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番外編-ボーナスステージ-
攻略対象より愛を込めて・3
しおりを挟む放課後、寮の部屋には寄らずオーギュストの部屋へと転移した。
訓練も2日目だ。先に汗を流しておこうと、勝手知ったる他人の部屋で浴室を使わせてもらう。見ればタオルと薄い夜着が用意されていて、大きさからオーギュストのではなく俺のだと判った。
用意したのはエルヴェだろう。本当に出来るヤツだ。
「……はぁ」
魔道具に魔力を流して、湯船にたっぷりと湯を張る。その中にとぷんと浸かりながら、出たのは大きなため息だ。
――昨日の夜、この部屋でオーギュストとエルヴェにじっくり蕩けるほど愛された。
実は1日目はまだ、挿入されていない。二人とも股間がガチガチになるまで興奮していたようなのに、勢いに任せて突っ込んでくることはなかった。理性のバケモノなんだろうか、彼らは。
二人はただ持てる技術の全てを使って俺を愛撫し、快楽を刻み込むだけだった。
足の先から頭のてっぺんの髪の先まで、どろっどろに甘やかされてダメにされてしまった。いつもサロンで洗浄魔法を使われるのとは、全然違う。
唇の触れ方ひとつ、指先で撫でる仕草やこちらを見つめる視線にさえ、俺に対する愛情が込められていた。焼かれて焦がされて奪われる行為ではない。じっくり弱火で炙られて念入りな下ごしらえをされている気分だった。
俺は男なのに、手に絡む指先の強さでさえ加減されて、慈しまれた。
こんな愛され方は知らない。ベッドでの性行為というのは、こんなに恥ずかしいものだと、俺は知らなかったんだ。
実を言うと、閨事のときのフレデリックは少し意地悪で、俺を追い詰めてばかりいる。
俺が耐えられるギリギリの線を知っているから、泣き出す寸前まで追い詰めて弄り回して、快楽に浸してしまう。俺の心を感情ごとめちゃくちゃにするのが好きなんだと思う。
そうなった俺を見ると、フレデリックは心底嬉しそうに笑うから。それがフレデリックの愛し方なんだろう。
それしか知らなかった俺は、オーギュストとエルヴェの手管に戸惑うばかりだった。
こんなにじっくり、反応みながら愛撫されるのは、本当に恥ずかしい。何にも判らなくなるくらい激しいほうが、まだ言い訳がきく。
……そういう俺の『意地』までオーギュスト達は解かして蕩けさせ、自分達の方へ寄りかからせてしまう。
ああコレはダメだ、ダメになってしまう、と思うのに心地良すぎて抵抗できない。ある意味で非常に恐ろしい手管だった。もともと好意は感じているが、それとは違ったむず痒さが生まれてしまう。
「ウォルフハルド、ここにいたのか」
部屋の主、オーギュストがエルヴェを伴って帰ってきた。湯船の中でのびのびしていた俺は、頭をもたげてオーギュストを見上げた。彼はすぐに大きなタオルを広げ、こちらに近づいてくる。
両手を上げると、すっぽりと身体がタオルに包まれ湯船から引き上げられた。ぽん、ぽん、と軽く身体にタオルが当てられて水滴がぬぐわれていく。俺を抱き上げたまま移動したオーギュストは、立派な天蓋付きのベッドに大股で歩み寄る。そしてそこへ、全裸の俺を慎重に降ろした。
「中の洗浄魔法は」
「まだだ。湯につかってただけ」
こくん、と頷いたオーギュストは俺の足の間に陣取り、枕を腰の下に押し込んでからアナルに舌を這わせはじめた。
てち、てち、と猫が舐めるように少しずつ、外側からキレイにされていく。オーギュストの舌が温かくて心地良くて、ん、と甘えるような声が漏れてしまった。もう条件反射でとろとろにされてる。ああ、ダメにされてるなあと思った。
ふと、ベッドの向こうでガラガラと音がしたので、食事のワゴンでも運んできたのかと思い視線を移動すると、エルヴェがにこにこしながら台を押していた。その台の上には、異様なカタチの棒みたいなものが並んでいる。
……うん。これはアレだ、ペニスを模した何かだ。材質は判らないが、用途だけは判る。
「ウォルフハルド様。手配に一日頂いてしまいましたが、ペニスサックをご用意しました。こちらから、団長の性器と似た大きさのモノをお選び頂けますか。今日は流石に入れられませんが、参考にいたします」
す、と顔を上げてオーギュストも台の方を見ていた。大きさがどれくらいか気になるんだろうか。
……俺は一番端にあったヤツを指さした。
この中では一番長くて太く、カリの張った凶悪な見た目をしている。『これで勃起前』と付け足すと、エルヴェは眼鏡を押さえてはぁと小さくため息をついた。気持ちは判る。これなら勃起した後は腕くらいありそうだよな。いっそフィストで練習しろということか。……もの凄く嫌だが。泣きそうなくらい嫌だけど。
「……フィストはイヤだな」
「そんなことは致しません!」
「ウォルフハルド、それはしない」
しないのか、それならいい。
それはさておき、まずはマグナスのサイズよりも先にオーギュストのが入るかどうか試すんじゃなかったか。
俺はジッとオーギュストの股間に視線を向け、昨日改めてマジマジと見たペニスを思い出していた。
オーギュストはフレデリックやエルヴェより体格がいい。身長はエルヴェより少し高い程度だが、騎士団にいそうなほど胸板が厚かった。
腹筋も割れているが、そこを撫でてやると嬉しそうに目元を赤く染めるから、正直可愛い。ペニスは手や足で撫でて何度かイかせたことがある。
女泣かせっぽい大きさで、勃起すると思いのほか凶暴な見た目をしていた。それが俺に対して攻撃性を見せる事はなかったが、太い血管の浮いたペニスは、今後も使用されないのでは勿体ないだろうなとは思っていた。
オーギュストは妻を娶ると継承権問題が発生するので、一生独身だろうと言われている。……いや、俺が貰うからソレはいいんだけどな。絶対に妻娶るより幸せにしてやるから。
「エルヴェ、二輪刺しというのがあると思う」
「え、……ウォルフハルド様?」
「まずオーギュストが慣らしてからお前も入れたらいい」
「ほ、本気ですか……?」
俺はエルヴェに手招きして、その下肢の布を指に引っかけてめくっていった。戸惑うエルヴェの紫色の瞳を見上げながら、頷く。
最終的に目指すサイズを考えると、これが二本入るくらいは耐えられないと無理だろう。多少怪我をしても回復魔法があるから、大惨事にはならない。
「お前も脱いでベッドに上がれ」
「しかし……ウォルフハルド様」
「何度も言わせるな。……脱げ」
多少の威圧を込めて命令すると、エルヴェは1度目を瞑ってから顔を上げ、眼鏡を外した。それを机に置いて、自ら服を脱ぎベッドへ上がってくる。オーギュストには僅かに敵わないがエルヴェの身体もしっかりと筋肉がついている。
側近といえど貴族の令息で、長いこと王家に仕えてきた家門だ。幼い頃はあまり剣術に興味がなかったらしいが、10歳頃を境に瞬く間に力をつけ第二王子の側近候補になったらしい。出世欲だけとも思えないが、エルヴェには何か目的があったんだろうか。
「ウォルフハルド、かまわないか」
「うん」
「……ご奉仕させてくださいウォルフハルド様」
オーギュストが俺の身体を抱き寄せ、エルヴェが美しい仕草で礼をする。俺が頷いてそれを許すと、二人は欲の滲んだ瞳でこちらを見つめながら、俺の身体に触れ始めた。
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