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第3章 アレクを狙って

第769話 魔物の国、開国と今後について

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おやっさんを連れて行く話を終えると、ラヴァーナは準備があると言って魔ノ国に帰って行った。
アレクは、魔物の街の全員に開国したことを知らせるために、広場に集まってもらった。
ちなみに、右腕であるパスクにすらも集まった理由を話していない。

「みんな長い期間街を離れててごめん。集まってもらったのは、どうしても発表しないといけないことがあるからなんだ。三国の王から正式に認められて王になることが決まった。急なことで反対もあるかもだけど認めて欲しい」

アレクが、王になることを話すと、急なことだったので、全員が沈黙してしまう。
しかし、暫くするとさっきの沈黙が一転して溢れんばかりの歓喜に包まれた。

「みんなも喜んでくれてよかったよ。それから、王になったということで、魔物の街から魔物の国になる。領土は、元々ある魔物の森全域かな。もっと発展させていくからみんなの力を貸してほしい!お願いします」

アレクが頭を下げると、全員が「任せてください」と言ってくれた。
アレクは、みんなの返答を聞いて一安心するが、今まで忙し過ぎて領主としての仕事を果たせていないので、いつか愛想を尽かれてしまうかもという不安もよぎる。

「頼りない王だと思うけど、精一杯頑張るから、これからもよろしくね。今日は、全員にご馳走とお酒をいっぱい用意するからたらふく食べて飲んでほしい。以上!解散」

アレクは、魔法鞄に入れてある海鮮や肉や酒を出して、開国祝いをしようと考えた。
勿論、魔物が多いこの国では、お金を貰うよりも大量のご馳走と酒の方が盛り上がる。





「まさか、私達の知らない間に王になられているとは思いませんでした。それに、アレク様の性格上一番嫌がると思っていましたからね」

「そうね。パスクの言う通りだわ。貴族すら面倒くさそうにしていたから不思議よ。でも、アレクの考えに反対することはないから安心して」

パスクとヘルミーナは、アレクが貴族を辞める可能性は大いにあると思っていたが、王になるとは思っていなかったので驚く。

「二人とも側にいるだけはあるね。よく俺の性格をわかってるよ。二人の言う通り、王になる気はなかったんだけど、明日にはドワーフの国に行かなきゃいけなくて、成り行き上、王になった感じかな」

アレクは、後頭部を掻いて「へへっ」と笑う。

「ドワーフの国ですか!?また忙しくなりそうですね。今回は、誰を連れて行かれるおつもりですか?」

「魔王とおやっさんと行く感じかな。ドワーフの国は、王しか入国出来ない決まりがあるんだって。あとおやっさんは、過去の遺恨を解消するために連れて行こうと思ってるよ」

パスクとヘルミーナは、アレクが何故王になったのかを理解して「あぁ~」と声を漏らす。

「パパは、ずっと忙しいでしゅね。もっと遊びたいでしゅ」

ヘルミーナに抱きかかえられている大樹が、拗ねた仕草をしながら不満を言う。

「ゔっ、それを言われたら言い返せないよ。よし、じゃあドワーフの国から帰ったら、一緒にダンジョンに行こうか。多分、魔物の国の中にもあるはずだからさ。パスク、探しといてもらえないかな?」

「本当でしゅか?もし、遊べなかったらパパを嫌いになるでしゅからね」

流石のアレクも大樹から責められてしまうと言い返すことが出来ない。
それに、ちょうど冒険者活動もしたいなと思っていたので、この機会に大樹と行ってみようかと考えた。

アレクは、パパ嫌いになる発言を聞いて狼狽えながらも、「絶対に約束守るから」と死にそうな声で伝える。

「わかりました。ダンジョンが見つかりましたら、ギルドとも話を進めてみます。荒くれ者の冒険者を招くのは慎重に考える必要があるので、早い内から動いておきますね」

冒険者が来てしまうと魔物の国の魔物とトラブルが多発する可能性があるので、どうするかを検討する必要性がある。

「うん。そのあたりはパスクに任せるよ。とりあえず、開拓を進めて魔物と共存出来る人達の移住を進めてほしいかな。あとは、各地のスラムの住人とかを当たるのもいいかも」

アレクは、スラムから移住してきた住民と話してみたのだが、思いの外、適応しているのと仕事も率先してこなしていたので、連れてくるのはありだと考えた。

「はい!貴族達もスラムの住人であれば反対はしないでしょう。きっちり精査した上で移住計画を始めます。このあと、肉の食糧難の解決策についてお伝えしたいのですが、よろしいですか?」

「うん!大丈夫だよ。ヴァロワ子爵とライだっけ?直接会って色々聞こうかな」

アレクが、一番気になっていた難題の解決策を短時間で見つけ出してくるパスクに感謝と仕事の早さに恐怖すら感じてしまうのだった。
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