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蛸と海女1

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 海は青空を映し、ほどよい暑さが一人の海女の足を海原へと運ばせる。
 じりじりとした日差しは和らぎ、しばらく続いた荒天に夏は陰りを見せていた。
 素足を砂浜につける海女のふくらはぎは砂がさらりと滑るような艶を見せ、若く張った肌に太陽の照りを映していた。
 腰巻からは太ももが露わになり、潜る際に邪魔にならぬよう足の付け根まで上げている。
 近所の村の男どもの一人が、この海女を見た時に「てっぷりと大きくなったカキの剥き身のような太ももしてらぁ、あの海女の太ももをひと舐めすりゃぁ、磯の甘い味がするにちげぇねぇぜ」と品のない笑いを誘っていた。
 上半身は裸で頭には手ぬぐい。ほどよいお椀型の乳がピンと垂直に張って、焦げた乳房の先を彩っていた。
 二十歳を過ぎても嫁がず、顔も悪くはないことから、様々なうわさが付きまとっていた。
 好いた男に先立たれたとか、竜宮城に行きたがっているとか、海坊主に犯され人と交わることを禁じられているとか、海の男たちの酒飲みの席で海女は話を盛り上げる肴になっていたが、特にうわさが絶えないのが漁村を仕切っている村長とのことだ。
 昔は名うての女垂らしだった村長は妻にも先立たれ、もう一物も立たぬじいさまは、あの海女のあわび肉を割って何度も涙潮を舐め取るのが老後の唯一の楽しみだと時折話のネタになった。
 というのも、不自然にも海女の姿が深夜に数度村長の家から出てくるのを見たものがいるのだ。
 海女の耳にはうわさが入ってきていたが、意に介することはなかった。体調を崩した村長を看病しただけで、それ以上のことはまったくなかったのだから。
 海を眺める瞳は大きく、鼻筋は通り、唇は小さい。素足が波に触れ冷たさを伝えた瞬間、海女は太ももにぞくりとした感触を覚え、昨日のことを思い出した。
 五十も近い商人の男で、頭は禿げ上がり太ってはいるが、相撲取りのように多少筋肉が張っている。海産物の卸売りを請け負っていて、海女がとったものは全てその商人が買い取っている。
「今日も大漁じゃないか。特にこのあわびの身の大きくていいこと。今年はこのあたりが最後だねぇ」
 あわびを眺めながらも舐め回すような横目でちらちらと海女の姿を見てくる。
「どうだい。お前のほうのあわびも随分と熟れているんじゃないかい?」
 右側の口角を上げて、いかにも下品な微笑みをしながら、「こっちへ来い」と誘う。
 海女はただ黙って開けられた奥の部屋へと入っていき、恥じらいもなく服を脱ぎ去る。
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