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第3章 アレクを狙って

第673話 反省・精霊・王の憂い!

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無事にヤン達は、家族との再会を終えて、次はメインディッシュに移ろうかとしていた時に、王達の後ろにいたバカエルフ達は、まさか王子と守護者の娘だったとは思っていなかったので、話を聞いて焦り始めていた。

「アレク殿から話は聞いていたが、余の息子だと気付かず話も聞かずに暴走したらしいではないか!本当に情けない」

王は、振り返ってバカエルフ達に、今回仕出かしたことを咎め始める。

「そ、それは、見た目が全く......」

「黙らんか!見た目が多少変わっていようと面影でわかるであろう!普段から精霊に頼り過ぎなのだ!暫くは、精霊に頼らん生活をしてもらう。わかったな!」

ヤンは、共和国で流行っているような服装と髪型をしていた。そして、閉鎖的な空間ではなく、多種多様な人達と関わってきたことや家族ができたことで、顔付きも少し変わっていた。
人間と人間ならば、このくらいの変化でも気付くのだが、普段から精霊に頼りきりなエルフからすると変化に気付くことが出来なかったのだ。

「せ、せ、精霊様無き生活......」

エルフ達は、精霊のいない生活と聞いて、言葉が出なくなる。

「今精霊達は、力を蓄えておられる。それは、余とライザーを救うために最後まで力を使われたからだ。余も、精霊がいて当たり前になっておった。だからこそ、この機会に精霊に頼らない基盤作りをせねばと思ったのだ」

毒魔虫の脅威から守ることができたのは、ライザーの魔力が高かったわけではなく、国民全ての精霊が王を守るために集まり、ライザーに力を貸してくれていた。
そして、ほとんどの魔力を使い果たした精霊達は、今眠りについているのだ。

「お前達に、色々言ったが、余も変わらなくてはならんということだ。それに、アレク殿達を見て、余達はなんて狭い世界に住んでおったのだと実感したのである。その前に、この国で何が起こっているのか見てもらうとしよう」

「・・・・・・・」

王の発言を聞いたエルフ達は、黙るほかなかった。
そして王自身が、今回の出来事に対して、一番不甲斐ないと感じると共に、過去の呪縛に囚われ過ぎていたと感じる。過去エルフと人間に何があったのかはわからないが、いずれ王の口から語られる時がくるだろう。

「王様、湖に言ってもそろそろよろしいですか?」

アレクは、話が終わった頃合いを見計らって問いかける。

「うむ!迷惑をかけてすまんが、よろしく頼む。先程話した通り、この中から誰でも好きな者を選んでもらって構わんのでな」

王は、アレクに全てを任せるつもりでいるようである。

「はい。では、湖に行きましょう」

そう言って、アレク達は街を出て、あのおぞましい湖へと向かう。
何故、湖に向かうのかわからないエルフ達は、先程釘を刺されて黙ってはいるが、終始不貞腐れた表情をするのだ。
しかし、湖に近付くにつれて、遠目でも明らかに普段と違う様子に、段々と驚愕の表情へと変わる。

「こ、これはどうなっておるのだ!?」

王は、話を聞かされていたが、あまりの変貌ぶりに驚きのあまりに言葉がこれ以上でなくなる。

「王よ、目を覚ましてください!これこそが、何よりの証拠。こ奴らが、我々エルフを陥れようとしたのです」

王の驚愕する表情を見たエルフは、何の考えもなしに、ここだと言わんばかりにアレク達のせいにしようと必死になるのだ。

「この湖から、あの虫が発生したようなのです。すぐにでも元の湖に戻せますが、あちらのエルフの方が俺達のせいにしたいみたいなのですが、どうしましょうか?」

アレクは、事前に王へ湖のことを話していたが、エルフに分からせるために、もう一度同じ話をした。

「先程話した通りにしてくれて構わん。一度、自分自身の目で見なければわからないこともあろう」

「そうですか。では、先程俺達のせいにしたこの人にしましょう」

アレクは、さっきのエルフのところに行き、首根っこを掴んで湖に近付く。
そしてエルフは、アレクに向かって罵詈雑言を浴びせるが、アレクは一切聞く耳を持たず、湖の目の前にやってきた。
すると、湖から大量の毒魔虫が現れて、ゆっくりとアレクとエルフに近付いてくるのだった。
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