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第3章 アレクを狙って

第610話 真実を告げられた聖女

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アレクと薬学神と聖女は、転移で隠れ家に戻ってきた。すると、元気になった聖王国の人々が外で待っていたようで、聖女を見つけるなり、一気に駆け寄ってくるのである。
気絶から目覚めた聖女は、駆け寄ってきた国民一人一人に声をかけて笑顔で対応する。アレクは、少し離れたところで、感動の再会をする聖女と国民を温かい目で見つめるのだ。

「薬学神様、あの人達をどうしますか?ここに、ずっと置いておくわけにはいかないと思うのですが......」

「王国しかないんじゃないか?実質聖王国を現状建て直すのは厳しいだろう......それに、アレクもそろそろ王国に戻りたいだろ?」

薬学神は、アレクの考えていることを前々から見透かしていた。
そして、薬学神はアレクに話してはいなかったのだが、今回聖王国に行ったのは、薬学神からのプレゼントであった。
どういうことかというと、気兼ねなく修行に打ち込めるようにと、戦闘力を最大まで極めると、これだけあっさり倒せるところを薬学神自ら見せることで学ばせたかったのである。

「はい!家族や仲間のことも心配なので、早く戻りたいと思っています!それに、この人達を王国に入れるなら一度陛下に確認する必要もありますしね」

アレクは、完全に薬学神から見透かされているなと感じると共に、アレクに対しては優しさを見せる薬学神に、少しは信頼を得ることができたのか、または認めて貰えたのかと感じる。

「聖女との話が終わったら一度陛下に会いに行くとするか!私が、いた方が何かと話が進みやすいだろ?」

「そうですね!薬学神様がいてくれたら、陛下も断れないでしょうし、俺自身も怒られずに済むと思います」

一人で、王国に帰ったら何を言われるかわからないので、神様がいてくれると心強いと素直に思うのだ。
薬学神と話していると、国民と話し終わったであろう聖女が近付いてくる。

「神様、アレク様、大変お待たせ致しました!本当に、助けて頂き感謝しております!」

聖女は、アレクと薬学神の前にくると頭を下げてお礼を言う。そして、離れたところにいる人々も聖女と同じで頭を下げて感謝するのだ。

「お礼などいい!当たり前のことをしただけだからな!それより、話があるから中で話そう」

聖女が苦労したのは、神のせいでもあるので、助けるのは当たり前であり、本来なら神全員で謝らなくてはと思っているほどなのだ。

「そう言って貰えてありがたいです!話ですか!?わかりました」

三人は、話をするために家の中へと入る。
そして、薬学神は椅子に座るように言って、三人は椅子に座るのだ。

「まずは、神のせいで300年間苦労をかけたな!すまなかった!それから、お前にこのような辛い仕打ちを与えた父親は神界で投獄されているから安心してくれ」

「え!?どういうことですか?」

薬学神からいきなり謝られたことや知らない父親のことを話されて戸惑ってしまう。
あと、10歳そこそこに見えていた少女は、まさかの300歳であったのだ。

「お前の父親は、神だ!だが、神と人間とは恋をしてはいけない決まりがある!それを破ったお前の父親は罰を受けたんだ!しかし......」

それから、アレクにも言った記憶や書物の改ざんしたことなどを話した。そして、聖女を我が物にしようとした教会の人間に母親が殺されたことも話したのだ。

「そ、そんな......」

聖女は、まさかの真実を伝えられて、言葉が出ずに、その場で顔を伏せて涙を流す。

「思う存分泣けばいい!待っていてやる」

薬学神は、神のせいでもあると重々承知しているので、普段見せない優しさを見せて、気持ちが落ち着くのを待つのだった。
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