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第3章 アレクを狙って

第606話 中編2)派閥撤廃と魔物に対する見方!

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休憩を迎えたのだが、陛下とアントン以外、誰一人として玉座の間を出ようとしない。
残った貴族達は、今回の事件のことや一度に多くの貴族が捕まったことや陛下が挂冠けいかんする出来事について話し合っていた。

「ノックス卿、てっきり貴族派の連中を制圧すると思っていたが、一切動かなかったからどうしたのかと思っていたぞ」

マルティル辺境伯が、ノックスに話しかけてくる。今回、ノックスやオレール達も参加しているのだが、誰一人として静観を保っていたので、何故だと疑問に思うのだ。

「マルティル辺境伯、お久しぶりです!そうですね!事前に陛下から静観するよう言われていたので、黙っていました!しかし、あの一撃よかったですよ!まだまだ現役ですね」

ノックスは、普段絶対に使うことはしないが、マルティル辺境伯に対して、一目置いているので、珍しく敬語を使うのだ。

「フッハハハハ、現役とは嬉しいことを言ってるじゃないか!だが、もうただの老いぼれだがな!」

マルティル辺境伯は、ノックスの強さや凄さを知っているので、ノックスに褒められたことを嬉しく思って大笑いしてしまう。

「アッハハハ、あんなに壁をへこませてよく言いますよ!全員顔を引き攣らせてましたよ」

「本当に、人を持ち上げるのがうまいな!おっと、再開か?じゃあ、またあとで話そう」

小休憩を終えた陛下とアントンが、玉座の間に戻って来る。
すると、先程まで話し合っていた貴族達は、全員一斉に黙って元いた場所に戻る。

「それでは、皆様再開したいと思います!まず初めに、王族派や貴族派といった派閥を廃止して統一致します!このことにより、皆が1つになることで、王国をあるべき姿に戻しましょう」

統率がしっかり取れていた時の貴族派は、反発はあれど、まともな意見を述べて王国をよりよい国にしようとしていたが、いつの間にか、統率を取る人間がいなくなり、現状のように私利私欲に溺れる派閥になった。
そして、今回の解体に近い一斉検挙のお陰で、以前から考えていた。派閥撤廃に踏み切ることができたのだ。

「アントンの言った通り、王国は一丸となって建て直す必要がある!もう一度、一人一人が手を取り合い、未来のために自慢できる国にしようではないか!皆の者、力を貸してくれんか?」

陛下が、頭を下げてお願いをすると、貴族全員が「お任せ下さい」と力のこもった返事を返す。

「うむ!ありがとう!そこで、まずは国に蔓延る悪を根絶やしにしたい!情報を持っている者は、終わり次第アントンに情報提供を頼む!」

貴族だけに任せるのではなく、陛下自ら指示を出して動こうと決めた。
貴族達は、「畏まりました!」とまた力強く返事をする。

「陛下、申し訳ございませんが、発言の許可をお許しください」

マルティル辺境伯は、何か尋ねたいことがあるようで許可を求める。

「うむ!許可する!申してみよ」

「ありがとうございます!城に向かう際に、数多くの魔物を街で見かけたのですが、新しい試みか何かでしょうか?」

マルティル辺境伯は、以前からアレクの街で魔物と共存しているということを聞いており、この機会に知らない貴族達に周知させるチャンスだと思ってわざと尋ねたのだ。

「あれは、タカハシ辺境伯が統治する魔物の街から派遣してもらった魔物達である!今回の王都奪還、そして復興にも力を貸してくれておる!お主らの中には、恐怖する者や忌み嫌う者もいると思うが、今一度魔物達の頑張りを見てやってほしい」

陛下もマルティル辺境伯の意図を読み、これを期に魔物に対する見方を変わるように語るのだ。

「畏まりました!ですが、魔物とは元来より敵対するものであり、その事実は、なかなか消えるものではないと思っております!ですので、ここにいる貴族達とともに、一度魔物の街に入領する許可を頂けませんでしょうか?」

「そうであるな!近日中に、再度皆に召集をかけるつもりでおった!その時に、魔物の街へ行こうではないか!」

マルティル辺境伯は、アレクのことが好きなので、力を貸してあげたいと常々思っていた。
そして、陛下もアレクに恩を返すために、マルティル辺境伯からの提案に乗るのだった。
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