チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第690話 仲間の考えとアレクの考えの相違！

アクセルを城に連れて行くと、すぐに牢屋へと入れられることになった。
しかし、宴が行われているということで、明日に玉座の間で判決が下されることになったのだが、エルフの兵士だけに見張りを任せるのは不安だったので、アレク達が交代で見張りについた。

「ご主人様、よろしいですか？」

最初の見張りは、オレールとナハスが行って、今は交代してアレクとレッドドラゴンが二人で見張りをしている。

「ん？どうしたの？」

アレクは、警戒しながらも、張り詰めたような様子はなく、普段と同じように返事をする。

「何故、あの王はアレク様を待たせてまで、宴を開いたのですか！？宴など延期をして、あの者の処遇を決めるのが先ではありませんか？」

主であるアレクが、何よりも一番と考えるレッドドラゴンにとって、このようになっている現状が理解し難い。

「う～ん！？難しいよね。レッドドラゴンの言い分もわかるし、王様の考えてることもわかるからね。あのさ、説明する前に言わなきゃいけないことがあるんだ。王様と二人きりになった時に、頭を下げられたんだよね」

アクセスを連行した時に、アレクは陛下と二人になる瞬間があり、いきなり頭を下げられていた。身勝手なことだとは思っているが、宴を開いて同族を安心させたいから、力を貸してほしいという内容だった。
アレクは、いいように使われている気もしたのだが、王からは利用とかではなく、心の底からお願いされているように感じて承諾した。

「俺の勘だけど、利用するような王様には見えないからさ。確かに、危機が続く中、悠長に宴を開いている場合じゃないのもわかるけど、前を向くために必要とも感じるんだよ。思うことはあるだろうけど、飲み込んでくれないかな？」

アレクや王国なら、もっとうまいこと市民の信頼を得ながら、事を解決に導くような考えや行動が取れただろうが、今まで事件という事件が起こったことがなく、武力においても劣っているエルフなら仕方ないのかなと思ってしまう。

「ご主人様の命令とあらば、私は何も言うことはこざいません。ですが、一つだけ言わせて頂きたいことがございます。よろしいですか？」

レッドドラゴンは、真剣な表情でアレクを見ながら、伝えたいことがあると話す。

「命令ではないんだけどね。でも、今の言い方なら命令になっちゃうのか。難しいなぁ......あ！それで、言いたいことってなにかな？」

アレクは、レッドドラゴンに対して、笑顔で尋ねる。

「頭の悪い私ですが、これだけはわかります。ご主人様は、もっと自分の価値を理解してほしいです。いつか、ご主人様を陥れ、舐めるような人物が現れた場合、私達の誰かが不満を爆発させてしまうと思います」

レッドドラゴンは、今回のエルフ達の傲慢さにも我慢を超えるほどの我慢していた。このようなことが、これからも起きると考えると、いつか抑えが効かず暴走してしまうと思う。
そして、暴君のような傲慢さは、必要ないが、もっと身分に見合った悠然さな振る舞いをしてほしいと考えている。

「今日のレッドドラゴンは、難題を投げかけてくるね。でも、そう言う考えを抱かせた俺に責任があるんだよね。ごめんな。水を飲んだら、考えを話すよ」

アレクは、ここまで好きなようにやってきて、みんなも不満なく過ごしていたと思っていたが、そうではないことを知って反省する。

「そうだね。俺は、この世界の王様のようにはなれないかな？確かに、舐められることもあるだろうけど、それは相手のレベルが低いか見定める力ないんだよ。ん～、本当に難しいね。本来なら、レッドドラゴンのいうような人物でいるべきなんだと思うよ」

アレクは、本来貴族や王や上に立つような器ではないと考えている。そして、近くにいる仲間だけがアレクのことを理解してくれて、周りからはどう思われてもいいとさえ思っている。だが、仲間はアレクを慕って、主だと認めている以上、アレクが何者よりも優れており、一番であってほしいと願う。
だからこそ、アレクは難しい問題だと答えるのだ。

「ご主人様、困らせるような質問をして申し訳ございませんでした」

「いや、最もな質問だし、素直に言ってくれてよかったよ。ん～、そうだね～。戻ったらパスクに聞いてみてよ。俺より、頭いいからわかりやすく、レッドドラゴンの納得の行く答えを出してくれるはず」

アレクのことを一番理解しながらも、平等に見ることができて、わかりやすく言語化可能なパスクに頼ることにした。

「はい！聞いてみようと思います。話を聞いて下さり、ありがとうございました」

「なかなか、レッドドラゴンを二人で話す機会もなかったし、率直気持ち聞けてよかったよ。こちらこそありがとう」

アレクは、ニコニコしながら、子供にするように優しくレッドドラゴンの頭を撫でるのだった。