135 / 148
【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ
第百三十五話……N国開放!? ~月面戦争~
しおりを挟む
(……遡ること、一週間前)
――俺は金山豪。
俺は月面戦線まで撤退していた。
主力は月面にあることを考えたら予想の範疇なんだがな……、くくく……。
「S島の自爆成功!」
「おう、よくやった、ざまあみろってんだ!」
S島に設置していた自爆装置が役に立ったようだ。
勝ったとおもったN国の兵士のみなさん乙ってやつだな……。
……しかし、
「謎の大型戦艦が、N国の我が方の戦線に攻撃をかけてきております!」
「どこのふざけた船だ!?」
「船籍は旧カリバーン帝国、識別信号はハンニバルです!」
「ま、またあいつか!?」
「そもそも、どこから湧いてでやがった!?」
……多分、ワームホールからだろう。
厄介な奴だな……。
「支援部隊を出しますか?」
「……いや、イラン!」
「しかし、このままではN国戦線が!?」
「現地の指揮官には死ぬまで戦えと告げろ!」
「……は、はっ!」
……どいつも、こいつもトロいよな。
さっさと金山様の為に、仕事をしろよな。
……不甲斐ないN国戦線は崩壊。
ゴミみたいな部下をもって、俺は不幸せだ。
ついに、奴はここ、月面基地までやってきやがった……。
「敵、大型戦艦接近!」
「迎撃システム稼働、VLS起動!」
「高射砲斉射、用意良し!」
「敵を生きて返すな!」
「砲撃開始!!」
……俺は、迎撃を指揮する。
しかし、あの巨体はすさまじい防御スクリーンをもっていた。
「有効弾無し!」
「ミサイル攻撃も効果なし!!」
「……こ、効果なしだと!?」
「くそう、……この化け物野郎!」
砲撃やミサイルでは、奴のシールドを破れないと見た……。
「艦載機を出せ! 宇宙海獣も全部出せ!」
「了解!」
「艦載機発艦!」
……しかし、すべての戦力は灰燼に帰した。
しかも、奴等は宇宙海獣と会話できるらしい。
チート過ぎるだろ!?
「敵上陸部隊が進出してきました!」
「迎撃戦車隊を出せ!」
「了解!」
……しかし、
「戦車隊全滅!!」
「正面第六ゲート突破されました!」
「この司令部へまっすぐに通路を進撃してきます!」
「げぇ!?」
……なぜ、俺がいる場所が判るんだ!?
奴等は真っすぐこちらに攻めてきていた。
……そうか、わかったぞ!!
情報がバレていた原因が……。
「貴様ら! 裏切ったな!」
「この役立たずが! 死ねぇ!」
――ドンドンドン
俺は腰から拳銃を抜き、司令部の幕僚たちを撃ち殺した……。
「ぐふ!」
背後にいた副官に撃たれた!?
脇腹から血が噴き出る。
「貴様も裏切っていたのか!?」
「金山様、誰も貴方を裏切っておりません、頑張っている我々を裏切ったのは貴方ではありませんか?」
「ごふっ」
……口から血反吐が溢れる。
「貴様ら、お……覚えておけよ……」
――ドンドンドン
「ぐあぁぁぁ……」
☆★☆★☆
「ごふっ!」
「提督大丈夫ですか!?」
「救急班きてくれポコ!」
私は口から血を吐いていた……。
この体でも【眼】の力は使えたのだが、こちらの体はひ弱だ。
情報を得るために、力を使いすぎて、疲労が出てしまった。
「敵司令部制圧!」
「敵地上部隊、司令部要員は降伏の模様!」
……どうやら勝ったようだった。
「私の体をアパートに置いて、皆は帰ってくれ!」
「……でも」
「心配ポコ!」
「パウリーネ様に約束してある、メドが就き次第撤退すると……」
「……もし、私がいなくなった場合には、艦の保有者はクリームヒルトとする……」
それだけ言うと、私の意識は無くなった……。
☆★☆★☆
眼を開けると、見慣れた天井があった。
いつものアパートの中だった。
……すこしホッとした。
死んでいるかと、少し思っていたからだった……。
枕もとには薬がおいてある。
