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第3章 アレクを狙って

第867話 閉店後の振り返りと今後について!

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アレクが閉店を伝えると、冒険者達はお酒が入っているにも関わらず、素直に話を聞き、注文した物を食べ終わると足早に店をあとにした。

「ふぅ~、みんなお疲れ様~!よく最後の追い込みを乗り越えてくれたよ。まさかの材料なくなってビックリしたよね」

アレクは、カウンター席に座って大きく息を吐いて、みんなに労いの言葉を言う。

「ワシも疲れたわい。戦闘より大変じゃったぞ。こりゃ、今後の対策が必要になってくるのぅ」

普段疲れたなど言わないマンテ爺ですら、思わず言ってしまうほど大変だったようだ。

「本当よ。もし、注文を聞くなんてことがあったら大変だったわ。それと、お客さん同士で、セルフを教え合ってくれたから助けられたもの」

てんてこ舞いになっているアレク達を見て、冒険者達が気を利かせて勝手に接客をしてくれていた。そのお陰で、ホールはなんとか崩壊せずに済んだ。

「僕も疲れたでしゅよ。魔力いっぱい使ったでしゅ」

「本当にお疲れ様。お客さんが優しくて良かったよ。それより、大樹が運ぶ度に歓声が、厨房まで聞こえてたけど何かあったの?」

厨房にいたアレクとマンテ爺は、ラーメンと餃子を作るのに手一杯で、ホールの歓声が起きる度に、何が行われているのだろうとずっと気になっていた。

「大樹ったら、魔法で5人前くらいのラーメンを一気に運んだの。それを見ていた冒険者達が面白がっちゃって、何回も要求してたのよ」

「あぁ、それで魔力を使いすぎたのか。今回見せちゃったし、絶対次も要求されるだろうね。もしかしたら、名物になる可能性あるよ」

面白いことや騒ぐことが大好きな冒険者からすると、赤ん坊である大樹が、魔法で食器を運ぶ姿は、冒険者にとって大好物なのだ。

「忙しかったから、何も言わなかったけど、いつ落とすか、ずっとハラハラしてたわ。もし、お客様の頭にでも落したらどうするのよ。次から、運ぶのは1人ずつよ!いいわね?」

「1人ずつでしゅか?残念でしゅ。おじしゃんやお姉しゃんが、喜んでたでしゅよ。それでも、ダメでしゅか?......わ、わかったでしゅ」

大樹は、みんなが喜んでくれて嬉しかったので、上目遣いでヘルミーナに、またやりたいことをそれとなく伝えるが、キッとした顔で睨まれたので、即座に首を縦に振って断念した。

「大樹いい子だね。ママの言うことは聞かないとだよ。それはそうと、マンテ爺が言ってた今後だよね......でも、あれ以上は、仕込む時間が足りないよ」

大樹の気持ちがわかるアレクは、大樹の頭を撫でる。
そして、一番問題である売り切れになることと、今後も閉店間際に雪崩込むのではと懸念した。

「そうじゃな。グランが、転移魔道具を店に設置してくれたお陰で行き来は楽になったんじゃが、アレクは王の仕事があるからのぅ」

マンテ爺は、どうしようかと考えるが、いい案が思い付かず頭を悩ませる。

「う~ん?冒険者には悪いけど、閉店時間を早めるくらいしかないかな。流石に、あの人数を毎日捌くのは無理があるし、思い描いてる感じじゃなくなるしね」

「アレクが決めたことならワシは賛成じゃ。じゃが、店の前に時間を書いた看板を出しとくべきじゃろうな。冒険者が、勘違いして昼間にも来ると思うぞい」

「私も、賛成だわ。繁盛するのは嬉しいけど、満足いく接客が出来なかったもの。それと、マンテ爺の言うことは確かだわ。そうねぇ~、看板は、私が手配するわね」

アレクがオーナー兼店長の立場なので、お店の方針に関しては、否定せずに従う。しかも、ヘルミーナとマンテ爺は、アドバイスと協力を惜しまない。

「ならば、ワシがヘルミーナの護衛をしようかのぅ。アレクは、気にせず魔物の国に帰って構わんぞい」

「ヘルミーナもマンテ爺もありがとう。じゃあ、一度魔物の国に帰るよ。それと、師匠達が帰ってきてるはずだから、もしかすると少し店に来るのが遅れるかも」

アレクは、椅子から立ち上がって、ヘルミーナとマンテ爺にお礼を言いながら、残っていた洗い物をやりにいく。
そして、ヘルミーナは疲れて寝た大樹をベッドに寝かせに行き、ホールの掃除を始めた。マンテ爺は、アレクと一緒に洗い物と厨房の掃除をする。

「そうじゃろうな。ノックスとデストロイじゃからのぅ。まぁ、ワシ達がおるから少しくらいの遅れなら問題ないわい。仕込みもやっとくぞい」

マンテ爺の優しさにアレクは感謝する。
そして、意外にもマンテ爺は、ラーメン屋をすることを気に入っているようであった。
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