24 / 163
3章 生活の基盤をしっかりたてよう!
1)店舗完成! 整理整頓のすすめ!
しおりを挟む
「これで今回改築した設備の説明も全部終わったが、何か質問や修正してほしいところはあるか?」
「ありません! どこもかしこも完っ! 璧っ! です!」
「じゃあ、これで工事は終わりじゃな! みんな、お疲れさん!」
「お疲れさまでした、ありがとうございました~!」
わー! っと喜んでいる六人くらいのカーペンターな獣人、花樹人それからドワーフの親方に頭を下げると、私は二階から降ろしていた、重くて大きな布袋を二つわたした。
中身は昨日のうちにマルシェで買ってあったお酒と腸詰め肉で、これは私の一方的な偏見なのかもしれないけど、カーペンター系の仕事の人は絶対お酒好きそうっ! と思ったからだ。
「これ、お礼です。 こんなかわいいお店にしてくれてありがとうございました!」
「なんだ、子供のくせに気を使わんでも良かったのに! まあ用意してくれたものを無碍にするのは大人げない、ありがたくもらおう。」
快く受けとってくれた親方が花樹人に渡すと、獣人の人が覗き見てガッツポーズで酒盛りだ――! と喜んでらっしゃる……良かった!
そんな弟子たちに苦笑いをしながら親方は私の頭を撫でてくれる。
で。
「しかしまぁ今日一日でよく……」
弟子に苦笑いしていた親方は、今度は私の後ろを見て苦笑いした。
「あれだけ薬草を摘んだもんだな……」
「あはは……自分でもやりすぎたと思ってます。」
親方の目線の先にあるのは籠5つ分の山盛りの薬草。
私の背丈に合わせて背負って使える籠や、大きな薬草を干す用の籠、一時保管用の両手を丸めたくらいの少し深めの籠がみっつ、薬草でいっぱいになって裏庭へ続く扉の横に積んである。
お部屋が青臭い?
そんなことは気にするな!
「ちょっと調子に乗っちゃって収穫してしまって。 なので擦り傷用の傷薬とか試作品ですけど、できたらギルドに届けておきますね、あの籠と物干し竿のお礼に!」
「あぁ、喜んで使わせてもらうよ!」
家の改装以外の、生活仕様の籠や、洗濯物や摘み取った薬草を干すための大規模な物干し台を端材で作ってくれた親方に代金は? と聞けば、好きでやったことだからお金は受け取らない、と言われてしまったので私のできる範囲でのお礼の方法を考えた結果だ。
カーペンターなお仕事は、なにやら擦り傷とかが絶えないと言っていたので、これから試作するお薬をもらって貰えないかと提案したら喜んでもらえた。
で、すくすく育つ薬草たちを今が採り時! とばかりに収穫していたらあんなことになり……今度は入れるものがなくって慌てていたところ、追加で薬草採取用の籠を編んでくれたというわけで、張り切りすぎて親方たちの余計な仕事を増やしてしまったことをここに心から反省します。
そんな私の顔に気がついたのか、親方はまた、頭を撫でてくれた。
「薬、楽しみにしとるよ。 じゃあまた仕事があったら呼んでくれ!」
「はい! ありがとうございました!」
「ちゃんと戸締りはしろよぉ~」
手を振って帰っていった親方たちを見送って、言われた通りお店の戸締りをする。
腕輪を近づければしっかり鍵はかかるので、一安心。
セキュリティ完璧、最高!!
万歳! と手を上げてから振り返って店内を見れば、とってもかわいいお店がそこにある。
イメージは……う~ん……いばらの森の美女……お菓子のおうちの魔女……少し惜しい! もう一声、えっと……長靴をはいた猫的な……あれ? かけ離れたな……えぇい、なんかもう、とってもかわいいお店! 嬉しい!
「よし、そしたらまず、荷物の仕分けから始めようかな。」
誰に言うでもなく口に出すと、店舗の奥、簡易的なキッチンやお風呂などの水回りとその横に食料棚を作ってもらった部屋に入り、編んでもらった籠を並べ、一昨日押し付け……もとい、お礼にといただいた大量の紙袋から一つずつものをだして何が入っているのか確認していく。
「これは美味しいクッキー、こっちは……クラッカー? 非常食として保存がきくものはこっちの籠に入れておこう。 おやつはこっちで、果物はこっち……これは瓶詰の……果物?」
『それは岩梨のシラップ付け。 喉が痛いときに舐めたり、お湯で割って飲んだりするんだよ?』
「わぁ! びっくりした!」
くるん、と私の目の前で身をよじって回ったのは、摘み取った薬草が乾燥したり鮮度が落ちたりしないように見張っていてくれた木の精霊のエーンート。
「エーンート、よく知ってるね。」
『僕は、お薬つくりによく呼ばれるからね。』
これは梅雨柿の干したのだよ、と、その隣にあるビンも教えてくれる。
「ありがとう、こっちの物はよくわからないから教えてくれて助かるよ~。」
『これくらいなら、いくらでも教えてあげられるから、フィラン、お願いして~。』
「じゃあ、エーンート。 仕分け作業のお手伝いお願いします。」
『はぁい!』
岩梨のシラップ漬けと梅雨柿の干したのが入った瓶を下の方の棚に並べる。
「えぇと、紅茶の葉と……こっちは昨日もらったお高いほうの紅茶……よし、とっておきのおやつや紅茶はこっちの箱に入れて、普段使いはすぐ手が届くこっちに……。 あ、筆記用具が入ってる、嬉しい! それから塩漬け肉とハーブのお肉? 冷蔵庫ないけど……知識の泉、生物の管理方法を検索。」
――各家の地下収納は、水の力を借りて涼しいつくりとなっているので、一般的にはそういうところに保管しています。
「なるほど。 地下収納って……あ、これか。」
あたりを見回して、自分の下にあった床の仕掛け扉を引けば、前世目線では深さが1メートルくらいの、収納がある。
手を入れてみれば、かなりひんやりしている感じだ。
「結構冷たい! 冷蔵庫と冷凍庫の間くらいかな? とりあえずは十分だね!」
よしよし、と小さめの籠を何個か入れて仕切ると、そこに合わせて塩漬け肉や魚の燻製を入れて蓋を閉める。
「袋のクッキーとかは密閉できる瓶に入れて……。 あ! ポーションが3種類も入ってる! 自分で作るときの見本にさせてもらおう。 お、本がいっぱいはいってる! 薬草辞典に、地理の教科書みたいなのと、歴史書? それから神話? よし、これはお店の棚に入れて、店番しながら読も~。 あとはこれで一通り片付いたから、次は作業ブースかな。」
積み上げた本を傍らにおいて、最後の紙袋を折りたたんだ。
紙って高いはずなのに、ギルドはこんな立派な本とか筆記用具とか、紙袋普通にくれたなぁ……袋は棟梁のところにお薬持っていくときに使えるように大事にとっておこう。
前世でもエコバックはやってたけど、紙袋もリサイクルしてたな……
と、前世の貧乏性が発動して……ふと、思った。
そういえば紙が高価ってことは、お薬をどうやって売ろう……。 エコ的に手持ちの瓶で量り売りなのかな?
