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第3章 アレクを狙って

第851話 父と子の二人だけの時間とラーメン屋の開店計画!

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実家に帰ってきても、色々問題やら悩みが渦巻く中、本格的にラーメン屋の話が進んでいく。

「ラーメン屋の話じゃが、何時くらいに、どこに出すんじゃ?」

ヨゼフは、アレクを誘って街にある酒場に着ていた。

「お店を潰さないように、深夜にやろうとしてるかな。う~ん。分かりづらくない場所ならどこでもいいよ。1年後には、辞めなきゃいけないだろうから、中心地だと邪魔になるだろうしね」

アレクは、なるべくストレンの街のお店が迷惑にならないように、中心街から外れていても構わないと考えている。

「深夜か!?じゃが、試みとしてはありじゃのぅ、誰もやらんからのぅ。うむ。中心街でやってよいが、1つお願いがあるんじゃ。良いかのぅ?」

異世界で、深夜にやっているのは、治安の悪い地域で違法営業している酒場くらいしかなく、一般人がいけるような深夜の飲食店は、まだないのだ。

「お願い?出来ることならいいよ」

「良いかのぅ。中心街に寂れた空き店舗があるんじゃが、改装してくれんか?もし、ラーメン屋を引き継ぐ人がおったら1年後も続けてほしいんじゃ。あのうまいラーメンが1年で無くなるのは勿体ないからのぅ」

ヨゼフは、街の飲食を盛り上げるために、新たな料理と深夜という今までにない時間帯で経営する斬新さで活気を街に与えられるだろうと考えていた。そして、言葉通りラーメン屋がなくなるのは、勿体ない感じている。

「改装は大丈夫だよ。改装費と職人をどうするかだけど、お父さんは何か考えあるかな?それと、引き継いでくれる人がいたら嬉しいね。実家の街から広がるのもいいなって思えるもん」

改装費や職人については、アレク自身で出す予定だったが、ヨゼフから提案された物なので、一応話を聞くことにした。

「改装費は、ワシが出すつもりじゃよ。職人は、ストレンの街の職人を使ってほしかったんじゃが、色々無理があるじゃろ?おぉ、ワシの頼みを聞いてくれて嬉しいわい。本当に、親孝行な息子じゃ」

ドワーフがいることを知っているヨゼフは、人間の職人では作り出せない物があることや建築スピードを考えて無理かと考えた。

「う~ん?ならドワーフから学ぶのはどうかな?ストレンの街の職人にも、プライドがあるから受け入れて貰えるかはわからないけど......もし、いいって言ってくれたら、お父さんはストレンの街の職人の費用を負担して、ドワーフは俺が費用を持つよ」

「職人なら問題ないわい。馬車のことがあって大工からも新しい技術はないかと、聞きに来たくらいじゃ。ドワーフの費用は、本当にいいのかのぅ?ワシにとっては願ったり叶ったりじゃが......」

育った街でのアレクの評判と英雄の名は伊達ではなく、アレクの名前を出せば、プライドなど、簡単に捨てる職人ばかりなのだ。

「え!?そうなの?それならよかったけど、多分ドワーフは、相当厳しいから覚悟してもらう必要がありそう。うん!改装費というか、改装に使う材料も持参するから、費用の件は解決だね。あとは、冒険者ギルドと商業ギルドに、食材の提携を結んでもらう必要があるかな」

お金を回すために、食材に関しては、地元の物を使おうと考え、足りない物を王都から手配してもらおうと思っていた。

「冒険者ギルドと商業ギルドには、ワシが一筆書いてセバンに行ってもらおうかのぅ。大工のとこには、アレクに行ってもらってええかのぅ?その方が、話が早くまとまりそうじゃ」

「凄く助かるよ。全部こっちでやろうとしてたからさ。う~ん?そうなると、おやっさんを連れて行くのが、一番効果ありそうだね」

親子の商談話なので、お互いにメリットのある話を、裏表がなくスムーズにまとめることができた。

「ならば、話もまとまったことじゃし、飲みながら、何を悩んでおるのか、息子の話でも聞くとするかのぅ」

「え?もしかして、誰かに聞いたの?」

「何を言っているんじゃ。ワシとアレクは、親子じゃぞ。顔を見れば何かに悩んでおるくらいわかるわい」

ヨゼフは、顔を見ればわかると言っているが、本当は出掛ける前に、カリーネから悩みを聞いておくように言われていた。

「はぁ~、お父さんには負けるよ。悩みは二つかな。1つは、冒険者にバフ効果のあるラーメンを出そうかなって。薬で少しだけ、体力を上げたり素早さを上げたりとかさ。どう思う?」

ただラーメンを出すだけでは、面白くないと思ったアレクは、バフラーメンを出そうと考えていた。しかし、ストレンの街で出す以上、何か問題があった場合、ヨゼフに責任が行くので悩んでいた。

「ほぅ~。面白そうじゃのぅ。効果と売値と冒険者限定とかなら良いと思うわい。あとは、1年間限定とかのぅ。その辺りは、対策を練れば、どうにかなるじゃろう」

ヨゼフは、アレク以外からの申し出ならば断っていたが、息子のやりたいようにやらせて上げたいので許可を出す。

「ありがとう!うん。犯罪に加担したり迷惑にならないようにするよ。色々まとめてみるから、お父さんに確認してほしいな。それから、もう1つは......ナハスに、確信めいたことを言われちゃって......」

「ほぅ~、1つ目よりもナハスの方が、気になるのぅ。ゆっくり酒を飲みながら聞くわい。すまんが、エールを2つ頼めるかのぅ」

ヨゼフは、確信めいたと聞いて、恋愛事情か何かと勘違いする。すぐさま、店員にエールのおかわりを頼んで、ウキウキしだすのだった。
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