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2部 1章 芸術を愛する都の生活

5)酒の宴と懐かしい友

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 かんぱぁいっ!

 と元魔人・泣人魚族セイレーンの男性の音頭で始まった宴は、その声の特殊性から、あっという間に阿鼻叫喚の戦場になった。

 え? どんなふうにって? 聞いちゃいます? 泣人魚族セイレーンの種族特性・混乱の歌声ですよ?

 あえてお話しするとしたら……

 ねぇ、アルハラって知ってる?

 ってことですかね。 まぁみんなそんな言葉知らないんですけどね。 たぶんラージュさんも知らないはず……かな? 現代社会でやっと言われるようになった言葉ですもんね、と思いながらその光景を今、私は見ています。

 神様、私に『無病息災(ステータス異常無効化)』くれてありがとう。

 前世でお酒は好きだったけど、今この場では未成年でよかったって思っている。

 だってみんなうわばみじゃん?

 日本の神話の頭八個の酒と女が大好きな大蛇の話思い出しちゃったよ、懐かしい。

「フィラン、大丈夫?」

「抜けてこられたの?」

 そんな『阿鼻叫喚! うわばみだらけの大酒豪大会』の中で楽しくお酒を浴びているルナーク様から早々に奪いt……預かったフェリーチタちゃんと会場の隅っこで美味しいご飯に舌鼓を打っていたところ、声を掛けられて振り返った先にあったお顔は。

「マーカス様。」

「あぁ、飲まされそうにはなったけど、流石に未成年だからね。 ロギィ様が守ってくれたよ。」

「えぇ、意外!」

 どっちかと言うと飲ませる方かと思ってたのに守ってたんだ、イケメン!

 見直しましたよロギィさん、めちゃくちゃイケメンですね! と思ってそちらの方を見てみれば、こちらの世界の、獣人、花樹人、なんなら元魔人、その男性の体って造りに差異はないんだな……って遠い目になっちゃうような光景が広がっていて……今の感動返せ、そして自動モザイクかけちゃうような機械かスキルくれ!

 って……思ってたら、料理を作っていた兄様がものすごい勢いで飛んできて、芸人の様な宴会芸をしていたロギィさまと魔人さんを殴り飛ばしたし、一緒に料理していたはずのヒュパムさんが花を抱えてなんかやって……あれ? あんなところにカーテンあったかな?

「なんて汚いものだしてるの! 嫁入り前の女の子もいるのよ! フィランちゃんはあっち向いてなさい!」

 ……ヒュパムさんの怒声が聞こえ……よし、忘れよう!

 私はしれっとマーカス様とフェリーチタちゃんの方を見ると、キョトンとしているマイエンジェル・フェリーチタちゃんと、ドン引きした顔をしているけど伸ばし始めた赤銅の髪にアイスブルーの瞳が輝く美少年からイケメンへ成長中のマーカス様。

「……二人とも、本当に目の清涼剤ですね。」

「いやそこは笑うところじゃないんじゃないか?」

 汚れた視界が綺麗になっていく気がする~と思いながらにっこり笑うと、マーカス様がわざわざそちらと私、そしてフェリーチタちゃんの間に入り、背を向けて壁になるように座った。

「この里の宴は初めて参加したけどすごいな……皇帝陛下! フェレオ将軍閣下! アケロウス宮廷魔術師長様! ってドキドキしながら敬礼してた時の俺だったら気を失ってたかもしれない……。」

 あ、傷心になっちゃったかな……しょうがないよね、だって冒険者とはいえ貴族の次男坊さんだし、憧れの人達があんなのだし。

「まぁ貴族様は見ない光景ですよねぇ……私なんかもう、もっとひどいのさんざん見て来たから、何とも思わないですよ……」

 そう、救急車で運ばれてくる急性アルコール中毒患者の付き添いが待合室で騒ぐとか、キラキラエフェクトそこらへんでぶちかますとか、トイレじゃないところでぶちかますとか、奇声あげて脱ぐとか、ほんとしばき倒してもいいですか? って拳握りしめたかわからないからこれくらい可愛いもんだ。

