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第3章 アレクを狙って
番外中編) 日本に帰ってきても巻き込まれるアレク!
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アレク達は、服を買うために高級店ではなく、フランチャイズのリーズナブルなお店に来ていた。
前世は、37歳の中年男性だったため、ブランド物やオシャレに気を使うことはなく、実用的で安価な物でいいと思っており、行きつけのここを選んだ。
「父さん、あの動いてるの何!?動力は魔力石?でも、魔力反応がないしなぁ」
大樹は、服よりもエスカレーターに注目して、何をするものなのか、どう動いているのか気になってしまう。
「あれは、二階に人を運ぶエスカレーターっていう動く階段だよ。足の悪い人とか病気の人が不自由なく移動できるように作られた物だったはず。動力は、電気......雷の魔法みたいなものを利用してる感じかな」
アレク自身も、エスカレーターを分解したことや設計図を見たことがないので詳しい説明は出来ないが、何となく間違ってはいないだろうという思って答える。
「凄い......後で乗ってみたいなぁ」
「アレク、あれを城につけましょう。最近、メイド長が階段を上るのが辛いと言ってたのよ」
大樹とヘルミーナは、本来の目的を忘れて、物珍しいエスカレーターのことばかりに注目している。
「その話はあとでね。今は、服選びからだよ。この服目立ち過ぎて、ほら......大注目浴びてるからさ」
アレク達は、服だけで大注目を浴びていると思っているのだが、大樹の女性顔負けの美形と20代の容姿をした美男美女のアレクとヘルミーナだからこそだ。
周りにいる人々は、美し過ぎて声すら出ず、凝視してしまう。
「そ、そうね。でも、見たこともない服なのと、これだけの量があると迷ってしまうわ」
「父さん、このままだったら人集りが出来そう。店員さんに選んでもらうのはどうかな?」
気付くとどんどん人が集まってきて大変なことなっていた。傍から見ると、芸能人のお忍びが見つかってしまったのではと勘違いさせるほどだ。
「アハハ、考えが甘すぎたかも。あ!ちょうど店員さんが来たし、大樹の言う通り頼もうか。あの~、すみません!服を選んでもらえませんか?」
何事かと人混みを掻き分けてやってくる20代前半くらいの女性にアレクが尋ねた瞬間、アレクのあまりのカッコ良さに、女性は顔を真っ赤にして、そのまま倒れてしまった。
急に倒れたのでアレクが慌てていると、スーツ着たポニーテールのキャリアウーマンらしき美人な30代の女性と警備の人が数人やってきて、アレク達に来るように誘導してきた。アレク達は、その指示に従って移動する。
「え~っと、日本語は通じますか?」
事務所に通されたアレク達は、外国人だと思われているのか、日本語が通じるか確認される。
「はい!通じますよ。助けて頂きありがとうございました。お金は、この通りお支払いしますので、私達に似合う服を何着か選んでもらえませんか?今戻ると、またパニックになりそうでして......」
アレクは、このまま警察に通報された場合は、この女性の記憶を消して逃亡しようと考えていたが、雰囲気からして心配なさそうだ。
「日本語がお上手ですね。それから、先程の提案理解しました。試着室も、ご利用になられると思いますので、一部を一時封鎖に致します。その代わり......お願いがございまして......あ!勿論、衣服に関しては、タダでお渡し致します」
「試着室が使えるのとタダは魅力的な提案ですが、お願いとは何でしょうか?」
異世界では、一国の王だが、今は不法入国者に過ぎないアレクは、どんな無理難題を迫れるのか、生唾を飲み込み答えるのを待つ。
「モデルをお願い致します!今日モデルの撮影があったのですが、まだ来ていなくて......しかも、人気アイドルなのでお客様も多数来店している中、すでに1時間も待たせておりまして......どうか、どうか、私達を助けると思ってお願いします」
「はい!?も、モデル!?」
前世では、関わることのなかった三文字の言葉が飛び出して、ひっくり返ったような声を上げる。相手の女性は、「はい!」と追い打ちをかけるように真剣な顔で答える。
「アレク?大丈夫?」
「父さん、この人はなんて言ってるの?もしかして、面倒な感じ?」
ヘルミーナと大樹は、日本語を理解出来ないので、真剣に話す女性から責められているのではないかと勘違いしている。
「大丈夫だよ。弊害なく服を選べるように写真を取りたいらしいんだよ。服もプレゼントしてくれるって。同意していいかな?詳しい話は、移動しながら話すからさ」
面倒な状況ではないことを知った二人は安心する。そして、写真くらいであれば何の問題もないと感じて頷いた。
「では、受けますので、早速始めましょう。ですが、来る予定のモデルが来た場合、何があっても責任は負いませんよ」
「はい!全責任は私が負います!ですが、その前にこの状況で、上が私に責任を押し付けるようなら辞めてやります。それに、あのアイドルには何度もやられているので、屈辱を味合わせてやりたいです」
人気アイドルということで、会社の上層部が何度も依頼を出したようだが、その度に服に文句をつけて帰ってしまったり、遅刻やスタッフに暴力などは当たり前で、この女性はいつか仕返しをしてやろうと考えていた。
勿論、毎回上層部に報告はしたのだが、売上しか見ていない上層部は何もすることなく、我慢しろとの一点張りだ。
「へぇ~、なら俺も協力しますよ!よし、屁の薬でも作るかな」
「ありがとうございます!えっ?最後何か言いましたか?」
最後のアレクの言葉は、異世界の言語で話したので、ヘルミーナと大樹にしか伝わっていない。
