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【第四章】さらば地球、遥かなる銀河へ

第百三十五話……N国開放!? ~月面戦争~

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(……遡ること、一週間前)





――俺は金山豪。



 俺は月面戦線まで撤退していた。

 主力は月面にあることを考えたら予想の範疇なんだがな……、くくく……。





「S島の自爆成功!」

「おう、よくやった、ざまあみろってんだ!」



 S島に設置していた自爆装置が役に立ったようだ。

 勝ったとおもったN国の兵士のみなさん乙ってやつだな……。







 ……しかし、



「謎の大型戦艦が、N国の我が方の戦線に攻撃をかけてきております!」



「どこのふざけた船だ!?」



「船籍は旧カリバーン帝国、識別信号はハンニバルです!」



「ま、またあいつか!?」

「そもそも、どこから湧いてでやがった!?」



 ……多分、ワームホールからだろう。

 厄介な奴だな……。





「支援部隊を出しますか?」



「……いや、イラン!」



「しかし、このままではN国戦線が!?」



「現地の指揮官には死ぬまで戦えと告げろ!」



「……は、はっ!」



 ……どいつも、こいつもトロいよな。

 さっさと金山様の為に、仕事をしろよな。







 ……不甲斐ないN国戦線は崩壊。

 ゴミみたいな部下をもって、俺は不幸せだ。



 ついに、奴はここ、月面基地までやってきやがった……。





「敵、大型戦艦接近!」

「迎撃システム稼働、VLS起動!」

「高射砲斉射、用意良し!」



「敵を生きて返すな!」

「砲撃開始!!」



 ……俺は、迎撃を指揮する。

 しかし、あの巨体はすさまじい防御スクリーンをもっていた。



「有効弾無し!」

「ミサイル攻撃も効果なし!!」



「……こ、効果なしだと!?」

「くそう、……この化け物野郎!」



 砲撃やミサイルでは、奴のシールドを破れないと見た……。





「艦載機を出せ! 宇宙海獣も全部出せ!」

「了解!」



「艦載機発艦!」







 ……しかし、すべての戦力は灰燼に帰した。

 しかも、奴等は宇宙海獣と会話できるらしい。

 チート過ぎるだろ!?





「敵上陸部隊が進出してきました!」

「迎撃戦車隊を出せ!」



「了解!」





……しかし、



「戦車隊全滅!!」

「正面第六ゲート突破されました!」

「この司令部へまっすぐに通路を進撃してきます!」



「げぇ!?」



 ……なぜ、俺がいる場所が判るんだ!?

 奴等は真っすぐこちらに攻めてきていた。





 ……そうか、わかったぞ!!

 情報がバレていた原因が……。





「貴様ら! 裏切ったな!」

「この役立たずが! 死ねぇ!」





――ドンドンドン



 俺は腰から拳銃を抜き、司令部の幕僚たちを撃ち殺した……。





「ぐふ!」



 背後にいた副官に撃たれた!?

 脇腹から血が噴き出る。





「貴様も裏切っていたのか!?」

「金山様、誰も貴方を裏切っておりません、頑張っている我々を裏切ったのは貴方ではありませんか?」



「ごふっ」



 ……口から血反吐が溢れる。





「貴様ら、お……覚えておけよ……」





――ドンドンドン



「ぐあぁぁぁ……」







☆★☆★☆



「ごふっ!」



「提督大丈夫ですか!?」

「救急班きてくれポコ!」



 私は口から血を吐いていた……。



 この体でも【眼】の力は使えたのだが、こちらの体はひ弱だ。

 情報を得るために、力を使いすぎて、疲労が出てしまった。





「敵司令部制圧!」

「敵地上部隊、司令部要員は降伏の模様!」





……どうやら勝ったようだった。





「私の体をアパートに置いて、皆は帰ってくれ!」



「……でも」

「心配ポコ!」



「パウリーネ様に約束してある、メドが就き次第撤退すると……」

「……もし、私がいなくなった場合には、艦の保有者はクリームヒルトとする……」



 それだけ言うと、私の意識は無くなった……。







☆★☆★☆



 眼を開けると、見慣れた天井があった。

 いつものアパートの中だった。



 ……すこしホッとした。

 死んでいるかと、少し思っていたからだった……。





 枕もとには薬がおいてある。

 薬の下には『早く元気になってね!』と書置きがあった。





 ……重たい体を起こし、TVを見る。





『ご覧ください! 西都が解放されました!』



 N国国防軍が頑張って、N国首都の西都が解放されたらしい。



 ……よかった。





 自分の活躍も少しは役にたっているよね。



 ちなみに、月面基地を攻める前に、例のワームホールの周りに、宇宙機雷を多数設置して置いた。

 これによって、ルドミラ教国の兵站線は、かなり苦しくなるはずだった。





 N国にいた新カリバーン帝国の残敵は、N国の防衛省に降伏を打電したようだった。



 親玉の金山がいなくなったのだ。

 当然と言えた……。



 南半球のルドミラ教国の軍も、北半球側の国連軍に押されはじめているらしい。

 戦況は好転しているようだった。





 ……TVの電源を落とす。

 私は例の如くシャワーを浴びた後、近くのコンビニへ食料を買い出しに行く……。







「ぶっ!」



 コンビニのモニター映像で、私の顔が出ていた。

 救国の英雄とされていた……。



 嬉しいけど、めちゃ恥ずかしくて、買うものだけ買って、走って家に帰った。





「ぜぇぜぇ……」

「金山のような度胸はわたしには無いな……」





 家に帰ってご飯を食べる。

 少し落ち着いて、お茶を啜る……。 





「……さぁ、戻るか!!」



 私はVRカプセルに入って、赤いスタートボタンを押す。

 白い神経ガスが出て、意識が離れる。





 ……もはや私の国は、N国ではなくなっていた気がする。

 向こうの世界の私が、本当の私な気がしたのだった……。
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