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第十八話……契約!? サラマンダーとの死闘
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「出でよ、火の精霊サラマンダー、そしてその力を全て我に差し出せ!」
私は人里離れた山中で、トロ―ルの集落で見つけた魔法陣を拡げ、スコットに教わったように精霊を召喚した。
今回は戦闘前提なので、サイクロプスの姿で応じる。
「無礼者! 殺シテヤル!」
「!?」
火の精霊サラマンダーは、巨大なトカゲの姿でいきなり現れたかと思うと、恐ろしく不機嫌で、なおかつ高温の炎を私に浴びせかけてきた。
――ズボォォオオオオ!
「ぐぉ!」
マリーから借りた魔法の付与された青白いマントでようやっと防ぐ。
今回のサラマンダー対策の装備だった。
「でやっ!」
――ガシッ
サラマンダーの体を魔法のロングソードで斬りつける。
「ギエェェ!」
流石の精霊も、古代魔法の付与された剣には弱いようで、激しい痛みをこらえているようだった。
「顕現せよ雪の稲妻! アイス・ストーム!」
スコットに教わったばかりの吹雪を発生させる魔法を使った。
強烈な吹雪が雹を伴ってサラマンダーを襲う。
火の属性の相手には効果的なはずだった。
「……誰ガ貴様ト!」
手負いのサラマンダーは、苦しみもが来ながらも、巨大な尻尾や鋭い爪で攻撃してくる。
私は巨人の力をもってして避け、そして受け止める。
この調子で行けば、多分、力勝負なら勝てそうだった。
――ガシュ
――ズシュ
……さらに数合きりつけ、サラマンダーの体から体液が吹きでるも、
「……誰ガ貴様ナンカト契約スルカ!」
……強情な奴である。
どうもこの精霊は、よっぽど私に力を貸したくないらしい。
「この野郎!」
「誰ガ貴様トナンカ!」
――ガシュ
――ガチン
返り血を浴びながらも、精霊に斬りつける。
この激しい消耗戦は、更に4時間以上も続くことになった。
☆★☆★☆
「……ぜいぜぃ」
「……見事ジャ、悔シイガノ……、ヤムヲエマイ!」
死闘の末、遂にサラマンダーは動かなくなり、その体はエネルギー体となって、私の体に吸い込まれた。
「……ふぅ」
「ぽここ~♪」
「やりましたな、旦那様!」
「やったね、ガウ!」
みんなに祝福される。
私も血みどろまみれのボロボロだった。
……しかし、精霊との契約儀式なので一人で戦う必要があったのだ。
「しかし、あんなに長く戦うとは聞いてなかったよ!」
正直に思った不満をスコットにぶつけると、
「そりゃあそうでしょう! 普通は我が剣に力を貸してくれ、くらいのものです! そこを旦那様は、力を全て我に差し出せ! ですからね、そりゃあ精霊も怒るでしょう!」
……え!?
慌ててスコットにもらったカンペの紙に目を通す。
そこにはきっちり【その力を全て我に差し出せ!】と書いてある。
くそっ、また、謀られたらしい。
……しかし、サラマンダーの力は確実に自分の体に宿っているのが実感できた。
魔力の充実感ぶりが相当に上がっている実感があったのだ。
☆★☆★☆
「ガウ、この旗つかうの?」
「丁度あるから、これでいいんじゃない?」
トロールの集落で拾った旗を洗濯して、我が第4小隊の旗とした。
スコットがいうには、この旗は魔法が付与された上質のものらしい。
何が描かれているかは、よくは判らなかったが……。
――数日後。
領都の傭兵団のアジトに顔を出す。
定期招集が掛かっている時期だったからだ。
「次の仕事を説明する!」
団長代理のアーデルハイトさんから依頼の説明がされる。
それを聞き、やりたい任務を各小隊長が選ぶシステムだった。
「……」
「……オーク集落の排除、敵数約100匹。成功報酬金貨3000枚」
「あ、それ、やります!」
「他に誰かないか?」
「……」
「……よし、ガウの小隊はオーク退治だ。頑張れよ!」
「はい!」
初の仕事をGET。
お目当ての報酬は多めである。
ちなみに成功報酬の10%は手終料として、傭兵団に収めるシステムである。
「わらわの初陣じゃの!」
「ぽここ~♪」
「頑張るわよ!」
ポココはともかく、ジークルーンさんもやる気だ。
マリーのおめめは既に【$マーク】だ。
やはり成功報酬が大きいのがやる気の要因の一つだろう。
士気が高いのは大いに素晴らしいことである。
アジトから帰ると、早速、みんなで準備に取り掛かった。
☆★☆★☆
――翌日の昼。
私はオークの集落に偵察に出向く。
彼等の陣容や装備などを明るいうちに確認してから夜襲する計画だった。
「ブヒブヒ」
「ブーブー」
二足歩行のイノシシのような中型の獣人。
それこそが魔族であるオークだった。
彼等の生活スタイルは狩猟採取が主だが、河川などの水辺に集落を作ることから、人間たちに嫌われていた。
湿地帯にならない水辺は、耕作地や居住地として人間が支配したい土地なのだ。
オークも人間も自然に人口が増えると、同じような土地を巡り衝突を起こす。
……自然の摂理だった。
それに加え、魔族と人間というわかり合いにくい関係というものが、それにさらに拍車をかけていったのだった。
「ブヒブヒ!」
「ブーブー!!」
……しまった。
オークの斥候に見つかってしまったのだ。
よく見れば、向こうは老人と若者のオークの二体。
こちらは、スコットとジークルーンと私の3名だった。
密かにヤルしかないか!?
……が、
「ブヒ!」
「ブヒヒ~!」
彼等は慌てて、こちらを敬うように跪いてきた。
……!?
私は一体何なのかさっぱり分からなかった。
私は人里離れた山中で、トロ―ルの集落で見つけた魔法陣を拡げ、スコットに教わったように精霊を召喚した。
今回は戦闘前提なので、サイクロプスの姿で応じる。
「無礼者! 殺シテヤル!」
「!?」
火の精霊サラマンダーは、巨大なトカゲの姿でいきなり現れたかと思うと、恐ろしく不機嫌で、なおかつ高温の炎を私に浴びせかけてきた。
――ズボォォオオオオ!
「ぐぉ!」
マリーから借りた魔法の付与された青白いマントでようやっと防ぐ。
今回のサラマンダー対策の装備だった。
「でやっ!」
――ガシッ
サラマンダーの体を魔法のロングソードで斬りつける。
「ギエェェ!」
流石の精霊も、古代魔法の付与された剣には弱いようで、激しい痛みをこらえているようだった。
「顕現せよ雪の稲妻! アイス・ストーム!」
スコットに教わったばかりの吹雪を発生させる魔法を使った。
強烈な吹雪が雹を伴ってサラマンダーを襲う。
火の属性の相手には効果的なはずだった。
「……誰ガ貴様ト!」
手負いのサラマンダーは、苦しみもが来ながらも、巨大な尻尾や鋭い爪で攻撃してくる。
私は巨人の力をもってして避け、そして受け止める。
この調子で行けば、多分、力勝負なら勝てそうだった。
――ガシュ
――ズシュ
……さらに数合きりつけ、サラマンダーの体から体液が吹きでるも、
「……誰ガ貴様ナンカト契約スルカ!」
……強情な奴である。
どうもこの精霊は、よっぽど私に力を貸したくないらしい。
「この野郎!」
「誰ガ貴様トナンカ!」
――ガシュ
――ガチン
返り血を浴びながらも、精霊に斬りつける。
この激しい消耗戦は、更に4時間以上も続くことになった。
☆★☆★☆
「……ぜいぜぃ」
「……見事ジャ、悔シイガノ……、ヤムヲエマイ!」
死闘の末、遂にサラマンダーは動かなくなり、その体はエネルギー体となって、私の体に吸い込まれた。
「……ふぅ」
「ぽここ~♪」
「やりましたな、旦那様!」
「やったね、ガウ!」
みんなに祝福される。
私も血みどろまみれのボロボロだった。
……しかし、精霊との契約儀式なので一人で戦う必要があったのだ。
「しかし、あんなに長く戦うとは聞いてなかったよ!」
正直に思った不満をスコットにぶつけると、
「そりゃあそうでしょう! 普通は我が剣に力を貸してくれ、くらいのものです! そこを旦那様は、力を全て我に差し出せ! ですからね、そりゃあ精霊も怒るでしょう!」
……え!?
慌ててスコットにもらったカンペの紙に目を通す。
そこにはきっちり【その力を全て我に差し出せ!】と書いてある。
くそっ、また、謀られたらしい。
……しかし、サラマンダーの力は確実に自分の体に宿っているのが実感できた。
魔力の充実感ぶりが相当に上がっている実感があったのだ。
☆★☆★☆
「ガウ、この旗つかうの?」
「丁度あるから、これでいいんじゃない?」
トロールの集落で拾った旗を洗濯して、我が第4小隊の旗とした。
スコットがいうには、この旗は魔法が付与された上質のものらしい。
何が描かれているかは、よくは判らなかったが……。
――数日後。
領都の傭兵団のアジトに顔を出す。
定期招集が掛かっている時期だったからだ。
「次の仕事を説明する!」
団長代理のアーデルハイトさんから依頼の説明がされる。
それを聞き、やりたい任務を各小隊長が選ぶシステムだった。
「……」
「……オーク集落の排除、敵数約100匹。成功報酬金貨3000枚」
「あ、それ、やります!」
「他に誰かないか?」
「……」
「……よし、ガウの小隊はオーク退治だ。頑張れよ!」
「はい!」
初の仕事をGET。
お目当ての報酬は多めである。
ちなみに成功報酬の10%は手終料として、傭兵団に収めるシステムである。
「わらわの初陣じゃの!」
「ぽここ~♪」
「頑張るわよ!」
ポココはともかく、ジークルーンさんもやる気だ。
マリーのおめめは既に【$マーク】だ。
やはり成功報酬が大きいのがやる気の要因の一つだろう。
士気が高いのは大いに素晴らしいことである。
アジトから帰ると、早速、みんなで準備に取り掛かった。
☆★☆★☆
――翌日の昼。
私はオークの集落に偵察に出向く。
彼等の陣容や装備などを明るいうちに確認してから夜襲する計画だった。
「ブヒブヒ」
「ブーブー」
二足歩行のイノシシのような中型の獣人。
それこそが魔族であるオークだった。
彼等の生活スタイルは狩猟採取が主だが、河川などの水辺に集落を作ることから、人間たちに嫌われていた。
湿地帯にならない水辺は、耕作地や居住地として人間が支配したい土地なのだ。
オークも人間も自然に人口が増えると、同じような土地を巡り衝突を起こす。
……自然の摂理だった。
それに加え、魔族と人間というわかり合いにくい関係というものが、それにさらに拍車をかけていったのだった。
「ブヒブヒ!」
「ブーブー!!」
……しまった。
オークの斥候に見つかってしまったのだ。
よく見れば、向こうは老人と若者のオークの二体。
こちらは、スコットとジークルーンと私の3名だった。
密かにヤルしかないか!?
……が、
「ブヒ!」
「ブヒヒ~!」
彼等は慌てて、こちらを敬うように跪いてきた。
……!?
私は一体何なのかさっぱり分からなかった。
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