「知識の泉、検索。 薬の売り方」
――一概には言えませんが、液状のものは瓶を使用します。 粉を固めた物や、粉状の物は瓶、または布袋やそのほかの容器に入れて売るのが主流です。
「瓶か……」
いちいちいろんなサイズの瓶を用意するのかなり面倒くさいし、コストかかりそう……。
大きな瓶に一週間分くらいためて作って、お客さんが持ってきた瓶や袋を使って量り売りして容器代の分は安くするといいのかな……
「いや、でもそれだと衛生と湿気の面の問題もあるよね。 気は進まないけど、熊のお兄さんにこのアイデア聞いてもらって意見をもらうか……よし、そう決まればひとまず薬作らなきゃね!」
商品がなければなにも始まらないもんね! と、準備を始める。
『錬金薬術の道具、あるの?』
「昨日ね、いただいたものがあるんだ。」
店舗と水回りの部屋を仕切る扉を上げると、例の籠から取り出した錬金調薬の機材一式を丁寧に取り出して接客カウンターと反対側にある商品陳列棚の一部を変形させて作ってもらった作業台の上で組み立てて、綺麗な布で乾拭きする。
上と下は落下防止の魔法のかかった商品陳列棚で、椅子に座ってちょうどいい高さに広く作業スペースを作ってもらって正解だった。
飴色で木目が綺麗に出ている作業台はつやつやで触っていて気持ちがいい。
掃除ついでにひとしきり満足いくまで机をなでてから、薬効抽出用の機材や、天秤、乳鉢、薬研、蒸留用の機材も順番にセットすると、なんだかお店の中もそれらしくなってきてワクワクしてくる。
「やっぱりここに大きく作ってもらって正解だった! 高さも広さもぴったり、素敵!」
ついつい机をなでなでしちゃう。
当初は自分の部屋を仕切ってもらい、調剤部屋を作ってもらおうと思っていた。
衛生管理やお客さんの出入りで埃や別のものが混入しないようにするためだ。
しかし花樹人のお兄さんが言うには、薬草には匂いが出るものも多いから自室は勧めないと言われ、店舗エリアの接客カウンターの内側をしっかりとガラスで区切り、精霊魔法による空気の清浄化と循環を行えばいい、ということになった。
たしかに個人私室を使うより衛生的だし、原料を二階に持って上がって調薬し、出来たものを一階店舗へ持って降りるという手間がないし、店番をしながらの調剤も可能……というか、一人で店を切り盛りするんだから、逆にそうしないと不便だし前世の調剤薬局もそういえばそんな作りだったと思いだして、じゃあこんな風にしてもらえますか? とアイデアとして聞いてもらった。
そして出来上がってみれば、アドバイス通りにしてよかったと納得できる理想通りの素晴らしい出来栄えだった!
「完っっ璧っ!」
『フィラン、片付け終わった?』
「うん、終わったよ。」
ふわふわと浮きながら後をついてくるエーンートに返事をすると、じゃあ! と、手招きしてきた。
『じゃあ、アンダインも呼んで収穫した薬草を綺麗に洗って、下処理したり乾燥させたりしよう?』
「あぁ、そうだね! よし、頑張ろう!」
水の精霊アンダインを呼び出して、私たちは桶に薬草を広げた。
的確な収穫時期で収穫された薬草たちは、とれたてぴちぴち、抜群の鮮度と状態だ。
ようやく薬師らしくなってきたっ! 頑張るぞー!
「ありません! どこもかしこも完っ! 璧っ! です!」
「じゃあ、これで工事は終わりじゃな! みんな、お疲れさん!」
「お疲れさまでした、ありがとうございました~!」
わー! っと喜んでいる六人くらいのカーペンターな獣人、花樹人それからドワーフの親方に頭を下げると、私は二階から降ろしていた、重くて大きな布袋を二つわたした。
中身は昨日のうちにマルシェで買ってあったお酒と腸詰め肉で、これは私の一方的な偏見なのかもしれないけど、カーペンター系の仕事の人は絶対お酒好きそうっ! と思ったからだ。
「これ、お礼です。 こんなかわいいお店にしてくれてありがとうございました!」
「なんだ、子供のくせに気を使わんでも良かったのに! まあ用意してくれたものを無碍にするのは大人げない、ありがたくもらおう。」
快く受けとってくれた親方が花樹人に渡すと、獣人の人が覗き見てガッツポーズで酒盛りだ――! と喜んでらっしゃる……良かった!
そんな弟子たちに苦笑いをしながら親方は私の頭を撫でてくれる。
で。
「しかしまぁ今日一日でよく……」
弟子に苦笑いしていた親方は、今度は私の後ろを見て苦笑いした。
「あれだけ薬草を摘んだもんだな……」
「あはは……自分でもやりすぎたと思ってます。」
親方の目線の先にあるのは籠5つ分の山盛りの薬草。
私の背丈に合わせて背負って使える籠や、大きな薬草を干す用の籠、一時保管用の両手を丸めたくらいの少し深めの籠がみっつ、薬草でいっぱいになって裏庭へ続く扉の横に積んである。
お部屋が青臭い?
