チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
597 / 821
第3章 アレクを狙って

第708話 職人の有り難さと気付きと成長!

しおりを挟む
大樹は、アレクにごめんなさいをして、元の親子の関係に戻ることができた。
そして、今日はアレクが大樹を抱っこして、二人で学校の建設状況を確認しにきた。
ちなみに、ヘルミーナはスベアと元学園組と十戒とで、教育方針やら授業スケージュールの話し合いに出かけている。

「二人で、出掛けるなんて久しぶりだね。でも、俺の方についてきてよかったの?あっちには、セトとかランスとか相手してくれるお兄さんがいっぱいいたのに」

「僕は、パパといたかったんでしゅ。まだまだ、よくわからないことがいっぱいでしゅから学ぶでしゅ。それと、パパがみんなに慕われる理由を知りたいんでしゅ」

建築現場を見に行くだけなので、大樹からすると暇だろうと思い、セト達がいる方が楽しいのではないかと感じたアレクだったが、大樹は先日のことで足りない物があることや街に出るとアレクに感謝する声などをいつも聞くので、何故なのかを知りたくなった。

「大樹がいいならいいか。それに、パパも大樹と一緒に出掛けられて嬉しいしね」

「うん。僕も、パパと遊べて嬉しいでしゅよ」

大樹が、満面の笑みで応えると、照れたアレクは鼻を擦って、照れ隠しをしながら少し嬉しそうな顔をする。

「おやっさ~ん、順調そうですね」

腕組みをしながら、建設途中の学校を見ていたおやっさんに声をかけた。

「坊主か!それに、坊主の坊主も来たんじゃな。うむ。順調だぞい。だが、今回は試験を兼ねて魔物だけに任せておるわい。見習い卒業試験というやつじゃな」

各ドワーフの見習いが、総出となって学校建設にあたっている。しかし、外観を見た感じ、見習いが作ったとは思えないほどの出来栄えになっていた。

「おやっさん、坊主の坊主ではなく大樹と呼んであげてくださいよ。それにしても、まだ途中ですが、もう卒業でいいんじゃないですか?十分立派に感じますが」

「なんじゃ?坊主の坊主で間違ってないじゃろ?それ以外、呼ばんわい。それと、坊主には、そう見えるか。じゃがな、ワシらは毎日家主の命を預かっておるんじゃ。意味がわかるかのぅ?」

アレクは、坊主呼びに諦めがついていたが、流石に坊主の坊主は呼びにくいだろうし、大樹も名前で呼ばれたいだろうと思ったのだが、おやっさんは呼び方を変えてくれないようだ。

「相変わらずですね。もう坊主の坊主でいいですよ。それより、命ですか?ん~?どういうことだろう......教えてもらってもいいですか?」

冒険者や騎士ならば、命という言葉を使うのはわかるのだが、大工が命を、それも毎日預かっている意味がわからない。

「そうじゃな。坊主は、毎日屋根が落ちてこないかと、ビクビク怯えながら暮らしておるかのぅ?どうじゃ?」

「いえ、そんなことは考えたこともありません。気にするとしたら、災害や魔物が現れた時くらいでしょうか?」

おやっさんから、急に屋根が落ちてくる発言を受けたが、前世も今も一度たりともそのようなことに巻き込まれたこともないし、ましてや、そのようなことを考えもしなかった。

「普通は当たり前になっとるから、そうじゃろうな。しかしのぅ、ワシらからすると、普段の生活の中で事故などあってはならんのじゃ。柱の一本一本から丁寧に寸分の狂いなく建てる。意味がわかったかのぅ?」

「あ!やっとわかりました。最初の発言を謝らせてください。愚弄する発言をして申し訳ございませんでした」

プロでもない素人のアレクが、わかったような口ぶりで簡単に答えてしまったことに気付いて、おやっさんに頭を下げて謝る。
更に、見習いとプロを同じような仕事をしているような気持ちで捉えたのもいけないと感じた。

「うむ!わかってくれたらええんじゃ。ワシは、アレクの人となりを知っているから大丈夫じゃが、どんな職業の者に対しても、真剣に取り組んでおる者に言ってはならんぞい」

「はい!肝に銘じます。それから改めて、この街の移住区を建てて頂きありがとうございます」

アレクと関係性があるからこそ、おやっさんは最初の発言で怒ることなく、優しく教えた。
そして、アレクは当たり前だと思っていたことが、そのような思いで作られていることを知って、改めて感謝する。

「ワシの専門は、武具じゃわい。その言葉は、建てたドワーフと見習いの魔物達に言ってやるんじゃな」

おやっさんは、感謝する相手を間違っていると言って、近くで見習い達を鋭い眼光で見ているドワーフの方に目配せする。

「わかりました。大樹、パパの成長に、もう少し付き合ってくれるかな?」

「いいでしゅよ。僕も、勉強になるでしゅ。僕も、みんなにありがとうしたいでしゅ」

アレクは、「そうかそうか」と言いながら、大樹の頭を撫でて、お礼を言いに行くのだった。
しおりを挟む
感想 2,193

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。