上 下
587 / 781
第3章 アレクを狙って

第698話 湖の調査と久しぶりの鑑定!

しおりを挟む
アレクとパスクは、湖の近くに降り立った。
そして、二人は調査へと向かう。

「アレク様、湖の調査とはいったい何をされるのですか?」

パスクは、共和国に出向いていたので、湖のことを何も知らない。

「あ!そうか。パスクは知らないもんね。えっと、王様いわく湖の水が、エルフの長命に関係してるらしくて、鑑定スキルと薬学スキルで、詳しく調べようかなって」

アレクは、湖の水を使って、何か新しい薬を作ることはできないかと考えて、昨夜色々調べていた。

「私のいない間に、そんなことがあったのですね。では、早急に第二の拠点作りが必須になりますね。拠点に適した場所を選定し、魔物の街から魔物とドワーフを派遣しましょう」

アレクは、王との話し合いを一切パスクに話していないのだが、湖の水というキーワードを耳にしただけで、すぐに第二の拠点の必要性を考えついた。

「俺の考えた答えと同じで安心したよ。パスクが言うなら間違いないね。拠点については、王様にも話しているし、まずは魔ノ国と会談をしてもらう予定だよ。帰ったら、ラヴァーナ様に確認を取らなきゃいけないけどね」

「魔ノ国ですか。確かに、多種族国家ですし、魔道具の運用が可能になれば、今後エルフが動きやすくなりますね」

アレクが、表面的なことを言っただけで、パスクはアレクの考えを汲み取って答えまで行き着いてしまう。

「流石、パスク!やっぱり、うちの頭脳だね。よし、今後の流れも話したし、早速作るとしようか」

全知全能薬学で、昨夜発見したという薬を作ろうとしている。そして、薬素材創造でリーフの葉と仙桃と不死之草を生み出す。

「この仙桃と不死之草って前世の神話に出てくるくらいの物なんだよね。本当に実在すると思わなかったよ」

仙桃は、孫悟空が盗み食いをして不老長寿を手に入れたという逸話がある。
不死之草は、死者の顔に被せると復活させ、食べると長寿になるという逸話がある。
この二つをしれっと作り出した。

「神話級のアイテム......それに、リーフの葉も、この世界の神話級のアイテムです。そんな物から作り出した薬を世に出して大丈夫なのですか?」

素材だけでも、国一つの予算が吹き飛ぶのではないかといった物を、組み合わせて作り出していいのかと悩んでしまう。

「へへっ、世には出せないと思う。多分、今から作るのは、一生封印かな。でも、好奇心が勝るんだよ。調合」

アレクは、欲を満たしたいがためだけに作り始める。そして、あっさり調合と口にする。
すると、全てが混ざり合って無色透明な何の変哲もないただの水が出来上がった。

「出来上がりは、み、水ですよね?あれだけ混ぜて無色透明というのが、不気味ではありますが」

「一応、事前に調べた結果は、不老不死薬なんだけどね。湖の水と一緒に鑑定してみるね」

【~生命の雫~】
正真正銘の不老不死薬。
人生において一度だけ効力を発揮する。飲んだ時点の年齢と容姿で一生を過ごす。体を切り刻まれようが死ぬことはない。

【~長命水~】
昔に神が与えたとされる長命の水。
毎日コップ1杯分飲むことで、効果が現れる。一年飲み続けると1歳若返る。しかし、運命による寿命を回避することは出来ない。
飲むことを1日でもやめてしまうとリセットされる。

「今作ったのが、生命の雫ってやつなんだけど、不老不死薬だってさ。効力を見たら世に出せなさそうだから封印だよ。湖の水は、長命水って言うらしいんだけど、毎日飲まないと意味がないらしい。縛りが大きそうだね」

長命水の説明を見ると、元々からエルフはある程度長生きする種族だが、毎日欠かさず長命水を飲んでいる人物は、長命になるのではなく、年を取らないということがわかった。

「それは、アレク様が厳重に保管してください。毎日ですか。ですが、公表する人物を絞った方がよろしいと思います。どちらにしても、一般的に公開は出来ないと思います」

「そうだね。あと、長命水なんだけど、コップ1杯を1年間飲み続けると1歳若返るらしい。でも、1日飲まなかったら、また1年飲み続ける必要があって、運命による寿命は回避できないんだって。これをエルフに伝えるべきかな?」

パスクから、慎重に選ぶよう言われたアレクは、どうしようかと頭の中で考える。それから、鑑定で得られた事実をエルフに教えていいか迷ってしまう。

「1年間飲み続けるのは面倒ですね。ですが、これが普通なのでしょう。アレク様の薬に、デメリットが無さすぎて麻痺しておりました。それと、伝えるかについてですが、エルフの王様にだけ話し、周知するかを判断してもらうのはどうでしょうか?」

パスクは、アレクが当たり前に、メリットしかない薬を渡してくるので、麻痺していたが、一見凄そうに感じない長命水の効力も普通で考えると凄すぎるのである。

「麻痺か......ちょっと前から思うことがあってさ。魔物の街に帰ったら話すよ。それと、王様だけに話す案、ありがとう。それで行くね。じゃあ、帰ろっか」

「はい!」

アレクは、薬で思うことがあったようで、という言葉に反応してしまう。
そして、アレクとパスクは、湖から飛び立ち城に戻るのだった。
しおりを挟む
感想 2,162

あなたにおすすめの小説

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。