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第3章 アレクを狙って

第859話 ラーメン屋の完成とハイテク魔道具!

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アレクは、完成した知らせを受けてお店にやってきていた。
店の前に着いたアレク達は、綺麗な木造家屋に見とれてしまう。

「一言凄いしか出てこないよ。1ヶ月以上かかると思ったけど、まさか2週間ちょっとで、造り上げるとは思わなかった」

新しい手法に慣れないノイジ達がいるにも関わらず、そこまでの時間がかかっていないことに驚きをあらわにする。
そして、一緒に来ていたヘルミーナとマンテ爺と大樹も驚いていた。

「ワッチも、ひと月を目処にしていたが、ノイジ達が思っていた以上に頑張ってくれたぞ。まだまだなとこはあるが、この熱意で、数年学べば、職人として一流になれると思う」

ハッキリと認めたという言葉は使っていないものの、ディドはノイジのことを見込みがある人族だと述べており、これは人族の職人からすれば、大変名誉なことなのだ。

「ディドさん......」

親方のノイジ以下弟子達は、言葉が出ないほど感激しており涙を流した。

「おいおい、泣くのはあとにしろ。お前さん達は、胸を張って王様達を案内する仕事が残っているだろう」

ディドは、ノイジの背中を叩いて、感傷に浸っている場合ではないことを伝える。すると、ノイジ達は袖で涙を拭って満面の笑みでアレク達をお店に案内する。

「ノイジさん、案内をお願いします。皆さんの頑張りを見てみたいです」

「はい!わかりました!こちらです」

本来であれば、今回の指揮を取ったディドが案内役になるのが普通なのたが、ディドは半歩下がった位置におり、ノイジに案内を任せた。

「アレク様の指示通り、ラーメンを作る様子が見えるようにカウンター席を作りました。それから、カウンター席とテーブル席共に、言われた魔道具を設置しています。作動するか確認してください」

「いいですね。これなら楽しめるし、安心して食べて貰えそうです。えっと、これかな?お~、このクオリティを実現出来るなんて凄いな。やっぱり、グランさんを引き抜きたい」

アレクは、この世界初のタッチパネル式でセルフオーダーが出来る魔道具を作って貰い導入した。
これを導入した目的は、物珍しさとお客さんに絵を見て楽しみながら選んで貰うこと、そして一番の目的は、家族以外の店員を極力雇わずに、家族だけで経営出来るようにするためだった。

「これが、昨日言ってたお客さんが選べる魔道具なのね。でも、お客さん注文できるかしら?見たことないのに」

ヘルミーナは、元々商業ギルドのギルドマスターをしていたので、目新しいものや触れたことのないものをお客さんは敬遠しがちということを知っていた。

「最初は大変だと思うけど、深夜帯に来る人は常連だけになるだろうから、はじめの数週間を乗り越えれば問題ないかな。それに、店側としても必要なんだよね。これには、無銭飲食も無くなる方法も組み込まれてるからね」

注文を受け付ける際に、テーブルに設置された投入口からお金を入れて初めて受け付けが完了する仕組みになっている。

「そうね。深夜は、酔ったお客さんも来るから、そういうことも考える人がいるのね。もし、他のお店から、これがほしいと言われたらどうするつもりなの?」

「そうそう。それから、これで浮いた人件費を用心棒を雇うお金に使うつもりだよ。う~ん?他の店には難しいかな。魔道具と導入に当たっての改装費だけで屋敷が二つは建つくらいの費用がかかるからね」

屋敷が二つ建つと聞いたヘルミーナは、魔道具が高いことを思い出して「あ!」と声を出した。
アレクと長い間時間を共にしてきたことで、色々慣れ過ぎてしまい、こんな簡単なことにも気づけなくなっているほどに、自分自身も常識が欠け始めているなと実感した。

「ごめんなさい。そうよね。魔道具が当たり前過ぎて忘れていたわ。ノイジさん、案内の邪魔をしてしまってごめんなさいね」

「奥様、邪魔なんてとんでもございません。私も魔道具や建築の手法などを何度もディドさんやグランさんにお尋ねしたので気持ちはわかります。では、説明の続きをさせて頂きます」

ノイジは、このあと店内は燃えにくいような素材を使って火事の心配がないことや調理場とアレクが頼んだインテリアの説明をした。

「皆さん、本当にありがとうございます。期待以上の出来でしたよ。このあと、お父さん達も来ると思いますので、新装祝いの祝賀会をしましょう」

アレクは職人達の労いを込めて、前日からパーティー用の仕込みを屋敷でしていた。
そして、祝賀会と聞いた職人達はアレクの料理と美味い酒が飲めると思い大喜びするのだった。
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