上 下
528 / 667
第3章 アレクを狙って

第639話 高価なキャンプ道具と地元の漁師!

しおりを挟む
アレクは、おやっさんに作ってもらったキャンプ道具を魔法鞄から次々と出していく。
ナハス達は、見たこともない物が次々に出てくるので、なんだろうと思うのだ。

「アレク、これは何なの?」

ヘルミーナは、キャンプ道具を見て、何をするものなのか?どうやって使うものなのかを尋ねてくる。

「これは、キャンプ道具って言って、外で野宿したり、こうやって野外でご飯を食べたりする時に使う物だよ。ほら、こんな簡単に椅子になったりするんだ」

アレクは、得意気に折りたたみ椅子を広げて見せる。

「わぁ!これ椅子だったのね!それに、これかなり上質な素材で作られてないかしら?多分だけど、王都の商業ギルドですら扱ったことがないかもしれないわ」

ヘルミーナは、元々商業ギルドのギルドマスターをしていたので、背もたれと座る部分に使われている素材を見破るのだ。

「流石ヘルミーナだね。おやっさんいわくキングデーモンスパイダーの糸が使われてるらしいよ。俺は、出会ったことない魔物だからよく知らないんだけどね。そんな珍しい魔物なの?」

「キ、キングデーモンスパイダー!?何言ってるの!王家すら持ってない代物よ!キングデーモンスパイダーに見つかったら逃げるか、何百人で戦ってやっと倒せるか倒せないかなの!この椅子一つで金貨何百枚いやもっとするかもしれないわ」

アレクは、キングデーモンスパイダーについて全然知りもしなかったので価値を一切把握していなかったのだが、ヘルミーナは価値を理解しているので卒倒するくらい驚くのだ。

「え!?そんな凄い魔物なの!?じゃあ、どうやって糸を集めたんだろう?帰ったら聞いてみないとだね」

「はぁ~、アレクといると驚くことばかりだわ......もっと驚いてよ!私が馬鹿みたいだわ」

アレクは、多少驚いてはいたのだが、ノックス達が関わっているのだろうくらいに思っているので、魔物の街に帰ってから確認すればいいかと思うのだ。
しかし、ヘルミーナからすると、一人だけ驚いて馬鹿みたいだと恥ずかしくなる。

「ごめんね。そんなつもりで言ったわけじゃないんだよ。ただ見たことがないからさ。それより、火を起こして調理しようか」

アレクは、話を逸らすかのように、バーベキューコンロを組み立てて炭を取り出し、火起こしを始める。

「ナハス、こんな感じで、炭が真っ赤になるまで手伝ってくれないかな?」

アレクは、右手から火魔法をバーナーのように出して、左手からうちわで送るくらいの風を風魔法で再現をして火を起こそうとしているのだ。

「こんな感じで火を起こすのですね。てっきり木を使うのかと思いました」

ナハスは、アレクに言われた通り、火を起こしを代わる。しかし、従来この世界の人間がするような方法ではないので疑問に感じるのだ。

「木より時間はかかるんだけど、炭で焼いた方が何十倍もおいしく出来上がるんだよ。一度味わったらわかると思うよ」

「わかりました!ご主人様の命令ならば従いますし、私も味わってみたいですから頑張ります」

アレクは、命令ではないんだけどなと思い苦笑いを浮かべるが、ナハスはやる気満々の様子なので、そのまま受け流してクラーケンの調理に入ろうとする。

「クラーケンも、イカと同じでいいのかな?でも、内臓とかどうやって取り出そうかな......」

アレクは、巨大なクラーケンの前でミスリルのナイフを片手に、どうやってこの巨大なクラーケンを調理すればいいかわからず立ち尽くすのだ。

「こりゃ、すげぇ~な!間違ってたら悪いが、アレク様じゃないか?」

「おい!もし、本当にアレク様だったらどうするんだ!無礼な言葉遣いして殺される可能性だってあるんだぞ」

アレクが、立ち尽くしていると後ろから二人のおじさんが話しかけてきた。

「ん?はい!アレクで間違いないですが、誰ですか?」

「やっぱりアレク様じゃないか!どうするんだよ!俺達打ち首になったりしないよな?」

先程、言葉遣いを注意していたおじさんの方が怯えて、もう一人の男に話しかけている。

「お前は黙っとけ!アレク様、俺は漁師をしてるガンダというんだが、昔パレードの時にアレク様を見かけた感じだ。んで、さっき通りかかったら、でけぇ~クラーケンがいるもんでよ。気になって来たってわけよ」

ガンダは、一切アレクに臆することなく話しかけてくる。見た目も、海の男といったガタイのいい無精髭が似合う物怖じしない人物なのだ。

「あぁ、懐かしいですね!もう5年前くらいになるかな?よく覚えてましたね。あと、クラーケンを捕まえたはいいんですが、解体できなくてどうしようってなってました」

ヨゼフ達に家族として向かい入れられて、街の人に周知してもらうために執り行われたパレードをガンダは見て、アレクを知っていたようなのだ。

「あの時は、領主様に息子ができたって聞いて驚きだったからよ。よく覚えてるんだわ。それより、仲間連れてくっから待ってろ!解体してやる」

ガンダは、言い終わるとすぐに、もう一人を連れて仲間を呼びに向かうのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私にだって幸せになる権利はあるはずです!

風見ゆうみ
恋愛
「お姉さま! お姉さま! シェールは、お姉さまの事が大好きよ! だから、ずーっとずっと一緒にいてね?」 伯爵家に生まれた私、ミュア・ブギンズは、2つ下の妹になぜか執着されていた。 小さい頃は可愛く思えていた妹の執着は大人になっても続き、やっと決まった婚約者の候爵令息まで妹の虜になってしまう。 私を誰とも結婚させたくないシェールの策略が裏目に出て私は婚約破棄され、仮住まいの家から追い出されてしまう。実家にも拒否され、絶望の淵にいた私に手を差し伸べてくれたのは…。 ※小説家になろうさんでも公開しています。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。 ※話が合わない場合はそっと閉じて下さい。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました

海夏世もみじ
ファンタジー
 動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

殿下? やっと魅了が解けたのに、なぜ喜ばれないのですか?

柚木ゆず
恋愛
※申し訳ございません。現在持病(心臓の不調)によりログインできる時間が減ってしまっているため、感想欄を一時的に閉じております。  王太子フルク・サンバーズ。彼は半年前に公爵令嬢キトリー・ポレアレカの罠にはまり、魅了をかけられてしまいキトリーの操り人形となっていました。  そんなフルクは幸いにも婚約者ペリーヌが異変に気付いたことにより、魅了は消え去り自由を取り戻したのですが――。 「殿下……? 魅了が解けたのに、喜ばれないのですね?」  ――魅了が解けたフルクは、急に焦り始めたのでした。  実は、彼には大きな隠し事があって――

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。