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第二十四話……新府城築城

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――数日後。



 穴山信君は再び勝頼のもとを訪れる。

 勝頼は胃が痛かったが、話は婚姻の話では無かった。





「ご陣代様! かつてない大勢力である織田家に備えて、韮崎の要害に城を築いては如何でしょう?」



「……ふむぅ」



 武田家は信玄以来、甲斐本国には城を築かない方針であった。

 しかし、東に北条を敵に回した現在。

 織田と戦っている間に、北条が甲斐に攻め込んでくる可能性もあった。



 ……それより、先日の件もある。

 御親類衆筆頭の穴山信君の意見を断りにくい感情が、陣代でしかない勝頼にはあったのだ。

 それにより、この時の勝頼の思考は明らかに曇っていた。





「よかろう、城普請は真田昌幸に命じる!」



「有難き幸せ!」



 こうして、韮崎に城を築くことが決定した。

 城の名は新府城。

 勝頼の名のもとに、多くの国人や領民が動員された。



 なかでも、最も重い材木の負担を担わされたのは、木材産地である木曽谷を治める木曽義昌であった。

 この木曽谷は貧しく、人も少ない。

 この負担はとても堪えたのだ……。





「……なぜ故に、我々にかような苦役を!?」



 彼もまた、妻が信玄の三女である武田御親類衆の重鎮であった。

 同格だと思っている陣代の勝頼の為に、このような辛い負担をするのは、度し難い事だった。 
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