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1章 チュートリアル
15話 亀戦、その後
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亀は動かなくなり、魔物達は様子を窺っている。中には敵意が消え、森へ戻っていくものも出てきた。
しかし、冬志が中から出てこない。
「大丈夫かな…」
カルミアが心配していると、それを見たウル太郎が、亀の中に入っていった。
少しすると、ウル太郎が冬志を抱えて出てきた。
「トウジ!」
血塗れで項垂れている姿を見て、悲鳴に近い声を上げる。
ウル太郎が冬志を地面にそっと横たえる。
息は、少ないがある。
「どうしようどうしよう…そうだ、回復薬」
腰につけた袋から回復薬を取り出す。それを冬志に飲ませようとする。
…しかし、気絶してるから飲めない。
「回復魔法使えば…」
回復魔法は光魔法の一つで、召喚魔法と同じくらいスキル取得が難しい。
「リク・キラ」
トウジの体が黄色く光る。
頭の傷が塞がる。しかし、一体何をしたのか、外傷より内傷のダメージが大きすぎる。カルミアの回復魔法ではこの傷は治せない。
それでも回復を続ける。
「どうしよう、パラキシアまでも2時間かかるのに、このままじゃ…」
すると、様子を見ていた魔物達が、少しずつ動き始めた。仲間の魔物がカルミア達の周りに移動して、戦闘態勢に入る。
敵の魔物が動き、戦闘が再開する。
「お願い。起きて…お願いだから!」
こんな状態になっている冬志に頼む自分に嫌気がさす。しかし、自分には戦う力がない。
召喚魔法で魔物達を遠くに飛ばしたいが、今回復の手を止めれば、冬志が死んでしまう。そんな気がする。
また、自分は人を死なすのか。
悔しさに涙が流れる。
その時、自分の手元に獣の足が現れる。
「…ッ!、敵っ…?」
その獣はこちらを見つめ、静かに佇んでいる。四足で、二本角。緑色に淡く光っている。
獣は、カルミアへ顔を近づけたと思うと、その目から涙を流し、冬志へ落とす。そこからトウジの体が濃い黄色に光り輝く。
「凄い…」
カルミアが使った回復魔法の上位魔法だ。冬志の体がすぐさま治っていく。
体を触ると、折れていた骨は戻っている。他は確認こそできないが、治っているとわかる。
「あなたは…一体…どうし…て…」
獣がもう一度カルミアへ顔を近づけると、カルミアは眠りについた…
しかし、冬志が中から出てこない。
「大丈夫かな…」
カルミアが心配していると、それを見たウル太郎が、亀の中に入っていった。
少しすると、ウル太郎が冬志を抱えて出てきた。
「トウジ!」
血塗れで項垂れている姿を見て、悲鳴に近い声を上げる。
ウル太郎が冬志を地面にそっと横たえる。
息は、少ないがある。
「どうしようどうしよう…そうだ、回復薬」
腰につけた袋から回復薬を取り出す。それを冬志に飲ませようとする。
…しかし、気絶してるから飲めない。
「回復魔法使えば…」
回復魔法は光魔法の一つで、召喚魔法と同じくらいスキル取得が難しい。
「リク・キラ」
トウジの体が黄色く光る。
頭の傷が塞がる。しかし、一体何をしたのか、外傷より内傷のダメージが大きすぎる。カルミアの回復魔法ではこの傷は治せない。
それでも回復を続ける。
「どうしよう、パラキシアまでも2時間かかるのに、このままじゃ…」
すると、様子を見ていた魔物達が、少しずつ動き始めた。仲間の魔物がカルミア達の周りに移動して、戦闘態勢に入る。
敵の魔物が動き、戦闘が再開する。
「お願い。起きて…お願いだから!」
こんな状態になっている冬志に頼む自分に嫌気がさす。しかし、自分には戦う力がない。
召喚魔法で魔物達を遠くに飛ばしたいが、今回復の手を止めれば、冬志が死んでしまう。そんな気がする。
また、自分は人を死なすのか。
悔しさに涙が流れる。
その時、自分の手元に獣の足が現れる。
「…ッ!、敵っ…?」
その獣はこちらを見つめ、静かに佇んでいる。四足で、二本角。緑色に淡く光っている。
獣は、カルミアへ顔を近づけたと思うと、その目から涙を流し、冬志へ落とす。そこからトウジの体が濃い黄色に光り輝く。
「凄い…」
カルミアが使った回復魔法の上位魔法だ。冬志の体がすぐさま治っていく。
体を触ると、折れていた骨は戻っている。他は確認こそできないが、治っているとわかる。
「あなたは…一体…どうし…て…」
獣がもう一度カルミアへ顔を近づけると、カルミアは眠りについた…
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