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第5話

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 巨漢の男は部下を全員殺されたことに腹をたてていた。

「おとなしく村をでていくなら見逃してやる」

「何が見逃すだ。部下達を殺されてこのままで済むと思うなよ。このアマが――」

 おとなしく去るつもりはやっぱり盗賊達にはなかった。

 顔面めがけて殴りかかるが、巨漢は斧を盾がわりに僕の攻撃を塞いだ。

 だが、斧はそのまま砕け散った。

「反応はいいけどやっぱり弱いね」

 僕は少し笑みを浮かべて呟いた。

「斧を砕いたくらいで調子に乗るな――」

 斧を砕かれても怯みもせずに巨漢は僕の首を掴み何度を地面に叩きつける。

 どんなに叩きつけられても痛みはなかった。

 痛みより地面に当たる音とぶんぶん振り回すので酔いそうになる方が辛かった。

「なんでこんなにやっているのに効いてねぇんだ」

「もう終わりかい?」

「なんだと‼︎」

 巨漢は僕の顔面を殴るが1ミリも痛みを感じなかった。

 逆に殴った方の巨漢の手が砕かれて痛がっている。

「イッテェ――なんなんだお前の体は鉄にでもなっているのか?」

 痛みに耐えられずその場で膝をついた巨漢。

「もう飽きたから死んでもらうね」

 僕は巨漢の両肩を掴み全身を炎の魔法で燃やしてあげた。

「ぐっあー熱い、熱い許してくれ……」

「灰になるまで燃やし尽くしてやる」

 そうして残ったのは、人間だったのかわからないくらいに黒く焦げた遺体と肉が焼けた匂いだけが残っていた……

 少しは歯応えがあると思っていたが、そうでもなかった。

 木に隠れていたメルさんとリカちゃんは血だらけの父親のそばに駆け寄っている。

「お父さん死なないで」

「お前達が無事でよかった。メル、母さんとリカを頼んだよ……」

 僕もメルさんの父親のところに駆け寄ると僕に話しかけてきた。

「どなたか知りませんが、村と娘達を助けていただきありがとうございます……」

 このままでは死んでしまいそうな雰囲気だったので、メルさんの父親に回復魔法をかけてあげた。

 魔法をかけると父親の体が光出す。

 それと同時に全身の傷という傷を全て塞ぎ、健康な体に回復させる。

「何が起こったんだ?私は生きているのか?」

 父親は何が起こったのかわかっていないようだ。

「回復魔法なんて上級の魔法ですよ。アグルさんて何者なんですか?」

 重症の怪我を治す回復魔法は見たことがないとメルさんは驚いていた。

 ドラゴンからしてみれば回復魔法など簡単な魔法なのでこんなに驚かれるとは思わなかった。

「お兄ちゃん、お父さんを助けてくれてありがとう」

 涙を流しながらリカちゃんはお礼を言ってくれた。

「この恩は忘れません」

 父親は助けてくれたことに感謝し、娘達を抱きしめていた。

 すっかり忘れていたが、村人達にかけていた防御魔法の結界も解いておいた。

「おっ、消えた」

「盗賊はもういないの?」

 何が起こったのかわかっていない人や僕を見て警戒している人もいたが、それでよかった。

「この村を助けていただきありがとうございます」

 後ろから声がして振り向けば老人の人が立っていた。

「私はこの村の村長です」

 彼はこの村の村長で盗賊を倒した僕にお礼がしたくって話しかけてきてくれたようだ。

「宿に泊まれるように手配しましょう」

「いいんですか?」

 お言葉に甘えて今日は村の宿屋に泊めさせてもらうことになった。

 村に小さい宿屋があってそこに泊まらせてもらうことになった。

 村の宿にしては掃除も行き届いていて綺麗な場所だった。

 宿屋を経営しているおばさんとおじさんにも村を助けてくれたことに感謝された。

「村を助けてくれたあんたなら何日でもここに泊まっていきな」

 おばさんは気前よく言ってくれてありがたかった。

 僕が泊まる部屋はベッドと机だけのシンプルな部屋だったけどこの世界に来て初めてベッドで寝ることができるなんてとても嬉しかった。

 ふかふかなベッドに倒れ込み天井を見上げた。

 1人になると色々と考えてしまう。

 住んでいた洞窟はもうない……

 姉は元気にしているだろうか?

 父と母は無事だろうか?

 色々と考え事が頭によぎる。

 あの2人組のドラゴンスレイヤーはなぜドラゴンを殺そうとするのかわからないが、あいつらがしたことを許すわけにはいかない。

 だけど今は両親が無事かどうか探すのが先だ。

 ついでに姉がどこにいるのか探してみるのもいいかもしれない。

 あの洞窟に遺体はなかったのだから2人は生きている可能性がある。

「今日は疲れた……」

 僕はいつのまにか眠りについた……
 





 

 

 
 
 

 

 

 

 

 

 
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