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第3章 アレクを狙って
第571話 宰相アントンが逃げないと行けなかった理由!
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アントンとバトラーは、脱出用の地下通路を歩いていた。そして、刺客達はジェイムが片付けてくれることになり、知らせにきてくれた青年は、バトラーが持っていたハイポーションで一命を取りとめたのだ。
「陛下を救い出せる力を持った貴方が何故ここにいるのですか!?」
「陛下が人質になった場合や王都を取り戻すことが困難な場合は、アントンを最優先で逃がして、応援を呼ぶようにとのことをおっしゃっていました。ですので、命令を遂行した次第でございます」
前々から、陛下はバトラーに非常事態の際の対処法を伝えていた。
アントンに伝えなかったのは、絶対に反対することがわかっていたからである。
「それでも、私なんかより国王陛下を優先すべきではないのですか!貴方なら、もしかすると、救えた可能性だってあったはずです」
アントンは、立ち止まって、バトラーの胸ぐらを掴んで、普段は見せない激昂した表情を浮かべる。
「全てを犠牲にしたら救えたかもしれません......しかし、陛下はそれを望まれますか?お伝えしますが、推定5千近くもの兵士が王城を攻めてきたのです!宰相様なら、その意味がわかりますよね?」
普通の執事ならば、宰相に対して言い返すことは、絶対にしないのだが、バトラーとアントンとは特別な関係と信頼で結ばれているので、このようなやり取りができるのである。
「申し訳ありません......つい感情的になってしまいました。確かに、陛下は自分だけ助かろうとするお人ではありません!しかし、5千もの兵が......いったい王都に何人もの敵がいるというのですか!?」
アントンは、胸ぐらから手を離して、感情的になったことを反省する。
そして、ジェイムから何千とは聞いていたが、明確な数字までは聞いていなかったので、王城だけで5千の敵と聞いた瞬間、絶望してしまう。
「現状、陛下は生かされていますが、無理矢理戴冠式を行われたあとは、どうなってしまうのか......ですので、早くストレンの街へ向かいましょう!そうすれば、転移魔道具で魔物の街に応援を呼ぶことができます」
陛下を何らかの手段で脅して、新王に冠を被せる習わしを行わせようとしているだろうと推測した。
「こんなところで立ち止まっているわけには行きませんね!今すぐ参りましょう」
アントンは、感情的になっていたので、目先の心配事しか見えていなく、バトラーから未来のことを言われて、やっと我に返ったのだ。
「しかし、バトラーはよくそんな中、抜け出してきましたね!」
「私の強さは、宰相様と陛下しか知りえませんからね。使用人がいる場所へは、弱い敵しか来ませんでした。ですので、抜け出すのは容易だったのです。しかし、王城から外へは時間がかかり、宰相様の下に駆けつけるのが遅れてしまいました」
使用人に対して、力ある者をわざわざ人員として割くのは、勿体ないと考えた第二王子は、弱い者を送った。
その結果、バトラーは抜け出すことに成功してアントンを守ることができたのだ。
「そうでしたか......本当にバトラーがいなければ、確実に私は死んでいましたね。改めてありがとうございます」
「いえいえ、宰相様が逃げ出さなければ意味がありませんからね!私が訪れたところで、各地の貴族達が、馬を貸してくれたりなどしてくれるはずがありませんから」
アントンは、王家に継ぐ権力者であり、表立って顔が知れ渡っているとするならば、王子たち以上なのだ。
そのため、ストレンの街に向かう際に、貴族への協力を仰ぐと考えた場合、アントンでないといけなかったのだった。
「陛下を救い出せる力を持った貴方が何故ここにいるのですか!?」
「陛下が人質になった場合や王都を取り戻すことが困難な場合は、アントンを最優先で逃がして、応援を呼ぶようにとのことをおっしゃっていました。ですので、命令を遂行した次第でございます」
前々から、陛下はバトラーに非常事態の際の対処法を伝えていた。
アントンに伝えなかったのは、絶対に反対することがわかっていたからである。
「それでも、私なんかより国王陛下を優先すべきではないのですか!貴方なら、もしかすると、救えた可能性だってあったはずです」
アントンは、立ち止まって、バトラーの胸ぐらを掴んで、普段は見せない激昂した表情を浮かべる。
「全てを犠牲にしたら救えたかもしれません......しかし、陛下はそれを望まれますか?お伝えしますが、推定5千近くもの兵士が王城を攻めてきたのです!宰相様なら、その意味がわかりますよね?」
普通の執事ならば、宰相に対して言い返すことは、絶対にしないのだが、バトラーとアントンとは特別な関係と信頼で結ばれているので、このようなやり取りができるのである。
「申し訳ありません......つい感情的になってしまいました。確かに、陛下は自分だけ助かろうとするお人ではありません!しかし、5千もの兵が......いったい王都に何人もの敵がいるというのですか!?」
アントンは、胸ぐらから手を離して、感情的になったことを反省する。
そして、ジェイムから何千とは聞いていたが、明確な数字までは聞いていなかったので、王城だけで5千の敵と聞いた瞬間、絶望してしまう。
「現状、陛下は生かされていますが、無理矢理戴冠式を行われたあとは、どうなってしまうのか......ですので、早くストレンの街へ向かいましょう!そうすれば、転移魔道具で魔物の街に応援を呼ぶことができます」
陛下を何らかの手段で脅して、新王に冠を被せる習わしを行わせようとしているだろうと推測した。
「こんなところで立ち止まっているわけには行きませんね!今すぐ参りましょう」
アントンは、感情的になっていたので、目先の心配事しか見えていなく、バトラーから未来のことを言われて、やっと我に返ったのだ。
「しかし、バトラーはよくそんな中、抜け出してきましたね!」
「私の強さは、宰相様と陛下しか知りえませんからね。使用人がいる場所へは、弱い敵しか来ませんでした。ですので、抜け出すのは容易だったのです。しかし、王城から外へは時間がかかり、宰相様の下に駆けつけるのが遅れてしまいました」
使用人に対して、力ある者をわざわざ人員として割くのは、勿体ないと考えた第二王子は、弱い者を送った。
その結果、バトラーは抜け出すことに成功してアントンを守ることができたのだ。
「そうでしたか......本当にバトラーがいなければ、確実に私は死んでいましたね。改めてありがとうございます」
「いえいえ、宰相様が逃げ出さなければ意味がありませんからね!私が訪れたところで、各地の貴族達が、馬を貸してくれたりなどしてくれるはずがありませんから」
アントンは、王家に継ぐ権力者であり、表立って顔が知れ渡っているとするならば、王子たち以上なのだ。
そのため、ストレンの街に向かう際に、貴族への協力を仰ぐと考えた場合、アントンでないといけなかったのだった。
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