チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第621話 え！？話せるの？と親バカアレク！

「アレク、大樹を抱っこしてあげてくれるかしら」

「うん！大樹、久しぶりだね！パパだよ～」

ヘルミーナから大樹を受け取ると、デレデレの顔になって大樹に話しかけるのだ。
しかし、大樹はどこか不機嫌そうな顔をしてアレクを睨みつける。

「パパ、メ！みんな悲しんでたでしゅ！みんなの前で土下座でしゅ！しないなら一生口聞かないでしゅよ」

生まれて1年も経っていない大樹が、流暢に話し始めたのを聞いて、全員が目を疑って驚く。

「え！？もしかして、大樹がしゃべったの？」

「僕以外に誰がいるでしゅか！目の前で話してるでしゅよ」

アレクが、まさかと思って尋ねてみると、次こそは確実に大樹から声が聞こえてくるのだ。

「ヘルミーナ、大樹ってもう会話できるの！？」

アレクは、驚きのあまりヘルミーナに聞いてみる。もしかすると、ナハスの魔法でドッキリを仕掛けてるのかとも思ったからだ。

「全然知らなかったわ......私とナハスでいる時は、あぁとかバブとかしか言ってなかったもの」

ヘルミーナの驚く表情とナハスの驚く表情を見ても嘘をついているわけではないということがわかる。

「ママとナハス、だいしゅきでしゅよ！今のパパは、嫌いでしゅ！ママ、僕は夜中に書庫で勉強したんでしゅ！驚かせようと頑張ったんでしゅ」

ヘルミーナとナハスが目を離した隙を狙って、文字の読み書きから始めて、歴史や算術の勉強まで網羅してしまっているのだ。

「パパ嫌いパパ嫌い......」

アレクは、大樹からの嫌いという言葉を聞いて魂ここにあらず状態となる。アレクは、大樹をヘルミーナに預けたあと、フラフラと部屋の隅に行って体育座りをするのだ。

「大樹、あまりパパをいじめちゃだめよ！ほらぁ、いじけちゃったわ！それにしても、私達を驚かせるためでも、こんな早く話せて天才よ！大樹偉い偉い」

「はい！大樹様は、天才でございます！天使族でも、ここまで早く話せる者はおりません！」

大樹を囲んで、ヘルミーナとナハスは、これでもかというくらい褒めて頭を撫でる。

「えへへでしゅ！ママとナハスに褒められて嬉しいでしゅ！それより、そろそろパパに慈悲を与えるでしゅ！ママ、パパのところに連れてってくださいでしゅ」

かわいい赤ん坊から慈悲という言葉が出て、ヘルミーナは驚くと同時に赤ん坊から、そんな言葉を使わないでと悲しくなるのだ。
そして、大樹に言われた通りにヘルミーナは、抱っこしてアレクの下に連れて行く。

「パパ、土下座をしたら許すでしゅ！僕たちを悲しませた罰でしゅ！」

「申し訳ございませんでしたぁぁぁ」

アレクは、大樹が近付いてくるのを聞き耳を立てながら聞いており、許すと言われた瞬間、光の速さではないかというスピードで土下座をするのだ。

「あらあら、アレクは一生大樹に敵わないかもしれないわね」

ヘルミーナは、アレクの姿を見て「フフッ」と笑うのだ。

「セバンからおもしろいもんが見れるからやってきたんじゃが、まさかの驚きじゃったわい！孫が話しておるんじゃからな！」

ヨゼフとカリーネが、笑いながらやってきた。二人とも驚きはしているものの、固まるまではいっていない。何故なら、アレクの子だからあり得ることかと思って平静でいられるのだ。

「じぃじとばぁばでしゅ！今パパを反省させてたでしゅ」

大樹は、立ち上がっていたなら腰を反らせてえっへんと自慢げな立ち振舞をしていただろう様子で話す。

「大樹は、偉いわね！パパを反省させるなんて！でも、パパは王国をいや世界を救ったの！だから、これくらいで許してあげてね？」

カリーネは、褒めながらもアレクがどんな状況だったのかを話して、この場を収めようとする。

「そうでしゅね！パパは、尊敬できましゅ！許すでしゅ！パパ、意地悪してごめんなさい」

「尊敬......尊敬！大樹、全然怒ってないよ！ほら、高い高い！大樹は、世界一かわいいよぉぉ」

大樹に、尊敬されていることを知ったアレクは、さっきの落ち込みが嘘のように狂喜乱舞して大喜びするのだ。
それを見ていた全員が親バカ過ぎだろと思うのだった。