薬の下には『早く元気になってね!』と書置きがあった。
……重たい体を起こし、TVを見る。
『ご覧ください! 西都が解放されました!』
N国国防軍が頑張って、N国首都の西都が解放されたらしい。
……よかった。
自分の活躍も少しは役にたっているよね。
ちなみに、月面基地を攻める前に、例のワームホールの周りに、宇宙機雷を多数設置して置いた。
これによって、ルドミラ教国の兵站線は、かなり苦しくなるはずだった。
N国にいた新カリバーン帝国の残敵は、N国の防衛省に降伏を打電したようだった。
親玉の金山がいなくなったのだ。
当然と言えた……。
南半球のルドミラ教国の軍も、北半球側の国連軍に押されはじめているらしい。
戦況は好転しているようだった。
……TVの電源を落とす。
私は例の如くシャワーを浴びた後、近くのコンビニへ食料を買い出しに行く……。
「ぶっ!」
コンビニのモニター映像で、私の顔が出ていた。
救国の英雄とされていた……。
嬉しいけど、めちゃ恥ずかしくて、買うものだけ買って、走って家に帰った。
「ぜぇぜぇ……」
「金山のような度胸はわたしには無いな……」
家に帰ってご飯を食べる。
少し落ち着いて、お茶を啜る……。
「……さぁ、戻るか!!」
私はVRカプセルに入って、赤いスタートボタンを押す。
白い神経ガスが出て、意識が離れる。
……もはや私の国は、N国ではなくなっていた気がする。
向こうの世界の私が、本当の私な気がしたのだった……。
――俺は金山豪。
俺は月面戦線まで撤退していた。
主力は月面にあることを考えたら予想の範疇なんだがな……、くくく……。
「S島の自爆成功!」
「おう、よくやった、ざまあみろってんだ!」
S島に設置していた自爆装置が役に立ったようだ。
勝ったとおもったN国の兵士のみなさん乙ってやつだな……。
……しかし、
「謎の大型戦艦が、N国の我が方の戦線に攻撃をかけてきております!」
「どこのふざけた船だ!?」
「船籍は旧カリバーン帝国、識別信号はハンニバルです!」
「ま、またあいつか!?」
「そもそも、どこから湧いてでやがった!?」
……多分、ワームホールからだろう。
厄介な奴だな……。
「支援部隊を出しますか?」
「……いや、イラン!」
「しかし、このままではN国戦線が!?」
「現地の指揮官には死ぬまで戦えと告げろ!」
「……は、はっ!」
……どいつも、こいつもトロいよな。
さっさと金山様の為に、仕事をしろよな。
……不甲斐ないN国戦線は崩壊。
ゴミみたいな部下をもって、俺は不幸せだ。
ついに、奴はここ、月面基地までやってきやがった……。
「敵、大型戦艦接近!」
「迎撃システム稼働、VLS起動!」
「高射砲斉射、用意良し!」
「敵を生きて返すな!」
「砲撃開始!!」
……俺は、迎撃を指揮する。
しかし、あの巨体はすさまじい防御スクリーンをもっていた。
「有効弾無し!」
「ミサイル攻撃も効果なし!!」
「……こ、効果なしだと!?」
「くそう、……この化け物野郎!」
砲撃やミサイルでは、奴のシールドを破れないと見た……。
「艦載機を出せ! 宇宙海獣も全部出せ!」
「了解!」
「艦載機発艦!」
……しかし、すべての戦力は灰燼に帰した。
しかも、奴等は宇宙海獣と会話できるらしい。
チート過ぎるだろ!?
「敵上陸部隊が進出してきました!」
「迎撃戦車隊を出せ!」
「了解!」
……しかし、
「戦車隊全滅!!」
「正面第六ゲート突破されました!」
「この司令部へまっすぐに通路を進撃してきます!」
「げぇ!?」
……なぜ、俺がいる場所が判るんだ!?
奴等は真っすぐこちらに攻めてきていた。
……そうか、わかったぞ!!
情報がバレていた原因が……。
「貴様ら! 裏切ったな!」
「この役立たずが! 死ねぇ!」
――ドンドンドン
俺は腰から拳銃を抜き、司令部の幕僚たちを撃ち殺した……。
「ぐふ!」
背後にいた副官に撃たれた!?
