20 / 62
第七話-2
しおりを挟むアデラの話で一番注目すべきところは、このゲームの終着点だった。
ガチムチハーレムを作れとアデラは言ったが、それは何の意図なのかと。物語にはきちんと終着点がある。何をもってして終了とするのか、というのもあった。
曰く、誰を攻略中でも必ずこの国では大規模な魔獣大発生が起きる。
そしてボロボロになったこの国は周辺国に狙われ、戦争の時代へと突入するらしい。
ゲームの主人公であるウォルフハルドは、少しずつレベルアップしながら困難に打ち勝ち、攻略対象と共に戦い抜く。殿下となら国を復興し、フレデリックとなら国を救ったあと大陸を超えた旅に出るという。攻略対象によってエンディングは様々だ。
しかしアデラはこれに納得していなかった。
何にせよ国はぼろぼろになるし復興するとはいえ国が一度滅ぶ。そういうのはなしに大団円というのはないのかと。
これは隠しルートが絶対に存在すると思い前世のアデラが隅々まで攻略したところ、『大団円ガチムチハーレムルート』に到達したのだという。
ストーリー開始となる学院への入学時に一定以上の戦闘能力をもっていると、ルートが分岐する。
攻略対象の四人全てを手に入れた主人公が、自身も大陸最強となり魔獣大発生を食い止めるのだという。
この結果、国は魔獣に蹂躙されず国力を保ったままなので隣国の侵略はあり得ない。それだけでなく主人公の名声も大陸に轟き、この国を軽視する者はいなくなった。
その後は、主人公の動向に王でさえ口出す事が出来ず、また動かすには命令ではなく頭を下げる必要があったという。……こうして主人公のガチムチハーレムルートが成立した。
――その、ガチムチハーレムという名前どうにかならないか。
死んだ魚の目をした俺に、アデラは『あら、デフォルトですから、パーティ名は好きに変えることが出来ますわ』と事も無げに言っていた。
それはパーティ名だったのか……と頭痛がしたところで、時間が足りなくなったので聞き取りは終了した。また時間をとってアデラの知識を吸収しに行こう。
昔からアデラはこの世界の情勢についても『予言』じみた事を言う子供だった。
人々の生活に密着した内容もあったので、これだけは周囲に知られている。例えばアデライードは3歳の頃『この病が流行るので薬をたくさん作っておいて』と言い放ち、父は領民のため迷わず薬や原料の薬草を買い込んだ。
ほどなくして本当に各地でその流行病が蔓延したが、ジラール領には余りあるほど薬が備蓄されていたので事なきを得た。この話をきいた領民は皆アデライードの言葉を信じるようになった。
……この薬にはお隣のヴァロワ領も救われている。だからアデラの『予言』と言えばフレデリックにはすぐに判る。
このガチムチハーレムの話は、洗いざらい全てフレデリックに話した。そうするべきと俺が判断したからだ。フレデリックは唯一無二の親友なので、逃げ回るより協力を仰ぐ方が絶対に良い。
すると真面目な顔で協力するというので、ホッとした。
そして俺は無事に寮の部屋に帰ることができたのだ。
……が、しかし。
「……フレデリック、これは、……だから何か、違わ……ないかっ」
「全然。だってスキルアップしてるし」
今夜も、夜になるとフレデリックは俺のベッドに忍び込んできた。
手早く下穿きを脱がされ、下着も取り払われてペニスを口に銜えられてしまう。ぐぐ、と喉奥まで一気に飲み込まれ狭い筒状の場所に引っかかった。
亀頭がざらついた喉壁に擦られて、腰から力が抜ける。『ぅんっ』と鼻にかかった声が上がった。八つ当たり気味にフレデリックの柔らかい金髪に指を入れ、ぐしゃぐしゃにかき回す。
ペニスを咥えたままでフレデリックは嬉しそうに目を細めた。
口を限界まで開けて男のペニスを頬張る、なんて事をしていてもフレデリックの輝きが失せることはなかった。これまで健康的な美で人々を魅了してきたフレデリックは、最近色気というスパイスが混じったことで今まで以上にモテた。
令嬢の誘いは引っ切りなし、たまに男にも誘われているようだが、フレデリックが俺の側を離れたことはない。寄り道もなく寮の部屋に帰れば、夜もいつも通り一緒だ。
「っぁ、……またっ、そこ……」
「うん、よく解れてきた。初めての場合はこうやって時間かけてじっくり開発するのが良いと思う」
「俺のを開発しても、意味、な、いっ……ぁ、あっ!!」
「大丈夫、大丈夫。予行練習だからな」
11
お気に入りに追加
646
あなたにおすすめの小説
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~
kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。
そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。
そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。
気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。
それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。
魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。
GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。
俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!
しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎
高校2年生のちょっと激しめの甘党
顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい
身長は170、、、行ってる、、、し
ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ!
そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、
それは、、、
俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!!
容姿端麗、文武両道
金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい)
一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏!
名前を堂坂レオンくん!
俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで
(自己肯定感が高すぎるって?
実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して
結局レオンからわからせという名のおしお、(re
、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!)
ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど
なんとある日空から人が降って来て!
※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ
信じられるか?いや、信じろ
腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生!
、、、ってなんだ?
兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる?
いやなんだよ平凡巻き込まれ役って!
あーもう!そんな睨むな!牽制するな!
俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!!
※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません
※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です
※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇♀️
※シリアスは皆無です
終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします
愛されなかった俺の転生先は激重執着ヤンデレ兄達のもと
糖 溺病
BL
目が覚めると、そこは異世界。
前世で何度も夢に見た異世界生活、今度こそエンジョイしてみせる!ってあれ?なんか俺、転生早々監禁されてね!?
「俺は異世界でエンジョイライフを送るんだぁー!」
激重執着ヤンデレ兄達にトロトロのベタベタに溺愛されるファンタジー物語。
注※微エロ、エロエロ
・初めはそんなエロくないです。
・初心者注意
・ちょいちょい細かな訂正入ります。
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
王道くんと、俺。
葉津緒
BL
偽チャラ男な腐男子の、王道観察物語。
天然タラシな美形腐男子くん(偽チャラ男)が、攻めのふりをしながら『王道転入生総受け生BL』を楽しく観察。
※あくまでも本人の願望です。
現実では無自覚に周囲を翻弄中♪
BLコメディ
王道/脇役/美形/腐男子/偽チャラ男
start→2010
修正→2018
更新再開→2023
大好きな乙女ゲームの世界に転生したぞ!……ってあれ?俺、モブキャラなのに随分シナリオに絡んでませんか!?
あるのーる
BL
普通のサラリーマンである俺、宮内嘉音はある日事件に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
しかし次に目を開けた時、広がっていたのは中世ファンタジー風の風景だった。前世とは似ても似つかない風貌の10歳の侯爵令息、カノン・アルベントとして生活していく中、俺はあることに気が付いてしまう。どうやら俺は「きっと未来は素晴らしく煌めく」、通称「きみすき」という好きだった乙女ゲームの世界に転生しているようだった。
……となれば、俺のやりたいことはただ一つ。シナリオの途中で死んでしまう運命である俺の推しキャラ(モブ)をなんとしてでも生存させたい。
学園に入学するため勉強をしたり、熱心に魔法の訓練をしたり。我が家に降りかかる災いを避けたり辺境伯令息と婚約したり、と慌ただしく日々を過ごした俺は、15になりようやくゲームの舞台である王立学園に入学することができた。
……って、俺の推しモブがいないんだが? それに、なんでか主人公と一緒にイベントに巻き込まれてるんだが!?
由緒正しきモブである俺の運命、どうなっちゃうんだ!?
・・・・・
乙女ゲームに転生した男が攻略対象及びその周辺とわちゃわちゃしながら学園生活を送る話です。主人公が攻めで、学園卒業まではキスまでです。
始めに死ネタ、ちょくちょく虐待などの描写は入るものの相手が出てきた後は基本ゆるい愛され系みたいな感じになるはずです。
転生したらBLゲームの攻略キャラになってたんですけど!
朝比奈歩
BL
ーーある日目覚めたら、おれはおれの『最推し』になっていた?!
腐男子だった主人公は、生まれ変わったら生前プレイしていたBLゲームの「攻略対象」に転生してしまった。
そのBLゲームとは、本来人気ダンスヴォーカルグループのマネージャーになってメンバーと恋愛していく『君は最推し!』。
主人公、凛は色々な問題に巻き込まれながらも、メンバー皆に愛されながらその問題に立ち向かっていく!
表紙イラストは入相むみ様に描いていただきました!
R-18作品は別で分けてあります。
※この物語はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる