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第3章 アレクを狙って

第748話 幸福度Maxのエルフ達は堕落する!

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アレクは、時間をかけてゆっくりとエルフの第二拠点を見回る。
すると、アレクが教えた前世の日本にあるような家が建ち並んでいる。
しかも、街中の道路はしっかり舗装されていて、馬車の往来もスムーズに行われていた。
そして、アレクはある見慣れた場所を発見して立ち寄ろうとした時に、暖簾をくぐって王様とライザーが姿を現した。

「あ、アレク様!?も、申し訳ございません!お出迎えも出来ず、失礼致しました」

王様とライザーは、アレクを見るなり、両膝を突いて謝罪の言葉を言う。
アレクは、独裁者に対するような行動を望んでいないので、慌てて二人を立ち上がらせる。

「二人共、立ち上がって。俺も、急に来たんだしさ。それより、なんでエルフの国に誰もいないの?」

「な、なんと言いますか......えっと、あまりの居心地の良さに離れられなくなったと申し上げるのが......」

銭湯から出てきた王様は、まだ髪が少し濡れた状態で頭から少し湯気も出ており、浴衣を着ていた。そして、アレクと最初に出会った時よりも肉付きがよくなり肌も綺麗になっている。

「え!?そういうこと!?どうりで満たされた顔になってるわけだ。少し話せたりする?」

アレクは内心、やり過ぎたかなと感じながらも、これだけの幸福度を与えることが出来たなら、簡単には反旗を翻すようなことはしないだろうと思う。

「はい!城に案内致します。こちらにお越しください」

アレクは、事前にドワーフ達には、休暇を満喫してから戻ってきたらいいことと、休暇中にアレクを見ても挨拶の必要はないと伝えているので、ドワーフはアレクを見ても酒を飲み続けている。

「ライザーさんも、随分と楽しんでるね。それに前よりも、魔力が安定して強くなってる気がするよ」

ライザーも、肌艶が良くなって自慢の筋肉も生き生きとしていて、魔力の質も良くなっている。

「ゔっ......恥ずかしながら楽しんでおります。それに、日に日に体に漲る力が増しておりまして、前の暮らしに戻るのが怖いと感じています」

本心では、もう二度とエルフの以前のような暮らしには戻りたくないと感じているが、王様の前では言えないので怖いと表現する。

「余は、戻る気はない。このような満ち足りた生活をさせたアレク様が悪いのだ。それに、料理が美味すぎるではないか!あれは魔法か何かか?肉が一切臭みがないとはおかしいではないか」

王様は、興奮して敬語ではなくなる。更に、戻る気はない発言に対して、せっかく気を使ったライザーは、その場でズッコケる。

「いやいや、俺のせいにされても。それに、肉の処理は人間世界だと当たり前だよ。ただ、あの味付けは魔物の街か魔ノ国か大和ノ国くらいじゃないかな。王国でも王族くらいしか食べてないしね」

アレクは、親交が深い魔ノ国にはレシピを教えていた。大和ノ国は、元々日本に近い文化なのでアレクが訪れた時から調理法から日本酒の作り方などが確立されていた。

「うむ。やはり閉鎖的にしてしまった弊害といえよう。当たり前が当たり前ではないとは恐ろしい......アレク様、このレシピは門外不出にするよう同胞に箝口令を敷かせてもらいます」

「やっと気づいてくれてよかった。う~ん?レシピは難しいんだよね。俺的には、広めたいけど、変なやつや裏で独占するやつに渡したくないしさ。じゃあ、何かしら契約内容を決めて従ってくれる店だけに渡してみようかな」

アレク的には、世界中に広まって豊かな暮らしになればいいと感じているのだが、この世界では簡単なことではないので、何かいい方法を考えなくてはなと考える。

「我々が口出しすることは何もありません。アレク様に従うのみ。考えがまとまるまでは、命に代えてもレシピが口外しないよう務めさせてもらいます」

王様は、アレクに絶対的服従をすることに決めた。アレクについていけば、エルフの未来は明るいと考えたからだ。

「そこまでしなくても......それに、そんなこと言われても何もでないよ。それよりさ、そろそろ王国と魔ノ国の代表を招いて国交を結びたいけど大丈夫かな?」

アレクの本来の目的は、同盟を結ぶことだ。
これにより、アレクがいない場合でもお互いが支え合って危機を乗り越えられると考えた。

「はい!いつでもお招きする準備は整っております。では、城に着きましたので、細かな話を致しましょう」

アレクと王様は、三国同盟の日程と細かな取り引き内容などの打ち合わせをするのだった。
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