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いつもの君に恋してる《白亜編》
白亜、君はまるでアンティーク・ドール《33》
しおりを挟む幼稚園のとき、おばあちゃんからもらっミニリュウのぬいぐるみ。
自慢だった。真ちゃんもポケモンが好きだったから僕はミニリュウのマスコットを学校に内緒で連れていった。
けれど、悪ガキに顔の脇の白い飾り羽根を引っ張られ、羽根は取れそうになり、泥をつけられた。
『白亜に、謝れ!』
べそをかく、僕を笑う悪ガキを本気で怒ってくれた。
ドアが開き現れたのは、琥太郎に手を引かれた大きな手で隠した目元から涙をこぼす真ちゃんだった。
「真ちゃん。僕、知らなくて、酷いこと言った。ごめんね。ごめん。こっちきて」
ケープの髪を払う。真ちゃんを僕は抱きしめた。お菓子の匂いがする。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「俺はこの手で、白亜を叩いた。初めて触れたのが叩くときなんて、最低だ。ごめんな」
「真ちゃん、ずっと大好きだよ。琥太郎を好きになる前だったら、僕は真ちゃんを好きになってた。真ちゃんが直してくれたミニリュウ、今も持ってる。真ちゃん──」
下を向いていた真ちゃんが、顔を上げる。目が合う。真ちゃんが目を丸くする。それに、秀英が何か少し前に話していた。
「真一」
秀英は声を落として言った。
「白亜の出来上がりを楽しみにしてろ。可愛いだろう?唯彦なんかよりずっとな。完成された、貴族のもつドールだよ。白亜自身もある意味ドールだ。心が柔らかくて、悪く言えば幼い。今回はうまく行って良かった。おれも、何だかんだ、二条と同じなんだ。白亜が幸せならいい」
僕は後ろで繰り広げられている言葉をきいていなかった。
ただ、僕は鏡の中の自分に驚いた。髪切るだけでこんなに変わっちゃうの?
「誰これ………」
後ろに立った琥太郎が、僕の両肩に手をのせた。
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