89 / 148
【第二章】赤い地球
第八十九話……違法麻薬を取り締まれ!
しおりを挟む
「重力圏進入と当星への着陸を認める!」
「了解!」
ハンニバルはエールパ星系内の惑星リーリヤの管制部門に許可をとり、着陸モードへと移行する。
「機関大気圏モード移行!」
「……成層圏進入!」
「逆噴射開始!」
「安定翼制御良し!」
ハンニバルの大きな艦体が大気と擦れ赤色する。
耐熱タイルにミクロのヒビが入る……。
「着水完了! 水上航行モードへ入ります!」
「了解!」
ハンニバルは無事に沿海の海へ着水し、水上型の宇宙港へ向かう。
800mもの大型艦だったので、直接宇宙港へは着水できなかったのだ。
……その後、港湾より上陸し、蛮王様の政庁へ乗り合いタクシーで向かった。
☆★☆★☆
「少将、よく来たな! まぁ座れ!」
「はっ!」
私は蛮王様に敬礼し、勧められた椅子に座る。
「今回は交易品調査をしてもらいたい」
「我が領でも禁止薬物の横行が目立ってな……」
「そうなんですか?」
「……ああ」
蛮王様が珍しく暗い表情だ。
領民に麻薬が横行していることを考えれば普通なのだろうが……。
「……では、早速調査にまいります!」
「たのんだぞ! 少将!」
「はっ!」
私は蛮王様の政庁を後にし、すぐに調査に向かった。
……まぁ、ここに来るまでにあるていどの下調べはしてあったのだが。
☆★☆★☆
「手を挙げろ!」
「武器を下に置くポコ!」
とりあえず、怪しいところに踏み込んだ。
武装した精強なドラグニル陸戦隊50名を連れているので、現場の制圧は楽だった。
……制圧現場は、惑星リーリヤの警察施設だった。
だいたい組織犯が捕まらないときは、それを取り締まる側が犯人である場合が多い。
「貴様ここをどこだと思っている!」
「知らないな! 死にたくなければおとなしくしろ!」
逆らうやつを殴り倒し、銃口を向ける。
警察も武力を持つが、軍隊にはかなわない。
しかも、こちらは他所者でシガラミがないので、警察だろうがどこだろうがお構いなしだった。
「な、なんの証拠があって!?」
被疑者である警察幹部は無罪を主張するが、
「これを見ろ!」
星間ギルドというヤバい組織から貴重な情報を、事前に大金で買ってあったのだ。
彼等はお金になれば何でも売るのだ……。
「……」
「つれていけ!」
おとなしくなった警察幹部をハンニバルへ連行する。
その後、警察施設の壁を壊すと、隠されていた違法麻薬が大量に出てきた。
「すごい量ですわね!」
「……これを売ったらお金持ちポコね!」
証人と証拠品も押収。
一旦、ハンニバルに引き返す。
……そして、艦内で尋問を行ったところ。
「我々のアジトは衛星アトラスだ……」
「!?」
とんでもない証言が出てきた。
……なんと私達の支配地にアジトがある!?
☆★☆★☆
尋問で聞き出した場所は、なんとハンニバル開発公社の本社ビルの中だった。
大急ぎで衛星アトラスへ向かう。
「突撃! 抵抗するものは射殺しろ!」
「「「了解!」」」
ドラグニル陸戦隊を重武装で突入させる。
発煙筒や催涙弾も使用させた。
……麻薬の温床がわが社だったとは……。
会社が大きくなって油断していたのだろう。
私の責任だった。
きっと、蛮王様はある程度わかっていて私を呼んだのかもしれなかった。
「突撃!」
麻薬組織のアジトはハンニバル開発公社の貿易二課だった。
……責任者の課長は、すでに星系外へ逃走を済ませていた。
「……提督! これをごらんください!」
「!?」
副官殿に資料を手渡される。
貿易二課のファイルから手に入れた資料には、とんでもないことが書かれていた。
違法麻薬の仕入れ先はカリバーン帝国軍補給課だった。
相手の責任者の名前は、
……リーゼンフェルト大将。
現在もお茶の間のTVで人気の帝国の英雄だった……。
☆★☆★☆
「……まことにすいません」
私はモニター越しに、蛮王様に謝った。
「まぁ、終わったことだしな、次からはしっかり頼むぞ!」
「はっ!」
実は終わってはいないのだが、相手が軍首脳では追及できない。
多分、憲兵部隊から査閲部隊まで全てグルであろうことは予測できたからだ。
警察が黒で、軍隊だけが白なわけはない。
……当然、疑うべきだった。
私は蛮王様への連絡を済ましたあと、社内の綱紀粛正に取り掛かる。
蛮王様に外部調査も依頼した。
現実社会でも、意外と捕まらない悪って、実はこんな事情だったりするのかな?
