709 / 763
第3章 アレクを狙って
第816話 ジキタリスの挫折した過去と覚醒!?
しおりを挟む
アレクは、詳しく薬の話を聞くためにジキタリスを席へ座ってもらう。
「ごめんね。ジキタリスに、こんなお願いをされると思ってなかったから驚いたよ。えっと、どんな薬がほしいのかな?」
「いえいえ、驚かれて当然だと思います。そして、薬を欲する理由として私は分身のスキルしか持ち合わせておらず、今回の敵に相対する場合、役不足だと判断しました。そこで、いくつかスキルと併用で使えそうな能力があるのですが、相談に乗ってもらえませんか?」
ジキタリスは、どのような薬が必要か話す前に、何故薬を欲するのかの説明をした。更に、ジキタリスは分身のスキルを最大限に引き出せる能力までも考えてきた。
「スキルのことを公言してよかったのですか?それに、追加したい能力ですか?」
「アレク王に、隠すことなどございません。隠すとすれば、国家予算くらいでしょうか。フフッ。それと、作ってほしい薬は、透明化と物理・魔法のダメージを無効化すると分身のスキル強化をお願いしたいです」
薬の要望があまりにも強力過ぎて、アレクとパスクは驚いてしまう。
「ジキタリスさんらしいね。合理的かつ無駄のない注文だと思うよ。でも、分身のスキル強化以外は、強過ぎて何か制約がありそう。ちょっと、探してみるね」
アレクは、全知全能薬学で分身のスキル強化薬を探した。すると、あっさりと見つけることが出来て、すぐに調合を始める。
「分身スキルの強化薬だよ。魔力量に比例して分身体を増やせるみたいだね。効果は、半永久的に持続するし副作用もないけど、それに見合う魔力量が必要だから、魔力を増やす訓練をしなきゃいけない」
ジキタリスは、アレクの説明を聞いたあと、数秒考えただけでポーションを一気飲みした。
「何か変化があるわけではないのですね。少し試してみます」
ジキタリスは、立ち上がって分身のスキルを使うと、3人のジキタリスが出てきた。
だが、ジキタリスは何故かため息を漏らす。
「え?ジキタリスさん?何か不満とかあったかな?」
アレクは、ジキタリスのため息を吐く姿を見たことがないので、悪いことをしてしまったのではとお窺いを立てるように話した。
「あ!そうではございません。このような半永久的なスキル向上をして頂いたにも関わらず、魔力量の少ない自分が情けないと思いましてね。まぁ、才能があれば四天王を諦めることがなかったので、こんな貴重な薬を頂き、向上できたことだけで感謝しなくては......」
ジキタリスは、四天王の座に就くために幼い頃から剣術や魔法や戦術などあらゆる物を学び努力した。しかし、同世代にどんどんと置いていかれ、挫折を経験して、文官の道を選び、天才的な頭の良さと文官としての才能を買われてラヴァーナの右腕となったのだ。
「四天王を諦めた......過去を詮索つもりはないけど、ちょっと診断をさせてもらってもいいですか?」
アレクは、勝手に体を診断するのは、倫理に反するのと質問が質問なので、敬語で尋ねることにした。
「先程も言いましたが、アレク王に隠し事はございません。お好きに診断でもなんでもしてください」
「ありがとうございます。診断」
患者:ジキタリス
病名:魔力回路纏繞症
症状:魔力暴走 魔力循環不全
感染︰媒介確率なし
余命:150年
「ジキタリスさん、よく無事でいられたね。普通なら死んでてもおかしくないよ」
アレクは、診断結果を見て、呆れと感心が同時に襲い、不思議な表情になる。
「えっと......詳しくお聞かせ頂いてもよろしいですか?」
流石のジキタリスも、自分が死んでもおかしくない状態と聞かされて驚きと戸惑いを覚える。
「簡単に言ったら魔力回路が絡まってる状態。だから、うまく魔力が循環出来ずに、常に制限されてる感じかな。多分、魔力貯蔵が膨大なのと回路が丈夫だから暴走しなくて済んでいたと思う。でも、このままいけば......」
「どうにかする方法はないのですか?今の話から察するに、私が死ぬだけではなく、周囲に被害を与えてしまうと感じたのですが」
ジキタリスは、本来天才的な魔法使いになる可能性を秘めていたのだが、先天性なのか、後天的な何かで、魔力回路纏繞症を患った。しかし、その才能のお陰で、長年魔力暴走が起きず耐えることができたのだ。
「薬で治すことはできるよ。でも、問題が......絡まった魔力回路が、元に戻った瞬間、溜まった魔力が溢れ出して魔力暴走に近い現象が起きる可能性がある。一応、魔力暴走を抑える薬はあるけど......薬で抑えきれるかどうか」
治すことは容易なのだが、ジキタリスの長年かけて溜まった魔力がどれだけ噴き出すかわからないので、アレクの最高の薬を用意しても意味を成さない可能性がある。
「強い魔力回路が、ここへ来て足枷となるのですね。ですが、私は諦めきれませんし、どの道いつか魔力暴走が起きるのであれば、今この場で解決をしたい!どうにかなりませんか?」
ジキタリスは、せっかく希望が見えてもまた阻まれてしまうのかと一瞬下を向いたが、もう2度と挫折した時のような惨めな自分になりたくないのと、いつか周囲を巻き込む魔力暴走を引き起こさないため、唯一の頼みの綱であるアレクに頭を下げて懇願した。
「これは、徹夜かな。パスク、すぐにオレールを呼んでくれない?可能性を上げるには、オレールが必要不可欠だからさ」
「はい!お任せください!」
ジキタリスの覚悟を決めた目を見たアレクは、いつまで掛かろうと手を貸すことに決めたのだった。
「ごめんね。ジキタリスに、こんなお願いをされると思ってなかったから驚いたよ。えっと、どんな薬がほしいのかな?」
「いえいえ、驚かれて当然だと思います。そして、薬を欲する理由として私は分身のスキルしか持ち合わせておらず、今回の敵に相対する場合、役不足だと判断しました。そこで、いくつかスキルと併用で使えそうな能力があるのですが、相談に乗ってもらえませんか?」
ジキタリスは、どのような薬が必要か話す前に、何故薬を欲するのかの説明をした。更に、ジキタリスは分身のスキルを最大限に引き出せる能力までも考えてきた。
「スキルのことを公言してよかったのですか?それに、追加したい能力ですか?」
「アレク王に、隠すことなどございません。隠すとすれば、国家予算くらいでしょうか。フフッ。それと、作ってほしい薬は、透明化と物理・魔法のダメージを無効化すると分身のスキル強化をお願いしたいです」
薬の要望があまりにも強力過ぎて、アレクとパスクは驚いてしまう。
「ジキタリスさんらしいね。合理的かつ無駄のない注文だと思うよ。でも、分身のスキル強化以外は、強過ぎて何か制約がありそう。ちょっと、探してみるね」
アレクは、全知全能薬学で分身のスキル強化薬を探した。すると、あっさりと見つけることが出来て、すぐに調合を始める。
「分身スキルの強化薬だよ。魔力量に比例して分身体を増やせるみたいだね。効果は、半永久的に持続するし副作用もないけど、それに見合う魔力量が必要だから、魔力を増やす訓練をしなきゃいけない」
ジキタリスは、アレクの説明を聞いたあと、数秒考えただけでポーションを一気飲みした。
「何か変化があるわけではないのですね。少し試してみます」
ジキタリスは、立ち上がって分身のスキルを使うと、3人のジキタリスが出てきた。
だが、ジキタリスは何故かため息を漏らす。
「え?ジキタリスさん?何か不満とかあったかな?」
アレクは、ジキタリスのため息を吐く姿を見たことがないので、悪いことをしてしまったのではとお窺いを立てるように話した。
「あ!そうではございません。このような半永久的なスキル向上をして頂いたにも関わらず、魔力量の少ない自分が情けないと思いましてね。まぁ、才能があれば四天王を諦めることがなかったので、こんな貴重な薬を頂き、向上できたことだけで感謝しなくては......」
ジキタリスは、四天王の座に就くために幼い頃から剣術や魔法や戦術などあらゆる物を学び努力した。しかし、同世代にどんどんと置いていかれ、挫折を経験して、文官の道を選び、天才的な頭の良さと文官としての才能を買われてラヴァーナの右腕となったのだ。
「四天王を諦めた......過去を詮索つもりはないけど、ちょっと診断をさせてもらってもいいですか?」
アレクは、勝手に体を診断するのは、倫理に反するのと質問が質問なので、敬語で尋ねることにした。
「先程も言いましたが、アレク王に隠し事はございません。お好きに診断でもなんでもしてください」
「ありがとうございます。診断」
患者:ジキタリス
病名:魔力回路纏繞症
症状:魔力暴走 魔力循環不全
感染︰媒介確率なし
余命:150年
「ジキタリスさん、よく無事でいられたね。普通なら死んでてもおかしくないよ」
アレクは、診断結果を見て、呆れと感心が同時に襲い、不思議な表情になる。
「えっと......詳しくお聞かせ頂いてもよろしいですか?」
流石のジキタリスも、自分が死んでもおかしくない状態と聞かされて驚きと戸惑いを覚える。
「簡単に言ったら魔力回路が絡まってる状態。だから、うまく魔力が循環出来ずに、常に制限されてる感じかな。多分、魔力貯蔵が膨大なのと回路が丈夫だから暴走しなくて済んでいたと思う。でも、このままいけば......」
「どうにかする方法はないのですか?今の話から察するに、私が死ぬだけではなく、周囲に被害を与えてしまうと感じたのですが」
ジキタリスは、本来天才的な魔法使いになる可能性を秘めていたのだが、先天性なのか、後天的な何かで、魔力回路纏繞症を患った。しかし、その才能のお陰で、長年魔力暴走が起きず耐えることができたのだ。
「薬で治すことはできるよ。でも、問題が......絡まった魔力回路が、元に戻った瞬間、溜まった魔力が溢れ出して魔力暴走に近い現象が起きる可能性がある。一応、魔力暴走を抑える薬はあるけど......薬で抑えきれるかどうか」
治すことは容易なのだが、ジキタリスの長年かけて溜まった魔力がどれだけ噴き出すかわからないので、アレクの最高の薬を用意しても意味を成さない可能性がある。
「強い魔力回路が、ここへ来て足枷となるのですね。ですが、私は諦めきれませんし、どの道いつか魔力暴走が起きるのであれば、今この場で解決をしたい!どうにかなりませんか?」
ジキタリスは、せっかく希望が見えてもまた阻まれてしまうのかと一瞬下を向いたが、もう2度と挫折した時のような惨めな自分になりたくないのと、いつか周囲を巻き込む魔力暴走を引き起こさないため、唯一の頼みの綱であるアレクに頭を下げて懇願した。
「これは、徹夜かな。パスク、すぐにオレールを呼んでくれない?可能性を上げるには、オレールが必要不可欠だからさ」
「はい!お任せください!」
ジキタリスの覚悟を決めた目を見たアレクは、いつまで掛かろうと手を貸すことに決めたのだった。
164
お気に入りに追加
6,141
あなたにおすすめの小説
妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。