そんなことは気にするな!
「ちょっと調子に乗っちゃって収穫してしまって。 なので擦り傷用の傷薬とか試作品ですけど、できたらギルドに届けておきますね、あの籠と物干し竿のお礼に!」
「あぁ、喜んで使わせてもらうよ!」
家の改装以外の、生活仕様の籠や、洗濯物や摘み取った薬草を干すための大規模な物干し台を端材で作ってくれた親方に代金は? と聞けば、好きでやったことだからお金は受け取らない、と言われてしまったので私のできる範囲でのお礼の方法を考えた結果だ。
カーペンターなお仕事は、なにやら擦り傷とかが絶えないと言っていたので、これから試作するお薬をもらって貰えないかと提案したら喜んでもらえた。
で、すくすく育つ薬草たちを今が採り時! とばかりに収穫していたらあんなことになり……今度は入れるものがなくって慌てていたところ、追加で薬草採取用の籠を編んでくれたというわけで、張り切りすぎて親方たちの余計な仕事を増やしてしまったことをここに心から反省します。
そんな私の顔に気がついたのか、親方はまた、頭を撫でてくれた。
「薬、楽しみにしとるよ。 じゃあまた仕事があったら呼んでくれ!」
「はい! ありがとうございました!」
「ちゃんと戸締りはしろよぉ~」
手を振って帰っていった親方たちを見送って、言われた通りお店の戸締りをする。
腕輪を近づければしっかり鍵はかかるので、一安心。
セキュリティ完璧、最高!!
万歳! と手を上げてから振り返って店内を見れば、とってもかわいいお店がそこにある。
イメージは……う~ん……いばらの森の美女……お菓子のおうちの魔女……少し惜しい! もう一声、えっと……長靴をはいた猫的な……あれ? かけ離れたな……えぇい、なんかもう、とってもかわいいお店! 嬉しい!
「よし、そしたらまず、荷物の仕分けから始めようかな。」
誰に言うでもなく口に出すと、店舗の奥、簡易的なキッチンやお風呂などの水回りとその横に食料棚を作ってもらった部屋に入り、編んでもらった籠を並べ、一昨日押し付け……もとい、お礼にといただいた大量の紙袋から一つずつものをだして何が入っているのか確認していく。
「これは美味しいクッキー、こっちは……クラッカー? 非常食として保存がきくものはこっちの籠に入れておこう。 おやつはこっちで、果物はこっち……これは瓶詰の……果物?」
『それは岩梨のシラップ付け。 喉が痛いときに舐めたり、お湯で割って飲んだりするんだよ?』
「わぁ! びっくりした!」
くるん、と私の目の前で身をよじって回ったのは、摘み取った薬草が乾燥したり鮮度が落ちたりしないように見張っていてくれた木の精霊のエーンート。
「エーンート、よく知ってるね。」
『僕は、お薬つくりによく呼ばれるからね。』
これは梅雨柿の干したのだよ、と、その隣にあるビンも教えてくれる。
「ありがとう、こっちの物はよくわからないから教えてくれて助かるよ~。」
『これくらいなら、いくらでも教えてあげられるから、フィラン、お願いして~。』
「じゃあ、エーンート。 仕分け作業のお手伝いお願いします。」
『はぁい!』
岩梨のシラップ漬けと梅雨柿の干したのが入った瓶を下の方の棚に並べる。
「えぇと、紅茶の葉と……こっちは昨日もらったお高いほうの紅茶……よし、とっておきのおやつや紅茶はこっちの箱に入れて、普段使いはすぐ手が届くこっちに……。 あ、筆記用具が入ってる、嬉しい! それから塩漬け肉とハーブのお肉? 冷蔵庫ないけど……知識の泉、生物の管理方法を検索。」
――各家の地下収納は、水の力を借りて涼しいつくりとなっているので、一般的にはそういうところに保管しています。
「なるほど。 地下収納って……あ、これか。」
あたりを見回して、自分の下にあった床の仕掛け扉を引けば、前世目線では深さが1メートルくらいの、収納がある。
