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第3章 アレクを狙って

第852話 ラーメン屋の着工とやる気になる職人達!

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改装の当日を迎えて、ドワーフ1人と弟子である魔物2体と魔ノ国から派遣された魔道具職人が、ストレンの街にやってきた。ヨゼフは、事前に街の人に向けて魔物の街からドワーフと魔物がやってくることを伝えていたので騒ぎになることはなく街に入ることが出来た。

「ディド~、待ってたよ。ジャルがいない間、大変じゃなかった?」

ジャルは、エルフの国に派遣しているため、ディドというドワーフが魔物の国の建築などの監督をしてくれていた。

「おう。ワッチにかかれば、問題ないぞ。ジャルに、いつまでも負けるわけにはいかんからな。王様も元気そうで何より。おっと、そうだ!ワッチの最高の弟子を2人連れてきた。早速解体していいか?」

ドワーフの中でも更に10センチ小柄な140センチくらいしかないディドは、アレクを見上げて笑顔で任せろと胸を叩く。

「おやっさんに人選を頼んだけど、ディドって聞いて安心したからね。え?改装をお願いしたけど、建て直す感じなの?」

アレクが、建物を見た感じだと、そこまで酷い老朽化が進んでいなさそうで、改装で十分かと思っていたので、解体と聞いて驚く。

「さっき、弟子とワッチで、軽く見させてもらったが、基礎がなってない。人間に学ばせるなら1からの方がいいと思うぞ。それに、1から作る方が楽だ。それでも、改装がいいか?」

ディドは、今回の目的を理解しており、職人目線から中途半端なことはしたくないという意思をアレクに伝えた。

「ディドに全て任せるよ!やっぱり職人は凄いな。俺が、パッと見た感じわからなかったもん。最高の仕上がりを期待してるね」

アレクは、ドワーフの職人に一目置いているので、全面的に信頼しており、任せることにした。

「そうだ。始める前に、今回は教えることも目的の一部だろ?だから、木が主になるが大丈夫か?本来なら、アレクの技術とそこから派生させたワッチ達の技術を使いたいが、人間には無理だと思う」

「そうだよね。大丈夫だよ。1年後も、ドワーフ達に修繕しにきて貰うのは違うと思うし、この街の職人でも身に着けられる技術がいいかな」

アレクは、ドワーフにセメントやコンクリートの技術を教えたが、重たすぎて地盤に左右されやすいのと夏は暑く、冬は寒く、デメリットも見つかり、ドワーフ達は、そこから試行錯誤してアップグレードさせていた。
その技術を使えば、異世界の今までの建築物より何十年も修繕や改装をする必要がないのだが、今回は人間に教えるということで木造建築になった。

「早速潰そうと思うのだが、いいか?」

「構わないけど、隣の家に被害が出ないように出来るかな?」

魔物の国であれば、気にせず好きなようにしてもらって構わないのだが、騒音や解体したの瓦礫が飛び散るようなことで心象を悪くしたくないと考えている。

「大丈夫だぞ。そのためにも、魔ノ国から魔道具職人を呼んでいたのだからな」

「なら、俺は信じて見とくよ。ストレンの街の職人さんにも伝えておくね」

アレクは、少し離れたところで見ているストレンの街の職人の下に向かった。
そして、ディドは弟子と魔道具職人に指示を出して、解体作業を始めていく。

「今から、解体をするらしいです。周りに被害が出ないようにするから見守っていてくださいね。それと、厳しいようですが、ドワーフから言わせると基礎が全く駄目とのことなので、学んでほしいと言っていました。今からでも、やめることは出来ますが、大丈夫ですか?」

アレクは、今回のことで、ストレンの街の職人のプライドはズタズタになるだろうと考えていた。そして、おやっさんと出向いた事前の話し合いの時にも伝えていたのだが、改めて再確認をした。

「アレク様、先日もお伝えしましたが、ドワーフから学べる機会など一生であるかないかの奇跡に等しい出来事です。今は、親方ではなく初心に戻り、いち職人として学ばせて頂きたく思います」

「心配する必要はなかったようですね。その言葉を聞けて安心しました。大変な1日になると思いますが、頑張って行きましょう」

この街で、代々受け継がれた大工の家系で、親方にプライドがないわけはないのだが、新しい技術と街の発展と将来のために、無駄なプライドは、かなぐり捨てる覚悟でいる。

「お前ら、わざわざアレク様がくれた貴重な機会だ!一挙手一投足見逃すことなく、ドワーフの技術を吸収して街の発展に努めるぞ!いいな?」

親方は、後ろに控えている弟子達に声をかける。すると、弟子達は「おー」と元気のいい声を上げてやる気を漲らせるのだった。
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