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第3章 アレクを狙って

第837話 英雄様は語り継がれる伝説!?芸能人にあったような反応のセリーナ!

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馬車が王都の門の前に着くと、マンテ爺と抱えられた大樹が降りてきた。
しかし、ザギトとセリーナは、放心状態でぽかーんとしたまま座席に座っている。

「パパ~ママ~!」

大樹は、マンテ爺の腕の中から手を伸ばしてアレクとヘルミーナにアピールをする。

「大樹~無事でよかったよ。マンテ爺も、大樹のお守りをありがとうね」

「マンテ爺が付いてるから大丈夫だとは思ったけど、本当に何もなくてよかったわ。抱っこね。いらっしゃい」

マンテ爺の下にアレクとヘルミーナが駆け寄って二人の無事を喜ぶ。大樹は、どれだけ強くてもまだまだ赤ん坊であり、甘えたい時期なのだろう。すぐに、ヘルミーナの腕の中に抱っこをされに行く。

「大樹は、オークキングを倒すくらい勇敢じゃったぞい。今のアレクじゃと、すぐ負けてしまうじゃろうな。ブッハハハ」

マンテ爺は、大樹の頭を撫でながら、アレクに対してじゃれ合うような挑発をした。

「神力を解放したら互角くらいにはなるかもしれないよ。って、なんで親子で張り合わせようとしてるの。それより、会わせたい人はどこにいるの?」

アレクは、冗談でマンテ爺が言っているのをわかっているので、わざと張り合いを出した。そして、辺りをキョロキョロと見渡すが、マンテ爺と大樹しか馬車から降りて来ていないので、どこにいるのだろうと探す。

「なんじゃ。まだ出てきておらんのか。馬車からアレクを見た瞬間、二人とも英雄様と言ったまま固まったんじゃよ。大樹が、王子だと知った時も大慌てておったわい」

「もう、絶対マンテ爺のことだからわざとでしょ。俺のこと知ってるみたいだし、二人に謝ってくるよ」

アレクは、また遊んでるよと思いながら、ヤレヤレといった様子で馬車に向かう。

「失礼しま~す。マンテ爺が、迷惑かけ......完全に抜け殻になってるよ。ちょっと、失礼しますね」

アレクが、馬車に入るとザギトもセリーナも頭から煙を出して思考回路が停止したような顔をしていた。
それを見たアレクは、魔法鞄から2本の瓶を取り出して、二人の口に突っ込んで飲ませる。

「へ!?ハッ?俺は何を......え、英雄様ぁぁぁぁぁぁ」

「うっうっ、わ、私、寝てたの?え?英雄様ぁぁぁぁぁぁ」

ザギトとセリーナは、アレクを見た瞬間、同じ反応をして驚きの声を上げる。

「もう気絶しないでよ。まぁ、強力な薬飲ませたから気絶したくても出来ないと思うけど。それで、話し聞けそうかな?」

脳に刺激を与えて強制的に目覚めさせるという地獄に咲く花の蜜を加えて作った薬を飲ませたことで、少しくらいの衝撃では失神することはない。
しかし、3日は眠れないという副作用がある。

「は、はい!英雄様!お会い出来て光栄です。マンテ爺様が会わせたい方が、まさか英雄様だとは思わず驚愕しておりました」

「そんな畏まらないでよ。マンテ爺と大樹が、迷惑をかけたみたいだしさ。それより、この人はなんでずっと固まってるの?」

ザギトは、慌てながらも冒険者として尊敬するアレクに挨拶をした。
しかし、セリーナは口に手を当てたまま固まっている。

「あ~、申し訳ございません。セリーナは、英雄様の大ファンでして、接近し過ぎたあまりに感動で声が出ないみたいです。もう、放っておいて構いませんので、話を進めてください」

ザギトは、セリーナの様子に呆れるも、話を進めるために諦めることにした。

「アハハ、俺なんて全然冒険者活動してないのに大ファンとか申し訳ないよ。じゃあ、セリーナさんを連れて来てくれるかな?外にマンテ爺達もいるから話そう」

ザギトは、セリーナの腕を引っ張って馬車から引きずり出した。
アレクは、二人が降りて来る前に、マンテ爺からより詳しく何があったのかと尋ねてる。

「まともに話せそうなのはザギトだけだね。今マンテ爺から話を聞いたけど、二人からしたら身元不明のマンテ爺と赤ん坊の大樹が、解決しちゃったら、説明出来ないよね。俺が説明するから安心して」

アレクは、詳しく話を聞いて、冒険者の二人からすると、どんな説明を冒険者ギルドにしても納得はしてくれないだろうと理解して、アレクが動くことにした。

「セリーナ!いい加減に現実に戻れ。英雄様が、助けてくれるんだ。お前も頭を下げろ。改めて英雄様、ありがとうございます!私達の調査依頼は失敗で構いませんので、よろしくお願いします」

八方塞がりだったザギトからすると、アレクは救世主にしか見えず、そんなアレクを無視しているような形に見えるセリーナにイライラして、頭を叩いて頭を押さえてお礼をさせた。

「う~ん?マンテ爺から聞いたら、邪魔もせず話した時も、弁えた行動をしていたって聞いたよ。それに、嘘の報告をする様子がなかったってね。だから、協力してくれたってギルドには報告するよ。優秀な冒険者が、罰を受ける意味がないしね」

「英雄様もマンテ爺様も、本当にありがとうございます。これからも、英雄様のような立派な冒険者になれるよう努力します」

マンテ爺からの話やアレクと話した時の言動を見ても、実力と人間性も優秀なAランク冒険者だとわかり、アレクは最大限のフォローをしようと考えた。
そして、ザギトはアレクの発言に応えるかのように、アレクだけではなく、しっかりマンテ爺に対しても感謝の気持ちを述べた。
しかし、セリーナは何か言おうとしているが、恥ずかしくて顔を反らせてしまう。ザギトは、その様子を見てすかさず、しっかりしろと頭を叩くのだった。
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