのような嬌声を上げ、同時に熱い液を吹いた。
マルスはファーリアの胸に顔をうずめた。
「く……っは……」
咄嗟にびくびくと痙攣した自身の陰茎を握り締めていた。それは硬く膨らみ、これ以上ないほど張り詰めていた。
「……ふ……限界か……」
マルスは自嘲するように呟いた。
その時、うっすらとファーリアが眼を開けた。
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