脇腹から血が噴き出る。
「貴様も裏切っていたのか!?」
「金山様、誰も貴方を裏切っておりません、頑張っている我々を裏切ったのは貴方ではありませんか?」
「ごふっ」
……口から血反吐が溢れる。
「貴様ら、お……覚えておけよ……」
――ドンドンドン
「ぐあぁぁぁ……」
☆★☆★☆
「ごふっ!」
「提督大丈夫ですか!?」
「救急班きてくれポコ!」
私は口から血を吐いていた……。
この体でも【眼】の力は使えたのだが、こちらの体はひ弱だ。
情報を得るために、力を使いすぎて、疲労が出てしまった。
「敵司令部制圧!」
「敵地上部隊、司令部要員は降伏の模様!」
……どうやら勝ったようだった。
「私の体をアパートに置いて、皆は帰ってくれ!」
「……でも」
「心配ポコ!」
「パウリーネ様に約束してある、メドが就き次第撤退すると……」
「……もし、私がいなくなった場合には、艦の保有者はクリームヒルトとする……」
それだけ言うと、私の意識は無くなった……。
☆★☆★☆
眼を開けると、見慣れた天井があった。
いつものアパートの中だった。
……すこしホッとした。
死んでいるかと、少し思っていたからだった……。
枕もとには薬がおいてある。
薬の下には『早く元気になってね!』と書置きがあった。
……重たい体を起こし、TVを見る。
『ご覧ください! 西都が解放されました!』
N国国防軍が頑張って、N国首都の西都が解放されたらしい。
……よかった。
自分の活躍も少しは役にたっているよね。
ちなみに、月面基地を攻める前に、例のワームホールの周りに、宇宙機雷を多数設置して置いた。
これによって、ルドミラ教国の兵站線は、かなり苦しくなるはずだった。
N国にいた新カリバーン帝国の残敵は、N国の防衛省に降伏を打電したようだった。
親玉の金山がいなくなったのだ。
当然と言えた……。
南半球のルドミラ教国の軍も、北半球側の国連軍に押されはじめているらしい。
戦況は好転しているようだった。
……TVの電源を落とす。
私は例の如くシャワーを浴びた後、近くのコンビニへ食料を買い出しに行く……。
「ぶっ!」
コンビニのモニター映像で、私の顔が出ていた。
救国の英雄とされていた……。
嬉しいけど、めちゃ恥ずかしくて、買うものだけ買って、走って家に帰った。
「ぜぇぜぇ……」
「金山のような度胸はわたしには無いな……」
家に帰ってご飯を食べる。
少し落ち着いて、お茶を啜る……。
「……さぁ、戻るか!!」
私はVRカプセルに入って、赤いスタートボタンを押す。
白い神経ガスが出て、意識が離れる。
……もはや私の国は、N国ではなくなっていた気がする。
向こうの世界の私が、本当の私な気がしたのだった……。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――
黒鯛の刺身♪
SF
半機械化生命体であるバイオロイド戦闘員のカーヴは、科学の進んだ未来にて作られる。
彼の乗る亜光速戦闘機は撃墜され、とある惑星に不時着。
救助を待つために深い眠りにつく。
しかし、カーヴが目覚めた世界は、地球がある宇宙とは整合性の取れない別次元の宇宙だった。
カーヴを助けた少女の名はセーラ。
戦い慣れたカーヴは日雇いの軍師として彼女に雇われる。
カーヴは少女を助け、侵略国家であるマーダ連邦との戦いに身を投じていく。
――時に宇宙暦880年
銀河は再び熱い戦いの幕を開けた。
◆DATE
艦名◇クリシュナ
兵装◇艦首固定式25cmビーム砲32門。
砲塔型36cm連装レールガン3基。
収納型兵装ハードポイント4基。
電磁カタパルト2基。
搭載◇亜光速戦闘機12機(内、補用4機)
高機動戦車4台他
全長◇300m
全幅◇76m
(以上、10話時点)
表紙画像の原作はこたかん様です。
グラッジブレイカー! ~ポンコツアンドロイド、時々かたゆでたまご~
尾野 灯
SF
人類がアインシュタインをペテンにかける方法を知ってから数世紀、地球から一番近い恒星への進出により、新しい時代が幕を開ける……はずだった。
だが、無謀な計画が生み出したのは、数千万の棄民と植民星系の独立戦争だった。
ケンタウリ星系の独立戦争が敗北に終ってから十三年、荒廃したコロニーケンタウルスⅢを根城に、それでもしぶとく生き残った人間たち。
そんな彼らの一人、かつてのエースパイロットケント・マツオカは、ひょんなことから手に入れた、高性能だがポンコツな相棒AIノエルと共に、今日も借金返済のためにコツコツと働いていた。
そんな彼らのもとに、かつての上官から旧ケンタウリ星系軍の秘密兵器の奪還を依頼される。高額な報酬に釣られ、仕事を受けたケントだったが……。
懐かしくて一周回って新しいかもしれない、スペースオペラ第一弾!
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる