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第3章 アレクを狙って
【3巻書籍化!発売中】第790話 ノックスと蔵之助、決闘の場に立つ!
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大和料理を食べた三人は、満足した様子で、城から帰ろうとしていた。しかし、階段を上りきったところに、蔵之助が待っていた。
しかも、無精髭を剃りボサボサだった髪も綺麗にオールバックになっていて、袴も新しい物を身に付けていた。
「待っていたでござるよ。ノックス殿!いざ、尋常に勝負でござる」
蔵之助は、陛下や持東親王がいるにも関わらず、決闘のことしか考えられていない。
「蔵之助、身なりを綺麗にしてきたのはいいが、まずは陛下と親王様に挨拶が先だろ?」
ノックスも、すぐに乗り気になると思いきや、今回は陛下の護衛として来ているので、常識のある返事をする。
「ふぅ、そうでござるな。ウズベル王、お初にお目にかかる。土方蔵之助と申す。持東親王様、お久しぶりでござる。色々迷惑をかけたでござるな」
蔵之助は、深々と頭を下げる。そして、ノックスとマンテ爺は、大和ノ国に来た時から気付いていたのだが、蔵之助は初めて会った時の気安さはなくなり、少しとっつきにくい人物になっていた。
「陛下、あいつの憑き物を落としてやる必要がありそうだ。少し時間をもらってもいいか?」
ノックスは、長く再戦の機会を待たせてしまったことで、昔の面影をなくしてしまったのだと感じて、責任を取ろうとする。
「うむ。憑き物とは何かわからんが、存分にやるがよい。持東親王、すまんが、決闘の場を用意してくれんか?」
「前回のことを考慮すると、生半可な結界では、すぐ壊れてしまうだろう。それから、ウズベル王は先に帰ってもらえないか?あのことを悟られては困る」
陛下は、蔵之助のことを少し無礼だと感じてはいるが、努力する者が好きなのと、元王国の国民であり、最強のノックスに魅力されてしまっては仕方ないと感じている。
「魔ノ国から最新の結界魔道具を借りてるから、こいつを使ってくれ。すまんが、畏まった言葉はむず痒くなる。許せ。マンテ爺、悪いが、陛下を連れて帰ってくれないか?」
蔵之助に決闘を申し込まれるのを事前に察していたノックスは、結界の魔道具の作製依頼を出していた。
そして、敬語に限界を感じたノックスは、持東親王相手にも臆することなく普段通りに話す。
「わかったわい。陛下、長居は禁物のようじゃから、さっさと帰るぞい」
「うむ。ノックスと蔵之助の戦いを見てみたかったがしかない......マンテ爺、頼んだぞ」
持東親王とマンテ爺の発言から、早々に帰るべきだと感じた陛下は、素直に従うことにした。マンテ爺は、陛下の言葉に頷いて、陛下を先導するように前に立つ。
「マンテ爺、くれぐれも気をつけろよ。何かキナ臭い匂いがするからな」
「わかっておるわい。じゃが、もしもの時は、自害する覚悟で挑むわい」
ノックスの第六感が、警告のようなものを告げていた。
そして、マンテ爺は事前に聞いていたスキルのような忍術を多用する忍者が数人掛かってきた場合、逃げるのは難しいと思った。
「自害は、困るぞ!アレク坊が、悲しむからな。最悪の場合、マンティコアの姿になって、俺のとこまでこい!蹴散らしてやる」
「アレクを悲しませるのは、ワシの道理に反するわい。やれるだけやってやるわい。陛下、行くぞい」
ノックスとマンテ爺とのやり取りからもわかるように、二人はかけがえのない仲間になっていた。そして、やはり中心にいるのはアレクなのだ。
陛下は、マンテ爺の言葉を聞いて、頷いて「任せた」と一言言ってあとをついて行く。
「持東親王、待たせたな。これが、魔道具だ。設置してくれ」
「ほぅ、私達が買っていたのは旧型だったのか......魔王に文句を言ってやらないと。では、こっちだ。案内しよう」
ノックスが、特別に依頼した結界の魔道具を渡したのだが、持東親王は勘違いをして旧型を買わされたと思い、少し拗ねたような顔をする。
そして、決闘の場に向かう際、姿は見えないが、やはり忍者が数人あとをついてきた。
「ここだ。城と周辺にも結界を張っているから思う存分戦うといい。最悪、城が壊れたらアレクに請求する。たんまりと溜め込んでるだろうからさ」
持東親王は、悪い笑みを浮かべながら、アレクの財政よりもドワーフの存在のことを考えて話していた。
「それはいい。蔵之助と満足行くまで戦いたかったしな。蔵之助、これをつけろ。俺もお前も殺し合いをしたいわけじゃないからな」
ノックスは、一度だけ死を回避できる魔ノ国の秘宝とも言える魔道具を渡した。
「これは、なんでござるか?」
蔵之助は、見たこともない何の変哲もない腕輪を渡されて首を傾げる。
「死を一度回避できる魔道具だ。殺すことを恐れて攻撃出来なかったとか言い訳されても困るからな。さっさとつけて始めるぞ」
「ノックス殿、感謝する。これこそ、待ち望んだ戦いでござる。ならば、早速!いざ、尋常に勝負でござる」
蔵之助は、湧き上がる闘志を隠すことが出来ず、大笑いをして腕輪をつける。
二人は気付いていないが、結界の外で持東親王は、またしても知らない魔道具に「ぐぬぬ」と嫉妬の声を上げるのだった。
しかも、無精髭を剃りボサボサだった髪も綺麗にオールバックになっていて、袴も新しい物を身に付けていた。
「待っていたでござるよ。ノックス殿!いざ、尋常に勝負でござる」
蔵之助は、陛下や持東親王がいるにも関わらず、決闘のことしか考えられていない。
「蔵之助、身なりを綺麗にしてきたのはいいが、まずは陛下と親王様に挨拶が先だろ?」
ノックスも、すぐに乗り気になると思いきや、今回は陛下の護衛として来ているので、常識のある返事をする。
「ふぅ、そうでござるな。ウズベル王、お初にお目にかかる。土方蔵之助と申す。持東親王様、お久しぶりでござる。色々迷惑をかけたでござるな」
蔵之助は、深々と頭を下げる。そして、ノックスとマンテ爺は、大和ノ国に来た時から気付いていたのだが、蔵之助は初めて会った時の気安さはなくなり、少しとっつきにくい人物になっていた。
「陛下、あいつの憑き物を落としてやる必要がありそうだ。少し時間をもらってもいいか?」
ノックスは、長く再戦の機会を待たせてしまったことで、昔の面影をなくしてしまったのだと感じて、責任を取ろうとする。
「うむ。憑き物とは何かわからんが、存分にやるがよい。持東親王、すまんが、決闘の場を用意してくれんか?」
「前回のことを考慮すると、生半可な結界では、すぐ壊れてしまうだろう。それから、ウズベル王は先に帰ってもらえないか?あのことを悟られては困る」
陛下は、蔵之助のことを少し無礼だと感じてはいるが、努力する者が好きなのと、元王国の国民であり、最強のノックスに魅力されてしまっては仕方ないと感じている。
「魔ノ国から最新の結界魔道具を借りてるから、こいつを使ってくれ。すまんが、畏まった言葉はむず痒くなる。許せ。マンテ爺、悪いが、陛下を連れて帰ってくれないか?」
蔵之助に決闘を申し込まれるのを事前に察していたノックスは、結界の魔道具の作製依頼を出していた。
そして、敬語に限界を感じたノックスは、持東親王相手にも臆することなく普段通りに話す。
「わかったわい。陛下、長居は禁物のようじゃから、さっさと帰るぞい」
「うむ。ノックスと蔵之助の戦いを見てみたかったがしかない......マンテ爺、頼んだぞ」
持東親王とマンテ爺の発言から、早々に帰るべきだと感じた陛下は、素直に従うことにした。マンテ爺は、陛下の言葉に頷いて、陛下を先導するように前に立つ。
「マンテ爺、くれぐれも気をつけろよ。何かキナ臭い匂いがするからな」
「わかっておるわい。じゃが、もしもの時は、自害する覚悟で挑むわい」
ノックスの第六感が、警告のようなものを告げていた。
そして、マンテ爺は事前に聞いていたスキルのような忍術を多用する忍者が数人掛かってきた場合、逃げるのは難しいと思った。
「自害は、困るぞ!アレク坊が、悲しむからな。最悪の場合、マンティコアの姿になって、俺のとこまでこい!蹴散らしてやる」
「アレクを悲しませるのは、ワシの道理に反するわい。やれるだけやってやるわい。陛下、行くぞい」
ノックスとマンテ爺とのやり取りからもわかるように、二人はかけがえのない仲間になっていた。そして、やはり中心にいるのはアレクなのだ。
陛下は、マンテ爺の言葉を聞いて、頷いて「任せた」と一言言ってあとをついて行く。
「持東親王、待たせたな。これが、魔道具だ。設置してくれ」
「ほぅ、私達が買っていたのは旧型だったのか......魔王に文句を言ってやらないと。では、こっちだ。案内しよう」
ノックスが、特別に依頼した結界の魔道具を渡したのだが、持東親王は勘違いをして旧型を買わされたと思い、少し拗ねたような顔をする。
そして、決闘の場に向かう際、姿は見えないが、やはり忍者が数人あとをついてきた。
「ここだ。城と周辺にも結界を張っているから思う存分戦うといい。最悪、城が壊れたらアレクに請求する。たんまりと溜め込んでるだろうからさ」
持東親王は、悪い笑みを浮かべながら、アレクの財政よりもドワーフの存在のことを考えて話していた。
「それはいい。蔵之助と満足行くまで戦いたかったしな。蔵之助、これをつけろ。俺もお前も殺し合いをしたいわけじゃないからな」
ノックスは、一度だけ死を回避できる魔ノ国の秘宝とも言える魔道具を渡した。
「これは、なんでござるか?」
蔵之助は、見たこともない何の変哲もない腕輪を渡されて首を傾げる。
「死を一度回避できる魔道具だ。殺すことを恐れて攻撃出来なかったとか言い訳されても困るからな。さっさとつけて始めるぞ」
「ノックス殿、感謝する。これこそ、待ち望んだ戦いでござる。ならば、早速!いざ、尋常に勝負でござる」
蔵之助は、湧き上がる闘志を隠すことが出来ず、大笑いをして腕輪をつける。
二人は気付いていないが、結界の外で持東親王は、またしても知らない魔道具に「ぐぬぬ」と嫉妬の声を上げるのだった。
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