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君の隣は愉しい②《ドクササコ》
しおりを挟む図書室でしか会えない君
会うことを必要としない君
『隣いい?』
『構わないけど、本読んでるだけだぞ』
今日、君が見ているのは、普通の子。
どう見ても、普通の子。
食用じゃなくても、害はなさそうな。
どう見ても、ただ『食・不可』とありそうな。
でも、端の表示はドクロマーク。
僕は解った。
クラスと同じ。一つの写真は怖くない。何とか。
でも、集団で生えている写真は怖い。
皆、見ている。僕を見る。
『こっちに来るな』
『痛い目に遇いたいの?』
『私を食べたらどうなるか知ってる?』
ニヤリッと笑う、クラスの写真も、ドクササコの笑うあの図鑑の写真も、同じだ。
「毒キノコなんだね。何か、普通のキノコみたいに見えるけど、集団で生えられると、イグチとかと同じはずなのに不気味」
「コイツの毒、凄く怖い」
簡単に話すぞ。えっと
───食べた数日後に手足の先や鼻、アソコが腫れて、そこに焼け火箸を刺されたような激痛が1カ月も続くんだって。
ひどいと衰弱死するって。
しかも、毒のせいからじゃなくって、あまりの痛みで自殺例もあるらしい。
厄介なのは、食べてから数日経たないと症状が出ないことだよな。
まあ、そのあまりの痛みと苦しみから「火傷菌」「地獄もたし」という別名があって、有効な治療法は《ない》───だってさ。怖いな。
うん。怖いね。
『全部、怖い』
僕の表情から、怖いのはドクササコだけじゃないことを君は汲み取った。
『大丈夫だ、凛太郎。危険人物が怖い奴分かったんなら近づかなければいいよ。そんな奴、放っておけ。シカトだシカト』
『担任の先生でも?僕は──僕にとって君以外、皆怖い。ドクササコだよ。皆僕を見て嘲う。嘲笑の口唇の形が、つらい。治療法はないんだろ?一生僕にへばりつく。ドクササコなんて、無くなれば良いのに………』
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