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第3章 アレクを狙って

番外前編) 異世界からの救難信号!?嘘!?

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今から繰り広げられることは、アレクと大樹とヘルミーナしか知らない物語である。

大樹が独り立ちしてから500年くらいが経ったある日、アレクとヘルミーナの下に転移で大樹がやってきた。
アレクとヘルミーナは、大樹が帰ってくることを知らなかったので、素直に驚きの表情を浮かべる。

「大樹!どうしたの!?急に現れるからびっくりしたわよ」

「ドラゴンの仲裁に行くって言ってから100年だったっけ?なんかドラゴンとの間にあったの?」

大樹が、家に帰ってきたのは100年振りでヘルミーナもアレクも、もう家には帰って来ないものかと思っていた。

「父上、母上、ただいま戻りました!お元気そうで何よりです。ドラゴンの件は、無事解決したのですが、創造神様から厄介なお願いをされまして......父上と母上に助けてもらいたく......」

大樹は、アレクというよりはヘルミーナの容姿を濃く受け継いでおり、ザ・王子様といった美男子に育っていた。
そして、大樹は何やら歯切れの悪い感じで話し始めた。

「また悪魔の侵攻?いや依頼は、ヘルミーナにもだし......なんだろ?」

アレクは、普通であればこの世の終わりなような内容を平然と言っている。

「異世界の魔神討伐と復興の依頼です!父上と僕で魔神を討伐。復興の指揮を母上にお願いしたいのです。お願いします」

異世界の魔神討伐依頼という突拍子もない話をし始めた。
今まで一度も、異世界の救出話を持ち出したことのない創造神が依頼したのは、かなり深刻な状況が窺える。

「息子の頼みだし、俺は構わないよ。ヘルミーナもいいかな?」

「うん。大事な息子からの頼みだもの。それに、大樹一人で行かせる方が心配だわ」

ヘルミーナは、幾度の危機を乗り越えているので、今更異世界や魔神と聞かされても怯えることはない。
しかも、口には出さないが、内心家族旅行が出来ると喜んでいるくらいだ。

「父上、母上ありがとうございます!もうすぐすると、創造神様が用意したゲートが現れるはずです」

「え?ちょっと待って!行くのはいいけど、創造神様は来ないの?それに、三人しか行けないの?魔神がいるなら、みんなも連れて行きたいんだけど」

創造神からの依頼にも関わらず、本人は姿を現さず、しかも三人しかいけないという縛りがあることに疑問を感じる。

「えっと......創造神様は、忙しいみたいです。あと、ゲートに入れる制限が三人らしいので......あ!父上、母上、ゲートが開きましたよ。さぁ、行きましょう」

ゲートが現れると、何かを隠すように話を逸らせて、二人の背中を押しゲートに潜らせた。

「ちょ、大樹!なんか隠してるだろ?武器も持ってないのに......」

アレクは、最後まで言わせてもらえないまま、戦闘に必要な物すらない状態で異世界に行かされるのだった。





「え!?え!?」

「もしかして......に、日本!?ちょ、ちょっと大樹!これは、どうなってるの?」

アレクと大樹とヘルミーナが来た場所は、大量の人が往来する交差点とビルが無数に立ち並ぶ東京にある有名なスクランブル交差点だった。
ヘルミーナは、見慣れない景色と人の往来に戸惑い、アレクは異世界とは聞かされていたが、日本に来るとは思っておらず驚いている。

「父さん、母さん、ごめんなさい!異世界の魔神の話は嘘なんだ。詳しい話は、ここじゃなくて静かな場所でしよう。父さん、いい場所はないかな?僕と母さんは、日本に来るの初めてだからさ」

先程までは、王と王子の立場だったので敬語を使っていたが、日本に来て謁見ではなくなったので、家族と接する時の口調に戻した。

「はぁ~、何がどうなってるかはわからないけど、今のままじゃ目立つしね。とりあえず、店に入る前に服を調達しないと。走るよ」

三人共、異世界の服装なので周りからすると外国人のコスプレイヤーに見えてしまう。しかも、三人共美男美女で道行く人が立ち止まるほど目立っている。

「そうね。早く行きましょう。さっきから視線が気になって仕方ないわ」

「父さん、ゲートへ潜った時に持ってたお金は、日本のお金になっているはずだよ。確認してみて」

魔物の国は、人間の国に比べてドロドロした政治とかもなく、ヘルミーナに不快にさせる視線を向けられることはなかった。だから、余計に変な目で見られることに慣れておらず、不快に感じてしまう。

アレクは、大樹に言われた通りに、手持ちの金貨を見ると、全てが1万円札に変わっていた。

「アッハハハハ、大樹なんとなくわかったよ。じゃあ、俺とヘルミーナは、まんまと大樹の策略に嵌まろうかな。あれ?いつの間に、1万円札の柄が変わったんだろ?」

アレクは、日本に来たことやお金が両替されていることで、大樹からのサプライズだと気付いた。
このあとに、どんなことが待っているかはわからないが、悪いことではなさそうなので、大樹に日本旅行プランを任せることにするのだった。
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