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第3章 アレクを狙って

【チート薬学2巻3/20発売予定】第587話 どこか憎めない関西弁の男とセバン!

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「透明になると誰にも見つからずいいですね。それにしても、何人兵士がいるのやら」

セバンは、透明になりながら、一階を歩いてきたのだが、大勢の兵士があちらこちらに立っていて、厳重過ぎると思うのだ。

「そのまま寝ていてくださいね!殺さないといけなくなりますから」

地下牢に繋がる入り口には、2名の兵士が立っており、セバンは素早く気絶させて、鍵を奪って二人を引きずりながら、地下牢に入る。

「ほぅ......これは、怪我の功名というかなんと言いますか!まさか、生かされているとは......」

辺りを見渡すと、牢屋いっぱいに数多くの人達が収容されており、殺されたものとばかり思っていたセバンは、安堵する。

「避けろ!」

セバンが、見渡していると、ルーヘンが大声を出して警告する。
セバンは、その声を聞いてギリギリで、襲いかかってきた剣を躱して後ろに飛び退く。

「おかしいですね!姿は見えていないはずなのですが?」

姿を消しているはずにも関わらず、ルーヘンにも敵にも完璧に姿が見えているのだ。

「なんで侵入者されとんねん。外のやつらは、ほんまにゴミやな!ちなみに兄ちゃん、魔法使ってるんやったら、ここやと意味ないで!俺のスキルで打ち消されてまうからな」

この世界では馴染みのない関西弁を使い、短髪でサメのように尖った歯が特徴で、見た目からして悪者の風貌を醸し出す男が姿を現す。

「珍しいスキルと剣をお持ちですね。私は、ここに収容されている人達を解放したいのですが、黙って通してはもらえませんか?」

セバンは、面倒な戦いをしたくないのが、本音であり、あわよくば見逃してくれないかと考える。

「そういうわけにもいかへんねん!ワイも、金もらっとるし、一応働かなあかんしな!白金貨10枚くれるなら考えたるで!」

「申し訳ございませんが、執事なもので、そのような大金はございません!では、仕方ありませんが、眠ってもらいましょうか!」

関西弁の男は、莫大な金銭の要求をしてくるが、セバンは冗談で返して、拳を握って構える。

「兄ちゃん、ほんまおもろいな!ワイに、勝つ気でおるんか!ほな、いっちょ格の違いを見せたろか」

関西弁の男は、上を向いてデコに手を当てながら大笑いをする。
そして、刃がギザギザに尖った剣を構えて、斬りかかってくるのだ。

「おっと、これは私も本気で行きましょうか!拳気解放」

セバンは、緑のオーラを出して、躱しきれない剣を拳をぶつけて相殺する。

「やるやんけ!ええスキルやな!やけど、俺の武器もおもろい性質を持ってるんや!今日は、いっぱい吸わしたるからちゃんと働きや」

関西弁の男は、ギザギザに尖った剣で自らの体を切っていく。そして、滴り落ちた血が剣に吸収されるかのように集まっていき、剣が真っ赤に染まっていくのだ。

「気持ち悪い剣ですね!どこで、そんな物を手に入れたのやら......それより、魔法が使えないとこんなに不便だとは」

セバンは、身体強化も疾風迅雷改ニューライトニングストームも使えないので、本来のスピードを重視した戦い方ができないのである。

「はぁはぁはぁ、呪いの武器言うてな!裏やと出回ってるねん!こいつは、毎日血を吸わせな持ち主の精神を破壊してきよんねん!やけど、血吸わせたら、こいつの切れ味は恐ろしいで!」

血を流し過ぎた関西弁の男は、息を切らせる。しかし、それくらいしないとセバンには勝てないと判断したのだ。

「あれに斬られるのは......嫌な予感がしますね!おっと、危ない!」

「いつまでも逃げられへんで!そろそろ観念しぃや!おっとっと、おっ!ほんまに強いな!そこ狙ってくんのかい」

セバンは、相手のバランスを崩すために剣の腹を殴って吹き飛ばす。そして、関西弁の男は吹き飛ばされるが、剣を地面に突き刺して耐えるのだ。

「なぁ~ちょっと提案なんやけど、この辺で止めにせぇへんか?ワイもアンタも、このまま殺り合ったら、ただでは済まへんし、一旦見逃してくれへんかな?ここにおるやつらは、好きにしてええし」

関西弁の男は、急に停戦しないかと持ちかけてきた。セバンは、警戒しながらも相手の話を聞いてみることにしたのだ。

「雇われているみたいですが、よろしいのですか?」

「かまへんかまへん!命有っての物種やからな!まぁ、いつかどこかで会ったらよろしく頼むわ!ほな、さいなら」

関西弁の男は、剣を担いで、素早くドアを開けて出ていく。セバンは、「ふぅ~」と息を吐いてスキルを解除する。そして、ルーヘンのいる牢屋の鍵を開けるのだ。

「セバン助かったよ!それにしても、変わった敵だったね」

ルーヘンは、笑いながら敵が出ていったドアを見つめてセバンにお礼を言う。

「そうですね!魔法を封じられて倒す手段を模索していたので助かりました!私は、陛下を助けに行きますので、他の牢屋をお願いしていいですか?」

「了解!こっちは、解放しておくから任せてよ!それよりも、ありがとうございます!本当に助かりました」

いつものように、ルーヘンは軽い感じで受け答えしていたのだが、急に真顔になって頭を下げる。

「無事で何よりです!では、あとは頼みました!」

セバンは、ニコッと笑って陛下の下へと向かう。ルーヘンは、強い味方がいて安堵すると同時に、騎士団として不甲斐ないと痛感するのだった。
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