「この里の人は潔いくらい全員酒癖が悪いんですよ……まぁ裸族までなったのは今回初めてですけどねぇ。 しかしまぁ、人間体だとどんな種族でも、筋肉の量とか以外は大差ないんだなぁってわかったので、勉強になりました。」

 自分の空になったグラスに果実水を入れながらそう返すと、苦笑いしたマーカス様。

「一般的にはこういう時、気絶したり悲鳴上げたりするところなんだけど、フィランはやっぱり変わってるなぁ。」

「……へ?」

 あ、そうか!

 15歳の女の子なら、大量の大人の男のすっぽんぽーん! を見たら悲鳴あげて気を失っちゃうんですね?

 前世が医療職、勤務経験20年超えだから、老若男女様々な体見て来たから何とも思わなかったな! けどそれは言えないから……。

「れ、錬金薬師なので、見慣れているんですよ……」

 そういうことにしておいてください、と思いながらそういうと、そんなもんなのか、すごいな! と褒めてくれたマーカス様。

 そんなわけあるかい! と、突っ込みは不要です、そういうものなんです……。

「で、どうでした? 初遠征!」

 話を変えようとそう聞くと、途端に破顔したマーカス様。

「すごかったよ! 聞きたいか? フィラン!」

 聞きたいか? じゃなくて喋りたいんですよね、解ります!

「はい、ぜひ!」

「今回行ったのはな、西の大国の王都『浮城ルジューズビート』から騎獣で4日かかる上級者ダンジョンだったんだけどな……」

 尋ねれば、それはとても楽しそうに旅の話をしてくれるマーカス様、だがその内容ったら。

 上級者ダンジョンなのにイキッた初心者パーティが入ってきてとりあえず救助クエストから始まり、27階層で調子に乗って潜りすぎちゃった単独冒険者を緊急脱出ゲートに叩き込んだり、60階層で同様にイキッた冒険者ランクB(ぎり上級者)が全滅寸前で救助クエストやったとか……

「待って。救助クエストにいったの?」

「あぁ、いや、到達するまでに救助クエストが4件重なっただけなんだ。 まあでもお陰でほら。」

「……ん? あぁ!」

 胸についているウィンドール家の盾のブローチについていた赤い冒険者のランク証が、金の台座のついた紫色の楕円形の物に変わっている。 つまり。

「SSランク昇級だね! おめでとう!」

「ありがとう、これで次の依頼の参加許可が出たよ。」

「次の依頼はどこなの?」

「次は東の国『タンアレス』だ。 俺は獣人だからね。 ロギィ様と二人で行ってくるよ。」

「あぁ、タンアレス……獣人至上主義の国だね。」

「そう。 でもまぁ、それより、その後のクエスト報酬がすごくてね。 これ、俺と、ロギィ様と、アケロウス様から、フィランへのお土産。」

「わぁい! 嬉しい! ありがとうございます! 開けていいですか?」

「おう、どんどん開けてくれ。 その間は俺がフェリア嬢を見ているから。 フェリア嬢にはこれ、特注品だぞ!」

 亜空間収納機能付き腰の小さなベルト鞄から、絶対入らないだろ! ってくらい大きな袋を引っ張り出して私に渡したマーカス様は、フェリアちゃんを抱き上げると、同じくその鞄から絶対出てこないだろ! と突っ込みたくなるくらい大きなアカオオカミのぬいぐるみを取り出した。

「ほら~。フェリア嬢、がお~だぞ~。」

「きゃ~あ! わんわん!」

 金の飾り紐が飾られたその首元に大喜びで抱き着いたフェリーチタちゃんと、その姿を嬉しそうにみているマーカス様。

「わんわんじゃなくて狼なんだぞ、ガオー!」

 ってお人形遊びを始めましたよ、なかよしさんだなぁ。

 ビオラネッタ様の話を聞かされ、まだ首も座っていないフェリーチタちゃんに会ったのはあの事件の直後。

 あまりにも変わってしまったその姿に対しては何を言うわけでもなく、俺は末っ子だから妹が出来たみたいで嬉しいって、王宮でリハビリの合間に顔を見に行っていた。

 だけど私は知っている。

 ちょっと見ててね、と言われ、室内に二人きりになった時『見習いとはいえ仮にも騎士なのに聖女であり公女であったあなたを守れなくて本当に申し訳ない』と、ベビーベッドに眠る彼女に跪いて静かに泣いていた。

 私はそれを、見なかったことにした。

 見られた事を知られたくないとおもったから……なんて思いだしたけど、今、目の前で繰り広げられている光景は、胡坐をかいて膝の上にフェリーチタちゃんを座らせ、彼女より大きなぬいぐるみでにっこにこで遊んでる二人なわけですが。

 あと、さりげなく自分の種族のぬいぐるみを渡すところが最高に可愛いです、可愛いですよ、マーカス様。

 平和だなぁ。

 そんな幸せな光景をにやにやしながら見つつ、土産袋を縛っている紐をほどいて中をのぞく……と……。

「……。」

「ん? どうかしたか? フィラン。」

「わんわん~!。」

「フェリア嬢、がお~! だぞ、がお~!。 で、フィラン、どうした?」

「えぇと、あの……」

 開けた袋の中には、フェリーチタちゃんのお土産とは違う、なんていうんだろうか……フェリーチタちゃんのお弁当がキラキラのキャラ弁だとしたら、こう男子高校生の茶色いお弁当、みたいな?

「お土産……?」

「そうだぞ、錬金薬師のフィランのために必死で集めたんだぞ!」

 袋の中を覗き込み困惑している私を前に、にっこにこのマーカス様はフェリーチタちゃんを抱っこしているのと反対の手で、器用に中を探っている。

「えっと、こっちが黒竜の鱗で、あ、これは発芽直後の絶叫草だな。 それから火吹き蛙の卵の燻製に……あ、これは今回一番頑張ったやつだ。 水妖精の生え変わった後の落羽。 それからこれは……。」

 次から次に袋から出して私の目の前に並べていく、おどろおどろしい……お土産?

「待って待って、情報量が多すぎる。 なんて?」

 動揺しながら再度説明を求めると、どうした? と素っ頓狂な顔をして出したものを出した順に指差していくマーカス様。

「だから、黒竜の鱗と、発芽直後の……。」

「なんでしょっぱなから黒竜なんて特級害獣指定されてるヤツの鱗が出てくるんですか!」

 そう! 超危険な獰猛で見境なく人や家畜を食い漁る特級害獣・黒竜の鱗が出てくるなんておかしいでしょ!? と訴えてみたはずなんだけど。

「え? 狩ったから?」

「なぜ疑問形なんですか……。」

「79階層だったかな? 突然出てきてさ、流石に吃驚して動けなかったんだけど、気が付いたらロギィ様が首持ってた。」

 ビックリシテウゴケナカッタケドキガツイタラクビモッテタ?

「……瞬殺……?」

「俺、ロギィ様の獣形、初めて見たんだけどシビレた! 格好いいなんてもんじゃない! 獣人だとは知っていたけど、まさか二つ身だと思わなくてさ! 武器と鎧がなかったら俺、敵襲かと思ったもんな。」

「……あぁ、そう……。」

 驚くところ、そこじゃない。

 すごく興奮しているマーカス様にはそうと言わず、私は静かに他に並ぶものを見比べる。

 『フィラン用』なんて可愛く書いた袋はうれしいんだけど、それもこれも特定危険獣や、超希少種の素材。

 いや~もう、お腹いっぱい、嬉しいけど、希少素材本当に嬉しいけれども!

 溜息をついてフェリーチタちゃんを見れば、ぬいぐるみについていた飾り紐を外して自分につけて喜んでいる……可愛いなとよく見たら偉くキラキラな……もしやあれは金糸と宝石編み込まれてる!? しかも飾り紐には何かぶら下がって……。

「……え? なに?」

 よく見れば宝石! 真っ赤な一粒石! しかもデカ!

「ちょっと! マーカス様っ! フェリアちゃんの飾り紐もしかして。」

「あぁ、綺麗だろ? あの時頂いた飾り紐思いだして、ルジューズビートの王都で王室御用達の宝飾店を紹介してもらって作ってもらったんだ。」

 今、なんていった?

「まって、オーダーメイド……? 赤ちゃんに? 宝石を?」

「西では赤ちゃんが出来たら親が幸せを祈って作るらしいんだ。 だからそれを作ってもらったんだ。」

「……キラッキラしているのは宝石糸ですよね……。」

「あぁ、そんなこと言ってたな。 赤子の守り紐を編むときは親の髪の色を編み込むらしいから、ルナック様の黒と、ラージュ様の金にしたんだ! あ、石は俺が今回ダンジョンで拾った紅玉だぞ。 工房にすごくいい研磨士がいてな。 金積んで急いで削ってもらったんだ。」

「……さいですか……。」

 ここまですごいいい笑顔で言いましたけど、そんな急ぎ仕事をさせたいうえに、渡す相手が赤ちゃんって……依頼受けた人もびっくりしただろう……と思ったが、そういえば貴族様なら当たり前なのか、忘れてたわ。

 ここ、庶民だらけの隠れ里だけどな!

「……とりあえずマーカス様は庶民の常識も知った方がいいと思います……。」

「? おぉ、わかった。」

 よくわからないけど、それがいいならそうすると笑ったマーカス様。

 絶対意味わかってないだろうなと思いながら自分のお土産を見返す。

 やっぱり茶色いお弁当なんだよな、色合いが。 あと、グロイ。

 絶叫草の苗なんか、細く裂いた細い布でぐるぐる巻きにされているんだけど、その布にはびっしりと赤いインクを使って、何やら難解な古代文字がめちゃくちゃ書かれているわけですよ、しかも中から呻き声が聞こえるけどいいの? これ。

 宝石とか興味ないけど、なにこの違い……なんでこんながっつり系なの?。

 しかも、それらをにこにこしながらどうやって採ったとかいい顔で説明してくれるマーカス君との対比ぃ!

 怖いってばぁ!

「あぁ、土産を見てましたか。 フィラン。」

 マーカス様の隣にきた師匠(師匠は、裸じゃないよ)が酒の瓶を傾けながら笑った。

「あ、師匠、おかえりなさい。 たくさんお土産ありがとうございます。」

「かまいませんよ。 どういう状況、環境であったとしても、大切に弟子を育てるのが師匠です。 土産からもしっかり勉強しなさい。」

 ん? 何その言い方。

 いやな予感しかしない。

「あ、あの……師匠? 土産から勉強?」

 念のためにそう聞くと、珍しく機嫌よさげに笑った師匠。

 だが、口から出た言葉は不穏だ。

「えぇ、そうです。 例えばいま手に持っている絶叫草。 それは少々特殊な開封作業が必要になります。 今、君はアカデミーで古代文字を習っていますね? その授業をしっかり聞き理解していれば簡単です。 丁寧に解読し手順通りにほどいていくだけです。」

「……それ、間違うとどうなるんですか?」

 ごくん、と息をのんで聞いた私に、師匠はふっと笑った。

「里中にそれの絶叫が響くわたるでしょうね。」

 里中に?

 絶叫草の悲鳴が?

 響き渡る!?

「ねぇ、それ、何のテロ行為ですかぁぁぁ!」

 もう絶望。

 抜くときにはその悲鳴に気を付けるように(聞いたら魂抜かれちゃうかもしれないからね、本当に!)っていう事がしっかり決められている生物に対して、なんでそんな手の込んだことするんですか!

「普通に鉢植えにして帰ってきてくれればよくないですか!?」

「大丈夫ですよ、君がアカデミーでしっかり古代呪術学を勉強していればきちんと読める程度の古代文字です。 あぁ、そうそう、1週間すると中の絶叫草は枯れてしまいますからそれまでに解いて植えるんですよ。」

「いっ!?」

 古代文字の解明を1週間でやれと!?

「1週間なんて無理だよ、師匠の馬鹿ぁっ!」

 古代文字の辞書なんて持って帰ってきてないよぉ! と絶望しながらなんとかそれに『時の流れをゆっくりにする魔法』をかけようとするが、かける端からはじかれました!

「なんで?!」

「師を舐めては困ります。」

「鬼かぁっ! マーカス様! ちょっとフェリアちゃんお願いっ! 教科書と参考書取りにアカデミーまで行ってく……っいったぁ!」

 泣きながら慌てて立ち上がろうとしたところに、ガンッ! と旋毛に重い痛みを感じた。

「慌てるな。 ほら、これは俺からだ。 喜べ、妹よ。」

 旋毛に落ちてきたナニカを手に振り向けば、黄金の短髪に黄金の瞳、ちょっと若返ったんじゃありませんか? ってくらい生き生きと笑い、酒瓶から直接酒を飲んでいるルフォート・フォーマ前皇帝のラージュさん。

「脳天にこんなもん押し付けられて喜べない!」

「そうか? よく見てみろ?」

 手に抱えたものを頭から下ろしてみると、くっそ分厚い古い本……?。

 ん? 待てよ、この本はっ!

「あぁぁ! 古代魔術書の中でも最も入手困難と言われる白金の書! ヒュパムさんの図書館にもない奴!」

「俺からの土産だ。 嬉しかったらお兄ちゃんと呼んでいいんだぞ。」

「ありがとうございます、大変うれしいですが、それはノーサンキューです! まだ怒ってるんでっ!」

 そうきっぱり言い切って、本を抱きしめる。

「お前、根に持つんだな。」

「あんなことに巻き込みやがったうえに何言ってるんですが、当たり前ですっ!」

 ふん! とそっぽを向きながら本を眺めていると、まったく、と笑いまじりにいったラージュさん。

「お前は本当に面倒くさいやつだなぁ。 ……もうこんな時間か。 そろそろお開きだ、『旅団員』以外は帰れ。」

 パンパン、とラージュさんが手を叩くと、そこにいた人たちは、なんだかんだと言いながらご機嫌千鳥足で会場を出ていった。

「よし、じゃあ私も帰ろ~。 お土産ありがとうございました。 ルナークさん、かえりますよぉ~!」

 とマーカス様からフェリーチタちゃんを受け取り、こちらもご機嫌千鳥足のルナークさんのところへ行こうとした時だった。

「おいこら、待て、お前。」

「グェ!」

 服の後ろを掴まれた私は、蛙がつぶれちゃったときに出すような声を上げた。

「何するんですか、苦しい!」

「何するんですか、じゃねえよ。 お前も旅団員だろう。」

 ニヤッと笑ったラージュさん。

 いやな予感がするっ!!

「さ、俺らの家に行くぞ。 ほら、マーカスも来い。」

「はい、ラージュ様!」

 そう答えたマーカス様の後ろには!

 尻尾!

 しかもなんでちぎれんばかりに振ってるの!? っていうか尻尾あったんだね!

 なんて突込みもできないまま、私は抱き上げたフェリーチタちゃんを落とさないように気を付けながら叫んだ。

「私、明日アカデミーありますから帰らせてくださいぃ~っ!」
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