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第3章 アレクを狙って

第616話 懐かしい仲間と相変わらずな師匠!

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アレクは、街を歩きながら屋敷へと向かう。だが、数多くの魔物が王都の復興に出向いているので、普段よりも閑散としているのである。
それでも、街に残った数少ない魔物達が駆け寄ってアレクの帰りを大いに喜ぶのだ。

「みんな元気そうでよかった!それに、忘れられてたらどうしようかと思ったから出迎えてくれて嬉しかったな」

アレクは、魔物達にただいまの挨拶をしたあと、屋敷に向かう道をゆっくり歩きながら呟く。

「それにしても、本当にみんな成長し過ぎだよ!少しいなかっただけなのに......」

門番のオークに続いて、街にいる大人の魔物から子供の魔物まで、全員が流暢に会話ができるようになっていたのだ。

「え!?みんな!?」

屋敷の門に着くと、見知った顔が勢揃いしていてアレクは驚きの色を隠せずにいる。

「アレク様、お待ちしておりました!おかえりなさいませ」

パスクは、言葉少なく笑顔のままアレクに声をかける。それに続くように、集まった全員が「おかえり」と声をかけるのだ。

「た、ただいま......」

アレクは、見知った顔とおかえりという挨拶を聞いて、体の奥からブワッと色んな感情が溢れ出して目を潤ませる。

「遅くなって悪い!おぉ、アレク坊じゃねぇか!いつ帰ってきたんだ?っておい......アレク坊、今すぐ闘技場に行くぞ!こりゃ、楽しい戦いができそうだ」

ノックスは、何かやっていたのか、遅れて登場すると、いつものようにアレクを見つけるなり肩を組んできてアレクを闘技場へ連れて行こうとする。

「し、師匠、お久しぶりです!ちょ、ちょっと待ってください!今帰ってきたばかりですよ」

アレクは、急に現れたノックスに驚くのと、別れる前よりも更に力強くなったノックスに驚いてしまう。

「帰ってきた時間など関係ない!その見違えるような筋肉と濃い魔力!こんなもん見せつけられたら、やるしかないだろ」

アレクが、修行をして見違えるほど強くなったことに一瞬で気付いたノックスは、居ても立ってもいられなくなったのだ。

「ノックスさん、まずはアレク様のご帰還を祝いましょう!それから、奥様とお子様との時間を過ごさせてあげてからでもよろしくはないでしょうか?それまでは、私が相手をしますから」

困っているアレクと暴走しているノックスを見るに耐えなくなったパスクが止めに入る。

「まぁ、仕方ねぇか!まぁ、パスクなら薬を飲めばいい戦いにはなるからな!」

アレクは、ノックスの言葉を聞いて、ギョッとした目でノックスを見る。
何故なら、パスクが薬を服用してもノックスと同じくらいの強さというとんでもないことになっているからだ。

「はぁ、甘く見られたものですね!ノックスさんのことは、分析させて頂きましたので、そう易々と倒せると思わないでください」

「ほぅ、楽しみにしとくぞ!ガッカリはさせてくれるなよ」

パスクは、その頭脳を生かしてノックスの攻略法を見つけるが、日々進化をするノックスにとっては取るに足らないことなので、本当に俺を驚かせられるのかと思うのだ。

「ちょっと、二人とも!せっかく久々に会ったのですから、何があったのか色々聞かせてくださいよ!それに、早くヘルミーナと大樹にも会いに行きたいんです」

見兼ねたアレクは、二人の間に入っていい加減にするように言う。

「アレクくん、脳筋馬鹿なノックスは放っておいて行きましょう!」

オレールは、フフッと笑いながら屋敷に入っていく。それを聞いたノックスは、「脳筋馬鹿だと」と騒いでいるが、オレールは全く相手にしないのである。
アレクは、その様子とみんながそれを見て笑う姿を見て、日常に戻ってきたのだなと思うのだった。
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