手を入れてみれば、かなりひんやりしている感じだ。
「結構冷たい! 冷蔵庫と冷凍庫の間くらいかな? とりあえずは十分だね!」
よしよし、と小さめの籠を何個か入れて仕切ると、そこに合わせて塩漬け肉や魚の燻製を入れて蓋を閉める。
「袋のクッキーとかは密閉できる瓶に入れて……。 あ! ポーションが3種類も入ってる! 自分で作るときの見本にさせてもらおう。 お、本がいっぱいはいってる! 薬草辞典に、地理の教科書みたいなのと、歴史書? それから神話? よし、これはお店の棚に入れて、店番しながら読も~。 あとはこれで一通り片付いたから、次は作業ブースかな。」
積み上げた本を傍らにおいて、最後の紙袋を折りたたんだ。
紙って高いはずなのに、ギルドはこんな立派な本とか筆記用具とか、紙袋普通にくれたなぁ……袋は棟梁のところにお薬持っていくときに使えるように大事にとっておこう。
前世でもエコバックはやってたけど、紙袋もリサイクルしてたな……
と、前世の貧乏性が発動して……ふと、思った。
そういえば紙が高価ってことは、お薬をどうやって売ろう……。 エコ的に手持ちの瓶で量り売りなのかな?
「知識の泉、検索。 薬の売り方」
――一概には言えませんが、液状のものは瓶を使用します。 粉を固めた物や、粉状の物は瓶、または布袋やそのほかの容器に入れて売るのが主流です。
「瓶か……」
いちいちいろんなサイズの瓶を用意するのかなり面倒くさいし、コストかかりそう……。
大きな瓶に一週間分くらいためて作って、お客さんが持ってきた瓶や袋を使って量り売りして容器代の分は安くするといいのかな……
「いや、でもそれだと衛生と湿気の面の問題もあるよね。 気は進まないけど、熊のお兄さんにこのアイデア聞いてもらって意見をもらうか……よし、そう決まればひとまず薬作らなきゃね!」
商品がなければなにも始まらないもんね! と、準備を始める。
『錬金薬術の道具、あるの?』
「昨日ね、いただいたものがあるんだ。」
店舗と水回りの部屋を仕切る扉を上げると、例の籠から取り出した錬金調薬の機材一式を丁寧に取り出して接客カウンターと反対側にある商品陳列棚の一部を変形させて作ってもらった作業台の上で組み立てて、綺麗な布で乾拭きする。
上と下は落下防止の魔法のかかった商品陳列棚で、椅子に座ってちょうどいい高さに広く作業スペースを作ってもらって正解だった。
飴色で木目が綺麗に出ている作業台はつやつやで触っていて気持ちがいい。
掃除ついでにひとしきり満足いくまで机をなでてから、薬効抽出用の機材や、天秤、乳鉢、薬研、蒸留用の機材も順番にセットすると、なんだかお店の中もそれらしくなってきてワクワクしてくる。
「やっぱりここに大きく作ってもらって正解だった! 高さも広さもぴったり、素敵!」
ついつい机をなでなでしちゃう。
当初は自分の部屋を仕切ってもらい、調剤部屋を作ってもらおうと思っていた。
衛生管理やお客さんの出入りで埃や別のものが混入しないようにするためだ。
しかし花樹人のお兄さんが言うには、薬草には匂いが出るものも多いから自室は勧めないと言われ、店舗エリアの接客カウンターの内側をしっかりとガラスで区切り、精霊魔法による空気の清浄化と循環を行えばいい、ということになった。
たしかに個人私室を使うより衛生的だし、原料を二階に持って上がって調薬し、出来たものを一階店舗へ持って降りるという手間がないし、店番をしながらの調剤も可能……というか、一人で店を切り盛りするんだから、逆にそうしないと不便だし前世の調剤薬局もそういえばそんな作りだったと思いだして、じゃあこんな風にしてもらえますか? とアイデアとして聞いてもらった。
そして出来上がってみれば、アドバイス通りにしてよかったと納得できる理想通りの素晴らしい出来栄えだった!
