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断罪茶番劇の後始末
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「フィーリャ公爵令嬢、皇太子が申し訳ないことをしたわね」
レジーナ皇后は目の前に座る何れ義娘となるはずのフィーリャに詫びた。
盆暗息子のプリンチペ皇太子が学院在学中に平民の阿婆擦れ娘アーヘラとの『真実の愛』に目覚めたとのたまい、あろうことか夜会の場で婚約破棄宣言をし、フィーリャにアーヘラを苛めたなどと冤罪を吹っ掛けたのだ。
「いいえ……皇后陛下が謝罪なさることではございませんわ。こうなることは覚悟しておりましたし。何しろ……」
「そうであるな。3世代続いての茶番ゆえなぁ……」
フィーリャの言葉を引き取ったのはモナルカ皇太后である。
そう、ここに集うレジーナ皇后もモナルカ皇太后も同じような茶番を現在の夫との間で経験しているのだ。
勿論、そうならないように対策は取った。しっかり教育をしたし、婚約者と仲良く信頼関係を築けるようにもサポートした。
茶番の切っ掛けとなる『ピンク頭(物理的にも中身的にも)の平民・元平民の下位貴族』を学園から排除もした。なのに、どこからか湧いてくる。それまでピンク頭(物理的にも中身的にも)じゃなかったはずの娘がいつの間にか染髪しているのだ。
そうしてそれまでそれなりに優秀だったはずの皇子は盆暗へとなり下がる。
魔法や洗脳の可能性も高いと防御魔法や護符・浄化などを試みるが、それも効果はなかった。結局、決まりきった運命でもあるかのように皇子は阿婆擦れに篭絡され冤罪断罪茶番劇を繰り広げ、婚約者とその協力者によって論破プギャーされるのがお約束になっている。
「この国に呪いでもかかっているのかと疑いたくなります」
頭痛が痛いという顔をして、ミニストロ宰相が呟く。疑いたくなるではなく、実際に疑った。高名な神官や聖職者を他国から招聘して、解呪や呪い返しも試してもらった。尤も神官たちは『呪いはないっすねー』とも言っていたが。
「プリンチペは廃嫡します。王籍を剥奪し、去勢を施した後、アーヘラと婚姻させましょう。個人資産を持ち出すことは許可しますが……」
そうきっぱりとレジーナ皇后は言う。個人資産の持ち出しを許すとは寛大な措置に聞こえる。何せプリンチペは皇太子だったのだ。当然それなりの資産を持つ。
だが、これが『寛大な措置』ではないことをここに集う全員が知っている。
皇太子の身に着ける衣服に宝石、佩剣は何れも高価なものだが、所有権はプリンチペではなく皇室にある。個人資産ではないから、プリンチペはパンツ1枚ハンカチ1枚持ち出せない。
潤沢にあったはずのお小遣いという名の資産はアーヘラへの贈り物やら遊びやらで使い切っている。皇太子であるうちはお小遣いの他に『皇太子諸費』という名目で予算が組まれ、自由に使える。尤も本来皇太子諸費は社交や政治活動に使うための費用で、愛人とのデートや贈り物に使うものではないのだが。
しかし、それだけでは足りなかったらしく、プリンチペは『皇太子妃予備費』という皇太子の婚約者に使うための金にまで手を付けた。
余りに予備費の支出が頻繁(何しろアーヘラと出会う前の10倍)だったため、財務省が調べた結果、婚約者であるフィーリャには一切使われていないことが判明した。ゆえにプリンチペはその返還を求められている。つまり借金である。
そして、借金も資産と見なされるのだ。つまり、プリンチペは無一文の上に巨額の借金を負って王家を追放となるわけである。なお、流石にスッポンポンで放逐するわけにはいかないので簡素な衣服と下着と靴は与えられる。
アーヘラに贈った宝石やドレスを売却すれば一部は返済できるだろうが、中古品は新品より安くなる。買取は通常は売値の10分の1以下だ。つまり、プリンチペの借金は10分の1も返せないことになる。
