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第1章 反乱軍討伐戦

反乱軍鎮圧 01

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「この宙域の反乱軍艦隊は、全て撃沈されました」
 敵殲滅の報告の後に、味方艦隊の被害報告がなされ、その内容は大破1、中破5、小破8であった。

 フランは、救護艦に負傷者の救護、工作艦に被害を受けた艦の修理、各艦への補給を命じると、ここで初めて両親と通信をおこなう。

 通信がつながると、父親である国王シャルル・ガリアルムとその後ろに王妃アン・ガリアルムが目の前に映し出される。
すると、艦橋にいるルイを始めとした乗組員は起立して敬礼を行う。

 国王は答礼すると乗組員達に作業に戻るように促し、フランに話しかけようとすると、彼女の方から会話を始める。

「父上、母上、ご無事で何よりです。色々お話したい事はありますが、まだ反乱軍艦隊は少数とはいえ健在であり、主星でも反乱軍が今も跋扈しております。私は準備が済み次第その討伐に向かわねばなりません。お話は事が全て済んでから、ゆっくり致しましょう」

フランの話を聞いた国王は、何か言いたそうであったが、その言葉を飲み込み一言だけ彼女に述べた。
「フラン。くれぐれも、気をつけてな…」
 続けて後ろにいた王妃も愛娘を気遣う言葉をかける。
「フラン、無理はしないでね…」

 両親の自分を気遣う言葉を聞いたフランは、先程までの冷静な表情が崩れて、少しだけ頬笑を浮かべながらこう返した。
「父上と母上も、お体にはお気をつけて」

 ルイが親子の対面を邪魔してはいけないと思って、モニターに自分が写り込まないようにするために艦橋の入口付近にいると、入室してきたロイクがその光景を見て、彼にだけ聞こえるようにこう言った。
「流石の『性悪ゴスロリ姫』も、両親の優しさに触れると、感傷的になるみたいだな。鬼の目にも涙だな」
「またそんな事を…。フラン様に聞かれたら、怒られますよ?」
 ルイはロイクに敬礼してから、そう言葉を返した。

 すると彼は答礼してから、ルイにこう言い返してくる。
「それもそうだな。ルイ君、もちろん、黙っていてくれるよな?」
「…はい」
 ルイは正直に報告しても、誰も幸せにならないので黙っていた方がいいだろうと、判断して彼にそう返事を返した。

 ルイの返事を聞いたロイクは、彼の肩に手を置くとこの様に言ってくる。
「いやー、君はイケメンだけどいい奴だな。君とならいい友好関係が結べそうだ」
 イケメンとリア充の嫌いなロイクだが、ルイとは何故か馬が合い仲良くなれそうだと思って、友誼を結んでいる。

 ルイも彼の事は一言多いが、初めて会った時から何故か馬が合う気がして嫌いではなく、今も友好関係を築いている。

 話の終わった二人がフランの方を見ると、彼女の方もすでに通信を終えており指揮官席から立ち上がると、二人の方に歩いてきて微笑しながら話しかけてくる。
「二人共、会議室でゆっくりと話そうか?」
「あっ…はい…」
 二人はその微笑を見て全てを悟り大人しくそう返事をして、フランの後に付いて会議室に向かった。

 会議室では、ロイクが『性悪ゴスロリ姫』と言った罰で、ルイがそれを黙認しようとした罰(本当はルイが自分よりロイクとの友誼を選んで、自分に報告せずに黙認した事と、折角勇気を振り絞って部屋に誘ったのに断った罰と、艦橋にいる女性士官を見ていた罪)で正座の刑に処されていた。

 なおルイには、膝の上にフランが座る彼女曰くの『罰という名のご褒美』の、彼にとっては罰が課されていた。

(何だ、アレは? 新手のプレイか? どっちにしても、バカップル爆発しろ!)
 ロイクは正座しながらその二人の光景を見て、心の中でそう思っていた。

 そうしている内に、会議室のドアが開いてこの艦に移乗してきたクレール・ヴェルノンが入ってきて、ルイとフランのその様子を見ると冷静な顔で敬礼してからこう尋ねた。
「フランソワーズ殿下、お呼びにより参上いたしましたが、どうやらお取り込み中だったようですね。また時間を改めて参りましょうか?」

 彼女のその問いかけにフランは、ルイの膝の上に座ったまま何食わぬ顔で答礼した後にこう答える。
「いや、かまわん。これは、罰でやっているだけで特殊な逢瀬を楽しんでいるわけではないからな。現にそこで『童の者』にも、罰を与えているからな。どうだ、クレール。アナタもそこの者の膝の上に乗って、罰を与えてみるか?」

 フランが閉じた洋扇で、ロイクを指しながらクレールにそのような提案をすると、彼女は少し考えた後にこう答えた。
「いえ、辞めておきます。『童の者』にそのような事をすれば、妊娠させられるかもしれません」

 そのクレールの返しを聞いたロイクは、すぐさま反論する。
「膝に座ったぐらいで、妊娠なんてするか! あと、ど、ど、ど、ど、【童の者】ちゃうわ!」
 そして、そう勢いよく言った後に、ルイに自信のない顔で尋ねる。
「しないよね?」
「たぶん…」
【童の者】であるロイクには真偽はわからないので、彼はイケメンだから知っているだろうという偏見でルイに尋ねるが、彼もまた未経験なために自信なさそうにそう答えた。
 もちろんフランにも無い為答えられずに、洋扇で顔を隠して目線を逸らしている。

 会議室に気まずい空気が暫く流れた後に、フランがルイの膝から立つと罰を受けている二人にも、立つように指示を出して椅子に座ると、会議室のドアが新たに開いてヨハンセンが入室してくる。

 彼は会議室内に入って敬礼した後に謝罪する。
「申し訳ありません、部下に指示を出していて少し遅れてしまいました。ユーリ・ヨハンセンお呼びにより参上しました」

 フランは答礼した後に、ヨハンセンに遅れてきた事を不問としてから席に座るように促し、彼が着席するとこれからの事について話し始める。





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