「完っっ璧っ!」
『フィラン、片付け終わった?』
「うん、終わったよ。」
ふわふわと浮きながら後をついてくるエーンートに返事をすると、じゃあ! と、手招きしてきた。
『じゃあ、アンダインも呼んで収穫した薬草を綺麗に洗って、下処理したり乾燥させたりしよう?』
「あぁ、そうだね! よし、頑張ろう!」
水の精霊アンダインを呼び出して、私たちは桶に薬草を広げた。
的確な収穫時期で収穫された薬草たちは、とれたてぴちぴち、抜群の鮮度と状態だ。
ようやく薬師らしくなってきたっ! 頑張るぞー!
11
お気に入りに追加
691
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ヒロインの双子の姉に転生したので妹と一緒に自由を目指します!
星崎 杏
ファンタジー
妹に頼まれたアイスを買いにコンビニに行った帰りに、子供を庇って車に引かれたら、神様に謝罪され、妹が好きな乙女ゲームの世界に転生することになった。
ゲームに出てくることのない、ヒロインの双子の姉に転生した。
ヒロインの双子の姉に転生した私と妹の、のんびりスローライフが始まる?!
初めての作品となります。誤字脱字等がありましたら教えてもらえたら嬉しいです。
念のためR15にさせてもらっています。
主人公視点がなかったりしますが、女主人公です。
最強賢者、ヒヨコに転生する。~最弱種族に転生してもやっぱり最強~
深園 彩月
ファンタジー
最強の賢者として名を馳せていた男がいた。
魔法、魔道具などの研究を第一に生活していたその男はある日間抜けにも死んでしまう。
死んだ者は皆等しく転生する権利が与えられる。
その方法は転生ガチャ。
生まれてくる種族も転生先の世界も全てが運任せ。その転生ガチャを回した最強賢者。
転生先は見知らぬ世界。しかも種族がまさかの……
だがしかし、研究馬鹿な最強賢者は見知らぬ世界だろうと人間じゃなかろうとお構い無しに、常識をぶち壊す。
差別の荒波に揉まれたり陰謀に巻き込まれたりしてなかなか研究が進まないけれど、ブラコン拗らせながらも愉快な仲間に囲まれて成長していくお話。
※拙い作品ですが、誹謗中傷はご勘弁を……
只今加筆修正中。
他サイトでも投稿してます。
辺境伯令嬢に転生しました。
織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。
アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。
書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ
さとう
ファンタジー
書籍1~8巻好評発売中!
コミカライズ連載中! コミックス1~3巻発売決定!
ビッグバロッグ王国・大貴族エストレイヤ家次男の少年アシュト。
魔法適正『植物』という微妙でハズレな魔法属性で将軍一家に相応しくないとされ、両親から見放されてしまう。
そして、優秀な将軍の兄、将来を期待された魔法師の妹と比較され、将来を誓い合った幼馴染は兄の婚約者になってしまい……アシュトはもう家にいることができず、十八歳で未開の大地オーベルシュタインの領主になる。
一人、森で暮らそうとするアシュトの元に、希少な種族たちが次々と集まり、やがて大きな村となり……ハズレ属性と思われた『植物』魔法は、未開の地での生活には欠かせない魔法だった!
これは、植物魔法師アシュトが、未開の地オーベルシュタインで仲間たちと共に過ごすスローライフ物語。
女神を怒らせステータスを奪われた僕は、数値が1でも元気に過ごす。
まったりー
ファンタジー
人見知りのゲーム大好きな主人公は、5徹の影響で命を落としてしまい、そこに異世界の女神様が転生させてくれました。
しかし、主人公は人見知りで初対面の人とは話せず、女神様の声を怖いと言ってしまい怒らせてしまいました。
怒った女神様は、次の転生者に願いを託す為、主人公のステータスをその魂に譲渡し、主人公の数値は1となってしまいますが、それでも残ったスキル【穀物作成】を使い、村の仲間たちと元気に暮らすお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる