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第3章 アレクを狙って

第645話 イカさんと漁師達との別れ!

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ジアが、魔物の街を訪れる少し前に遡る。
アレク達は、バーベキューを終えて片付けをしていた。クラーケンの肉が、まだまだ大量にあるので、漁師達と分けることにしたのだ。

「一生に一度見れるか見れないかの高級なクラーケンの肉をもらってよかったのか?」

ガンダは、対価なしに分けると言われて、本当にもらっていいのかと疑問に感じてしまう。

「はい!気にしないでください。俺達は、いくらでも取れるので。まぁ、できれば街の人達に無償で振る舞ってもらえると嬉しいです」

「おっ!確かにな。提携しようとしてる店に頼んでみるわ。酒が飛ぶように売れるだろうからよ。喜んで協力してくれるはずだ」

クラーケンの刺し身を提供してもらおうと考えている飲食店にお願いをして、クラーケンの料理を無償で提供してもらおうと考える。
ガンダの狙いとしては、クラーケンの料理を提供する店の周知とクラーケンがこれほどまでに美味であることを知ってもらう計画なのだ。
しかも、飲食店にとっても、酒が売れることでプラスになるので断る要素はないと考えている。

「ありがとうございます。いい話を持ってこれるように努力しますね。では、俺達は失礼します」

「お待ちください!お願いがございます」

アレクが、みんなを連れてストレンの街に戻ろうとした時に、イカが声をかけてくる。

「イカさん、お願いってどうしたの?」

「私が、クラーケンを捕まえてくるので、魔石と少しでいいので料理を頂けませんか?他に見返りはいりません。あっ!それと漁の邪魔になる魔物がいれば言ってくれたら捕まえます」

イカのお願いとは、こちらにとって利益しかない話であった。
しかも、クラーケンだけではなく、漁師にとって難敵である海の魔物も駆除してくれるというのだ。

「え!?こっちとしては嬉しい話だけど、イカさんに利益がなさすぎて、本当にいいの?」

裏がないことは明白だと感じるアレクは、イカにとってあまりにメリットが少ないので本当にいいのかと思ってしまうのだ。

「はい!調理する素晴らしさを知りましたから。私は、ほら......吸盤しかないでしょ!これでは調理できないですから、持ちつ持たれつってやつですよ。ハハハハ」

イカは、進化して頭もよくなったのか、冗談を口にする。

「あ、うん。そうだね」

アレクは、イカの冗談など初めてなので、どう返していいかわからず、返答に困り果ててたどたどしく返すのだ。

「ちょ、ちょっと、その反応やめてください!私が、バカみたいではないですか~」

イカは、足を砂浜にべちんべちんと打ち付けて、そこは嘘でも笑ってくれと言わんばかりの反応を示す。

「イカさんよ、俺は嫌いじゃねぇよ。だから、元気だしな!それから、さっきの話だが、俺達は願ったりかなったりだ!ほれ、あいつらを見てみな」

ガンダは、イカに近付いて、肩なのか?胴体の一部なのか?わからない部分をパンパン叩いて慰める。
そして、イカがガンダの指差す方を見ると、漁師全員が親指を立ててGoodのサインを出しているのだ。

「ゔゔぅぅぅぐ......みなざ~ん!なんでやざじい人達ばがりなんですが。絶対にお役に立ってみぜまず......うわぁぁぁん」

イカは、漁師達の優しさに触れて居ても立っても居られなくなったのか、砂浜を蹴り上げジャンプして海に飛び込み、そのまま沖まで泳いで行ってしまう。

「ブッハハハハ、おもしれぇやつだ!おめぇら、最終目標を伝える。あいつをこの街に住まわすぞ!いいな?」

ガンダは、イカのことを気に入ってしまい、住人達に認めさせて街に住まわせよう漁師全員に言う。
それを聞いた漁師達は、「お~任せとけ」と次々に声が上がるのだ。

「アレク様、俺達は準備があるからよ。話がまとまったら来てくれ!それと、ワクワクする出会いに感謝だな」

ガンダは、アレクに握手を求めてくる。アレクは、それに応えるようにガッチリと握手を交わすのだ。

「俺こそありがとうございました。イカさんをよろしくお願いしますね。では、俺達はこれで失礼します」

アレクは、望んでいた魔物との共存が、少しずつではあるが、現実味を帯びてきているので嬉しく感じるのだった。
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