大樹とヘルミーナは、またしてもアレクが何かしでかそうとしてるなと思う。しかし、おもしろそうなので、協力しようと思うのだった。
前世は、37歳の中年男性だったため、ブランド物やオシャレに気を使うことはなく、実用的で安価な物でいいと思っており、行きつけのここを選んだ。
「父さん、あの動いてるの何!?動力は魔力石?でも、魔力反応がないしなぁ」
大樹は、服よりもエスカレーターに注目して、何をするものなのか、どう動いているのか気になってしまう。
「あれは、二階に人を運ぶエスカレーターっていう動く階段だよ。足の悪い人とか病気の人が不自由なく移動できるように作られた物だったはず。動力は、電気......雷の魔法みたいなものを利用してる感じかな」
アレク自身も、エスカレーターを分解したことや設計図を見たことがないので詳しい説明は出来ないが、何となく間違ってはいないだろうという思って答える。
「凄い......後で乗ってみたいなぁ」
「アレク、あれを城につけましょう。最近、メイド長が階段を上るのが辛いと言ってたのよ」
大樹とヘルミーナは、本来の目的を忘れて、物珍しいエスカレーターのことばかりに注目している。
「その話はあとでね。今は、服選びからだよ。この服目立ち過ぎて、ほら......大注目浴びてるからさ」
アレク達は、服だけで大注目を浴びていると思っているのだが、大樹の女性顔負けの美形と20代の容姿をした美男美女のアレクとヘルミーナだからこそだ。
周りにいる人々は、美し過ぎて声すら出ず、凝視してしまう。
「そ、そうね。でも、見たこともない服なのと、これだけの量があると迷ってしまうわ」
「父さん、このままだったら人集りが出来そう。店員さんに選んでもらうのはどうかな?」
気付くとどんどん人が集まってきて大変なことなっていた。傍から見ると、芸能人のお忍びが見つかってしまったのではと勘違いさせるほどだ。
「アハハ、考えが甘すぎたかも。あ!ちょうど店員さんが来たし、大樹の言う通り頼もうか。あの~、すみません!服を選んでもらえませんか?」
何事かと人混みを掻き分けてやってくる20代前半くらいの女性にアレクが尋ねた瞬間、アレクのあまりのカッコ良さに、女性は顔を真っ赤にして、そのまま倒れてしまった。
急に倒れたのでアレクが慌てていると、スーツ着たポニーテールのキャリアウーマンらしき美人な30代の女性と警備の人が数人やってきて、アレク達に来るように誘導してきた。アレク達は、その指示に従って移動する。
「え~っと、日本語は通じますか?」
事務所に通されたアレク達は、外国人だと思われているのか、日本語が通じるか確認される。
「はい!通じますよ。助けて頂きありがとうございました。お金は、この通りお支払いしますので、私達に似合う服を何着か選んでもらえませんか?今戻ると、またパニックになりそうでして......」
アレクは、このまま警察に通報された場合は、この女性の記憶を消して逃亡しようと考えていたが、雰囲気からして心配なさそうだ。
「日本語がお上手ですね。それから、先程の提案理解しました。試着室も、ご利用になられると思いますので、一部を一時封鎖に致します。その代わり......お願いがございまして......あ!勿論、衣服に関しては、タダでお渡し致します」
「試着室が使えるのとタダは魅力的な提案ですが、お願いとは何でしょうか?」
異世界では、一国の王だが、今は不法入国者に過ぎないアレクは、どんな無理難題を迫れるのか、生唾を飲み込み答えるのを待つ。
「モデルをお願い致します!今日モデルの撮影があったのですが、まだ来ていなくて......しかも、人気アイドルなのでお客様も多数来店している中、すでに1時間も待たせておりまして......どうか、どうか、私達を助けると思ってお願いします」
「はい!?も、モデル!?」
前世では、関わることのなかった三文字の言葉が飛び出して、ひっくり返ったような声を上げる。相手の女性は、「はい!」と追い打ちをかけるように真剣な顔で答える。
「アレク?大丈夫?」
「父さん、この人はなんて言ってるの?もしかして、面倒な感じ?」
ヘルミーナと大樹は、日本語を理解出来ないので、真剣に話す女性から責められているのではないかと勘違いしている。
「大丈夫だよ。弊害なく服を選べるように写真を取りたいらしいんだよ。服もプレゼントしてくれるって。同意していいかな?詳しい話は、移動しながら話すからさ」
面倒な状況ではないことを知った二人は安心する。そして、写真くらいであれば何の問題もないと感じて頷いた。
「では、受けますので、早速始めましょう。ですが、来る予定のモデルが来た場合、何があっても責任は負いませんよ」
「はい!全責任は私が負います!ですが、その前にこの状況で、上が私に責任を押し付けるようなら辞めてやります。それに、あのアイドルには何度もやられているので、屈辱を味合わせてやりたいです」
人気アイドルということで、会社の上層部が何度も依頼を出したようだが、その度に服に文句をつけて帰ってしまったり、遅刻やスタッフに暴力などは当たり前で、この女性はいつか仕返しをしてやろうと考えていた。
勿論、毎回上層部に報告はしたのだが、売上しか見ていない上層部は何もすることなく、我慢しろとの一点張りだ。
「へぇ~、なら俺も協力しますよ!よし、屁の薬でも作るかな」
「ありがとうございます!えっ?最後何か言いましたか?」
最後のアレクの言葉は、異世界の言語で話したので、ヘルミーナと大樹にしか伝わっていない。
大樹とヘルミーナは、またしてもアレクが何かしでかそうとしてるなと思う。しかし、おもしろそうなので、協力しようと思うのだった。
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