そのため、プリンチペとアーヘラは借金奴隷となって、完済するまで強制労働させられることになるのだ。
レジーナ皇后は目の前に座る何れ義娘となるはずのフィーリャに詫びた。
盆暗息子のプリンチペ皇太子が学院在学中に平民の阿婆擦れ娘アーヘラとの『真実の愛』に目覚めたとのたまい、あろうことか夜会の場で婚約破棄宣言をし、フィーリャにアーヘラを苛めたなどと冤罪を吹っ掛けたのだ。
「いいえ……皇后陛下が謝罪なさることではございませんわ。こうなることは覚悟しておりましたし。何しろ……」
「そうであるな。3世代続いての茶番ゆえなぁ……」
フィーリャの言葉を引き取ったのはモナルカ皇太后である。
そう、ここに集うレジーナ皇后もモナルカ皇太后も同じような茶番を現在の夫との間で経験しているのだ。
勿論、そうならないように対策は取った。しっかり教育をしたし、婚約者と仲良く信頼関係を築けるようにもサポートした。
茶番の切っ掛けとなる『ピンク頭(物理的にも中身的にも)の平民・元平民の下位貴族』を学園から排除もした。なのに、どこからか湧いてくる。それまでピンク頭(物理的にも中身的にも)じゃなかったはずの娘がいつの間にか染髪しているのだ。
そうしてそれまでそれなりに優秀だったはずの皇子は盆暗へとなり下がる。
魔法や洗脳の可能性も高いと防御魔法や護符・浄化などを試みるが、それも効果はなかった。結局、決まりきった運命でもあるかのように皇子は阿婆擦れに篭絡され冤罪断罪茶番劇を繰り広げ、婚約者とその協力者によって論破プギャーされるのがお約束になっている。
「この国に呪いでもかかっているのかと疑いたくなります」
頭痛が痛いという顔をして、ミニストロ宰相が呟く。疑いたくなるではなく、実際に疑った。高名な神官や聖職者を他国から招聘して、解呪や呪い返しも試してもらった。尤も神官たちは『呪いはないっすねー』とも言っていたが。
「プリンチペは廃嫡します。王籍を剥奪し、去勢を施した後、アーヘラと婚姻させましょう。個人資産を持ち出すことは許可しますが……」
そうきっぱりとレジーナ皇后は言う。個人資産の持ち出しを許すとは寛大な措置に聞こえる。何せプリンチペは皇太子だったのだ。当然それなりの資産を持つ。
だが、これが『寛大な措置』ではないことをここに集う全員が知っている。
皇太子の身に着ける衣服に宝石、佩剣は何れも高価なものだが、所有権はプリンチペではなく皇室にある。個人資産ではないから、プリンチペはパンツ1枚ハンカチ1枚持ち出せない。
潤沢にあったはずのお小遣いという名の資産はアーヘラへの贈り物やら遊びやらで使い切っている。皇太子であるうちはお小遣いの他に『皇太子諸費』という名目で予算が組まれ、自由に使える。尤も本来皇太子諸費は社交や政治活動に使うための費用で、愛人とのデートや贈り物に使うものではないのだが。
しかし、それだけでは足りなかったらしく、プリンチペは『皇太子妃予備費』という皇太子の婚約者に使うための金にまで手を付けた。
余りに予備費の支出が頻繁(何しろアーヘラと出会う前の10倍)だったため、財務省が調べた結果、婚約者であるフィーリャには一切使われていないことが判明した。ゆえにプリンチペはその返還を求められている。つまり借金である。
そして、借金も資産と見なされるのだ。つまり、プリンチペは無一文の上に巨額の借金を負って王家を追放となるわけである。なお、流石にスッポンポンで放逐するわけにはいかないので簡素な衣服と下着と靴は与えられる。
アーヘラに贈った宝石やドレスを売却すれば一部は返済できるだろうが、中古品は新品より安くなる。買取は通常は売値の10分の1以下だ。つまり、プリンチペの借金は10分の1も返せないことになる。
そのため、プリンチペとアーヘラは借金奴隷となって、完済するまで強制労働させられることになるのだ。
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