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第8章 少女新たなる力で無双する(予定)

297話 四天王戦開始

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 前回のあらすじ?

 <10月1日 午前8時 馬車の中>

 馬車に揺られること既に3時間、料理を作る会場に向かっていると思っていたソフィーも、流石に何かがおかしいと気づき始める。

 ㋞「ちょっと、一体どこまで行く気なのよ」
 ㋐「もう少しで、現場に着くから」

 ㋞「そもそもキッチンなら、屋敷でもよかったじゃない!」
 ㋐「<新鮮な野菜>をと思って」

 ㋞「新鮮な野菜? …まあ、新鮮なことに越したことはないと思うけど…」

 ソフィーは新鮮な野菜を採るために、何時間も掛けて畑に向かっているのだと思いそれなら仕方がないと納得することにした。

 更に一時間、馬車はあまり整備されていない田舎道を走り、畑の近くに馬車を停めると一同はあぜ道を少し歩いて目的地の畑に向かって歩いていく。

 ㋐「目的地の畑はここだよ」
 ㋞「目的地って、ここはただの<荒れ地>じゃない!」

 ソフィーの言う通り、アキが指し示した場所は、雑草が生い茂るまさに<荒れ地>であった。
 そして、その荒れ地の前には立て札が刺されており、こう書かれている。

 <シェフ ソフィー秋野菜スペシャル 農園予定地>

 ㋐「ここで、畑を耕して安心安全の<新鮮な野菜>を、1から作りましょう!」
 ㋞「アナタ、馬鹿じゃないの!!? 馬鹿じゃないの!!!」

 ソフィーの心の底からのツッコミという名の罵声が、アキに浴びせられる。

 ㋐「ソフィーちゃん、いつまでそんな小綺麗なシェフの格好をしているの? 早く馬車の中で、用意している農作業ができる服に着替えてきて」

 ㋞「何が”着替えて来なさい”よ! 私は納得していないのよ!」

 アキは予想通りのソフィーの罵声をスルーして、彼女に作業着に着替えるように指示を出すと、それに対して当然拒否するソフィー。

 ㋛「よーし! 頑張って、畑を耕そうー!」
 ㋐「よーし、いっぱい耕すぞー!!」

 紫音とアフラは農作業着に着替えて、ヤル気満々で準備運動を始めている。

 ㋞「なんで、アナタ達はそんなにヤル気なのよ!? そもそも、素人だけで畑なんて作れると思っているの!?」

 ㋐「そこは、ちゃんと専門家を呼んでいるよ。ご紹介します、ハンス・ミュッケさんです」
 ハンス・ミュッケ(以後㋯)「よろしくお願いします」

 アキに紹介されて現れたのは、初老の男性でこの道数十年のベテラン農家であり、この荒れ地の持ち主であり、今回のアドバイザーでもあり、プロデュサー(カリナ)のお父さんである。

 ㋞「ミュッケさん。ちなみに… 今日植えたとして、いつ収穫出来るんですか?」
 ㋯「最低でも3ヶ月から4ヶ月かな」

 ㋞「冬どころか春になるじゃない!!」
 ㋐「じゃあ、企画名変更だね!」

 <シェフ ソフィー  畑から開墾して、料理する春野菜スペシャル>

 ㋞「そういう問題じゃないわよ! もう、今日は料理しないってことでしょう? お姉さまに作って貰った<パイ生地>はどうしてくれるのよ!!」

 ㋐「帰った後に、夕食で使えばいいんじゃない?」

 そうさらっと答えたアキに、ソフィーは怒りのツッコミを放つ。

 ㋞「何をしれっと言っているのよ! アナタ達のせいで、お姉さまのパイ生地が腐るかもしれないのに! それに、私は畑仕事をするなんて一言も言ってないのよ! 私は帰るんだから! 帰ってパイ生地が腐る前に料理するんだから!」

 ソフィーの怒りの抗議に、アキはこれまた淡々と答える。

 ㋐「いや、別に仕事放棄して帰ってもいいけど… それなら、”月影”には、契約違反ということで莫大な違約金を払ってもらうことになるけどいいの?」

 ㋞「そっ… それは、困るわ…」

 彼女の所属するクラン”月影”は、財政的に余裕がなく莫大な違約金を払えば、最悪潰れてしまうかもしれない。

 そうなれば、ソフィーへのクリスの評価はパイ生地を腐らせる比ではない。

 ㋞「やるわよ… やればいいんでしょう!? 何ha(ヘクタール)でも、耕してやるわよ!!」 

 ソフィーは半ギレ気味で、今回の本当の企画を承諾する。

 次回へ続く

 #####



 戦況はヒュドラと全ての副官を撃破したため、人間側の優位になっていた。
 リザード軍の数が減ったということは、その分だけ人間側の数的有利を生む。

 激戦によって、人間側にも負傷者はそれなりに出ているが、それでも数では優位に立っており、エレナ達回復役のおかげで負傷者は回復して、戦場に復帰していくためその数的優位は時間とともに広がっていく。

 四天王戦も数的優位のおかげで、ユーウェインとスギハラもレイチェルとスティールと交代して、消耗したオーラや魔力を薬品で回復出来るほど余裕ができていた。

 レイチェルとスティールは、大勢の遠距離攻撃の援護を受けて、四天王の注意を引く役目をこなせている。

 二人は攻撃をしては距離を取り、四天王が攻撃しようとするとそこに遠距離攻撃が浴びせかけられ、流石の四天王も攻撃を中断させられてしまう。

「レイチェル、助かった。後は任せろ!」
「後は任せる!」

 回復を終えたスギハラは、レイチェルと交代するとオリノコにこう言い放つ。

「よう、待たせたな大将。今度は最後まで、相手してやるぜ」
「ニンゲン フゼイガ ナマイキナ!」

「GMファミリア!」

 その時、空気を読まない紫音が命じたGMファミリアが、オーラの刃を纏ってオリノコの頭部を襲い始める。

「オノレ ウットオシイ!」

 オリノコが頭部の周りを飛び回るGMファミリアを、両手に持った二振りの剣で払うとその隙をスギハラが突く。

「そこだ! 鳥嘴!」

 スギハラは縮地で距離を一気に詰めて、オリノコの左側の胴体にオーラを纏った刀で高速の三段突きを繰り出すが、2段目でオリノコが咄嗟に左の武器を彼に振り下ろした為に、突きが命中したのは一撃だけであった。

 だが、オリノコがスギハラを攻撃したと同時に、GMファミリア3つが左側の頭部を攻撃して、それなりのダメージを与える。

「GMファミリアちゃん達、よくやったね」

 紫音は、自分の側に帰ってきたGMファミリア達を褒めると、オーラの大太刀を構えてオリノコに接近して斬撃を繰り出す。

「でやぁ!」
「やあぁ!」

 スギハラと紫音が左右から同時に斬撃をおこなう。

「フン!!」

 だが、流石は四天王オリノコ、足を踏ん張ると微動だにせず、左右の剣で二人の斬撃を受け止める。

 だが、死角から飛んできたリズのGRファミリアから放たれた大きな魔法の矢が、オリノコの頭部に命中してダメージを与えた。

「正気ッスか!? 戦場で止まるなんて!」
「ホーー!」

「グググ…」

 頭部に攻撃を受けて体勢を崩したオリノコに、更にクリスの氷属性魔法フリーズが命中する。

「フリーズ!」

 クリスのフリーズは、本職の魔法使いのような広範囲ではなく一体しか攻撃できないが、それでもオリノコの足元に現れた魔法陣から現れた氷柱は、本職と遜色ないダメージを与えた。

「オノレェ…」

 四人の連携攻撃を受けたオリノコは、瞬く間にかなりのダメージを受けてしまう。

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