なんだか気分が暗くなった。
☆★☆★☆
「手を挙げろ!」
「物品は押収しろ!」
その後一週間、惑星リーリヤなどの麻薬販売ネットワークに踏み込み、犯人の検挙に務める。
……どんなに頑張っても、悪の親玉は捕まえることが出来ないのだが。
とりあえず最低限、市民生活を守らなくては。
その後、ハンニバル開発公社は毎月利益の一定額を、惑星リーリヤの医療部門に寄付することにした。
せめてもの罪滅ぼしだった。
今回のことで、自分が足元を見てないことを痛感させられた。
今、気づいて良かったのかもしれない。
私は最近調子に乗っていたのだろう……。
この世界での私は、気ままな一介のサラリーマンでは無かったのだ。
ハンニバルは補給物資を載せ、ラム星系への帰路についた。
今回の件は、とても苦い経験となった。
「了解!」
ハンニバルはエールパ星系内の惑星リーリヤの管制部門に許可をとり、着陸モードへと移行する。
「機関大気圏モード移行!」
「……成層圏進入!」
「逆噴射開始!」
「安定翼制御良し!」
ハンニバルの大きな艦体が大気と擦れ赤色する。
耐熱タイルにミクロのヒビが入る……。
「着水完了! 水上航行モードへ入ります!」
「了解!」
ハンニバルは無事に沿海の海へ着水し、水上型の宇宙港へ向かう。
800mもの大型艦だったので、直接宇宙港へは着水できなかったのだ。
……その後、港湾より上陸し、蛮王様の政庁へ乗り合いタクシーで向かった。
☆★☆★☆
「少将、よく来たな! まぁ座れ!」
「はっ!」
私は蛮王様に敬礼し、勧められた椅子に座る。
「今回は交易品調査をしてもらいたい」
「我が領でも禁止薬物の横行が目立ってな……」
「そうなんですか?」
「……ああ」
蛮王様が珍しく暗い表情だ。
領民に麻薬が横行していることを考えれば普通なのだろうが……。
「……では、早速調査にまいります!」
「たのんだぞ! 少将!」
「はっ!」
私は蛮王様の政庁を後にし、すぐに調査に向かった。
……まぁ、ここに来るまでにあるていどの下調べはしてあったのだが。
☆★☆★☆
「手を挙げろ!」
「武器を下に置くポコ!」
とりあえず、怪しいところに踏み込んだ。
武装した精強なドラグニル陸戦隊50名を連れているので、現場の制圧は楽だった。
……制圧現場は、惑星リーリヤの警察施設だった。
だいたい組織犯が捕まらないときは、それを取り締まる側が犯人である場合が多い。
「貴様ここをどこだと思っている!」
「知らないな! 死にたくなければおとなしくしろ!」
逆らうやつを殴り倒し、銃口を向ける。
警察も武力を持つが、軍隊にはかなわない。
しかも、こちらは他所者でシガラミがないので、警察だろうがどこだろうがお構いなしだった。
「な、なんの証拠があって!?」
被疑者である警察幹部は無罪を主張するが、
「これを見ろ!」
星間ギルドというヤバい組織から貴重な情報を、事前に大金で買ってあったのだ。
彼等はお金になれば何でも売るのだ……。
「……」
「つれていけ!」
おとなしくなった警察幹部をハンニバルへ連行する。
その後、警察施設の壁を壊すと、隠されていた違法麻薬が大量に出てきた。
「すごい量ですわね!」
「……これを売ったらお金持ちポコね!」
証人と証拠品も押収。
一旦、ハンニバルに引き返す。
……そして、艦内で尋問を行ったところ。
「我々のアジトは衛星アトラスだ……」
「!?」
とんでもない証言が出てきた。
……なんと私達の支配地にアジトがある!?
☆★☆★☆
尋問で聞き出した場所は、なんとハンニバル開発公社の本社ビルの中だった。
大急ぎで衛星アトラスへ向かう。
「突撃! 抵抗するものは射殺しろ!」
「「「了解!」」」
ドラグニル陸戦隊を重武装で突入させる。
発煙筒や催涙弾も使用させた。
……麻薬の温床がわが社だったとは……。
会社が大きくなって油断していたのだろう。
私の責任だった。
きっと、蛮王様はある程度わかっていて私を呼んだのかもしれなかった。
「突撃!」
麻薬組織のアジトはハンニバル開発公社の貿易二課だった。
……責任者の課長は、すでに星系外へ逃走を済ませていた。
「……提督! これをごらんください!」
「!?」
副官殿に資料を手渡される。
貿易二課のファイルから手に入れた資料には、とんでもないことが書かれていた。
違法麻薬の仕入れ先はカリバーン帝国軍補給課だった。
相手の責任者の名前は、
……リーゼンフェルト大将。
現在もお茶の間のTVで人気の帝国の英雄だった……。
☆★☆★☆
「……まことにすいません」
私はモニター越しに、蛮王様に謝った。
「まぁ、終わったことだしな、次からはしっかり頼むぞ!」
「はっ!」
実は終わってはいないのだが、相手が軍首脳では追及できない。
多分、憲兵部隊から査閲部隊まで全てグルであろうことは予測できたからだ。
警察が黒で、軍隊だけが白なわけはない。
……当然、疑うべきだった。
私は蛮王様への連絡を済ましたあと、社内の綱紀粛正に取り掛かる。
蛮王様に外部調査も依頼した。
現実社会でも、意外と捕まらない悪って、実はこんな事情だったりするのかな?
なんだか気分が暗くなった。
☆★☆★☆
「手を挙げろ!」
「物品は押収しろ!」
その後一週間、惑星リーリヤなどの麻薬販売ネットワークに踏み込み、犯人の検挙に務める。
……どんなに頑張っても、悪の親玉は捕まえることが出来ないのだが。
とりあえず最低限、市民生活を守らなくては。
その後、ハンニバル開発公社は毎月利益の一定額を、惑星リーリヤの医療部門に寄付することにした。
せめてもの罪滅ぼしだった。
今回のことで、自分が足元を見てないことを痛感させられた。
今、気づいて良かったのかもしれない。
私は最近調子に乗っていたのだろう……。
この世界での私は、気ままな一介のサラリーマンでは無かったのだ。
ハンニバルは補給物資を載せ、ラム星系への帰路についた。
今回の件は、とても苦い経験となった。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したのは俺だけじゃないらしい。〜同時に異世界転生した全く知らない4人組でこの世界を生き抜きます(ヒキニートは俺だけ)〜
カツラノエース
ファンタジー
「お、おい......これはどういうことだ......?」
痩せ型ヒキニートの伊吹冬馬は、今自分が居る場所に酷く混乱していた。
それもそのはず、冬馬は先程まで新作エロゲを買いに行っている途中だったからだ。
なのに今居る場所は広大な大地が広がる草原......そして目の前には倒れている3人の美少女。
すると、たちまちそんな美少女たち3人は目を覚まし、冬馬に対して「ここに誘拐してきたのか!」と、犯罪者扱い。
しかし、そんな4人にはある共通点があった。
それは、全員がさっき死ぬような体験をしたという事。
「まさか......ここ、異世界?」
見た目も性格も全然違う4人の異世界転生スローライフが今始まる。
完結まで書いたので、連続で投稿致します。
スキルガチャで異世界を冒険しよう
つちねこ
ファンタジー
異世界に召喚されて手に入れたスキルは「ガチャ」だった。
それはガチャガチャを回すことで様々な魔道具やスキルが入手できる優れものスキル。
しかしながら、お城で披露した際にただのポーション精製スキルと勘違いされてしまう。
お偉いさん方による検討の結果、監視の目はつくもののあっさりと追放されてしまう事態に……。
そんな世知辛い異世界でのスタートからもめげることなく頑張る主人公ニール(銭形にぎる)。
少しずつ信頼できる仲間や知り合いが増え、何とか生活の基盤を作れるようになっていく。そんなニールにスキル「ガチャ」は少しづつ奇跡を起こしはじめる。
危険な森で目指せ快適異世界生活!
ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・
気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました!
2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・
だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・
出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!
♢ ♢ ♢
所謂、異世界転生ものです。
初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。
誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。
内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。
「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。
※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
異世界の錬金術師 〜数百年後のゲームの世界で目覚めた僕は、最強の女の子として頑張ります〜
フユリカス
ファンタジー
『レベルが999になりました』――アルケミスト・オンライン、通称『AOL』と呼ばれるフルダイブ型のMMORPGでいつものように遊んでいた僕の元に、レベルカンストの報酬として『転生玉』が送られてきた。
倉庫代わりに使ってるサブキャラの『ソーコ』に送ってログアウトすると……。
目が覚めると、なんとそこはゲームの世界!
しかも僕は女キャラのソーコになっていて、数百年過ぎてるから錬金術師が誰もいない!?
これは数百年後のゲームの世界に入ってしまった、たったひとりの錬金術師の少女?の物語です。
※小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。小説家になろうでは先行投稿しています。
お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~
雨杜屋敷
ファンタジー
目覚めるとそこは異世界で、俺は道端でお布団にくるまっていた
思わぬ″状態″で、異世界転生してしまった俺こと倉井礼二。
だがしかし!
そう、俺には″お布団″がある。
いや、お布団″しか″ねーじゃん!
と思っていたら、とあるスキルと組み合わせる事で
とんだチートアイテムになると気づき、
しかも一緒に寝た相手にもその効果が発生すると判明してしまい…。
スキル次第で何者にでもなれる世界で、
ファンタジー好きの”元おじさん”が、
①個性的な住人たちと紡ぐ平穏(?)な日々
②生活費の為に、お仕事を頑張る日々
③お布団と睡眠スキルを駆使して経験値稼ぎの日々
④たしなむ程度の冒険者としての日々
⑤元おじさんの成長 等を綴っていきます。
そんな物語です。
(※カクヨムにて重複掲載中です)
宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――
黒鯛の刺身♪
SF
半機械化生命体であるバイオロイド戦闘員のカーヴは、科学の進んだ未来にて作られる。
彼の乗る亜光速戦闘機は撃墜され、とある惑星に不時着。
救助を待つために深い眠りにつく。
しかし、カーヴが目覚めた世界は、地球がある宇宙とは整合性の取れない別次元の宇宙だった。
カーヴを助けた少女の名はセーラ。
戦い慣れたカーヴは日雇いの軍師として彼女に雇われる。
カーヴは少女を助け、侵略国家であるマーダ連邦との戦いに身を投じていく。
――時に宇宙暦880年
銀河は再び熱い戦いの幕を開けた。
◆DATE
艦名◇クリシュナ
兵装◇艦首固定式25cmビーム砲32門。
砲塔型36cm連装レールガン3基。
収納型兵装ハードポイント4基。
電磁カタパルト2基。
搭載◇亜光速戦闘機12機(内、補用4機)
高機動戦車4台他
全長◇300m
全幅◇76m
(以上、10話時点)
表紙画像の原作はこたかん様です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる