チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第3章 アレクを狙って

第586話 アレクの試練と究極の力！

仲間達が、王都を奪還している頃、アレクはというと、薬学神に課題を与えられていた。

「はぁはぁはぁはぁ、薬も身体強化も武功も魔法も使ったら駄目だなんて......酷すぎるよ」

この数日間、ひたすら己の身体のみで、森の中を走って魔物を倒す。そして、筋トレを永遠と繰り返すデスマーチをしていた。

「俺、いったい何日寝てないんだろう？毎回ぶっ倒れた瞬間、ポーションと不眠不休ポーションとかいうのを飲まされ続けてるから、まともに寝てないし辛いよ」

毎日辺りが暗くなってフラフラになりながら、家に戻ると、薬学神がドア前で仁王立ちで待っており、ポーションを無理矢理飲ませて、食事を口に無理矢理押し込まれて、またデスマーチがスタートするのである。

「それにしても、最近魔物が一切襲ってこなくなったな～。なんでだろう？」

アレクが、やたらめったらに狩り尽くしたのも原因なのだが、単純に魔物が恐れをなして近寄ろうとしなくなったのだ。

「アレク、今日で基礎トレーニングは終わりだ！まず、初めに武功を使ってみろ！」

薬学神が、急にアレクの目の前に現れて、トレーニングの終わりを告げる。
アレクは、やっと終わりだと思うと同時に、（え！？これが基礎！？ちょ、ちょっとハード過ぎるよぉぉ）と内心思うのだ。

「武功ですか？わかりました！え、え！？何これ？今までの数倍いやそれ以上の力が湧いてくるんだけど」

アレクは、自身のチャクラから湧き出る力に思わず圧倒されてしまう。

「武功とは、体内から生み出される気である内力を使う技で、呼吸、血流など、身体の内部機能を鍛錬し、全身の経絡を巡る気を自在に操るものだ！基礎鍛錬を怠ったせいで、本来の力を出し切れていなかったんだ！わかるか？」

薬学神は、武功とはどういうものなのかをアレクに説明をする。
そして、基礎トレーニングを課したのは、アレクが薬や神力や魔法ばかりに頼っていたせいで土台作りができておらず、その土台を形成するために行ったのである。

「そうだったんですね！確かに、呼吸も落ち着いていて体も以前より軽いです！」

「当たり前だ！基礎が出来ていない中、負荷をかければ土台は潰れるからな！ほら、さっさと動いてみろ！」

薬学神は、私が教えたのだから当たり前だろう思いながら、なかなか力を試さないアレクにイライラする。
そして、アレクはそのイライラする表情を見た瞬間、早くしないと何をされるかわからないと思って、すぐに走り出すのだ。

「うわぁ！あ、ちょ......あ痛たたた......武功だけで、この速さ？それに、思わず痛いって言ったけど、全然痛くないや」

走り出したアレクは、思っていた以上のスピードが出てしまい、コントロールができず、木に激突してしまう。

「武功をある程度極めると、防御力も上がる！こん棒で殴られたくらいなら痛みすら感じないぞ！それより、新しいトレーニングを発表するから、早く立て」

木にぶつかって、頭に枝が刺さって倒れたままのアレクを見て、呆れた顔をする薬学神。

「は、はい！すみません......アハハ」

アレクは、立ち上がって頭を掻きながら恥ずかしがる。

「しっかりしてくれよ！次のステップだが、まず武功をコントロールすること！そして、最終的には武功と身体強化と魔装甲と神力を同時に使えるようにしろ！いいな？」

「え！？どういうことですか？武功と身体強化と魔装甲同時に使う？あと、神力は放出したらいいのですか？」

アレクは、薬学神の言っている意味が全くわからず、聞き返す。すると、薬学神はヤレヤレといった表情をするのだ。

「はぁ～理解しろよ！神力を纏え！俺は、研究に戻るから、あとは自分で考えろ！終わるまで帰ってくんなよ」

「ちょ、ちょっと、薬学神様ぁぁぁあ！どうやって纏えばいいんですか？ってもういないし......しかも、帰ってくんなって、酷いよぉぉぉ」

薬学神は、転移を使って家に戻る。
残されたアレクは、ヒントすらも与えられず、ただ呆然と立ち尽くすのだった。