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~友愛編~

第五十四話……女騎士と金貨

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今日の天気は曇り。
森の中は人が少なくて魚影が多い。


──金貨60000枚。
 ニャッポ村でお留守番をしている、ブタ領内務役ンホール司教。彼の下へ『金貨60000枚をどうすべきか?』という老騎士からの相談の書状が舞い込んできていた。

 高額貨幣である金貨を大量に領内にばら撒くのは避けたい。ならば王都にもちこんで、実用的な食料と交換すべきか? それをするのにも徐々にせねば食料の高騰を招きかねなかった。

 現代のように、この世界では貨幣はそれほど信用があるわけではない。領地をまたげば純度を検査される場合もある。
 現代のように高額貨幣が紙である状態になるまでには、まだ長い年月が必要だった。

 ンホールは考えた。
 貨幣の信用とは、その社会の生産力に概ね比例する。過度に貨幣を流通しても困るだけではないか?
 では逆を考えてみた。敵対勢力の経済破壊に用いる方法だ。が、とりあえず目下そのような相手もいない。
 彼は引き出しから取り出した、いつもの道具に頼ることにした。


──サイコロである。

コロコロコロ。
「偶数ンホ!」

 だが、ンホール司教は偶数だとどうするかとかを全く決めていないことに気づいた。



──
「頼もう!」

 執務室の机の上で、いろいろカキカキしていたンホールにお客さんの様だった。
 がっしりとした体に実用的な皮の鎧を纏い、背中に長物を携えたその者はなんと人間の女性だった。

「どちらさまンホ?」

「どちらさまじゃね~よ! この枯れ木風情が!! ンホール殿はいずこ!?」
 彼女はそう言い放ち机に板を叩きつけた。それには、

 『急募❤ 元気で逞しい方!一日2時間からの勤務可!お給金は応相談』と書かれていた。

 工業化以前の社会においては、生産力は農業に依存するところが大きい。農業生産力はおおむね人口に比例するところが大きく、内務役ンホールは領外からの人口流入に期待していた。

「ンホ? 兵士への希望ンホ?」

「兵士じゃない! 私は誇り高い騎士だ!!」

 王都からかなり離れた僻地であるブタ領に、良家の子息がくることはなく、だいたいが一癖も二癖もある者が流れ着いた。

「指揮官へのご希望ンホ?」

「そうだ! お前が試験官か? 手始めに血祭りにしてくれるわ!」

 Σ( ̄□ ̄|||) ぇ~!?

「私はチャンバラできないンホ!」
「チャンバラ言うな! つべこべ言わずに来い!!」

 ンホールは裏庭に引きだされ、ボコボコにされた。

 (xωx`) 痛いンホー。

 結局、女騎士はその武勇をもってしてンホール教騎士団に入る。
 更にのちにはンホール教騎士団の初代騎士団長に任じられることになる。


 ……当然、この気丈な女騎士はンホール騎士団の陣容に驚いた。

「お……おじいちゃんばっかり……」


──
 その翌日、ブタ領家宰ヘーデルホッヘは麾下の部隊をまとめ、途中ブタ達を接収しニャッポ村への帰路についた。




 オウチに帰りましょう~(゜∀゜)人(゜∀゜)人(゜∀゜)ノ ぽこぶひうさ~♪

 ブタには婚約のことは、知らされていなかった。
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