チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第2章 強敵ルシファーと新たな力を得る

第496話 武神とノックスの初対面！

「おい！起きろ！いつまで寝てやがる」

「俺のことか！？ってここはどこだ」

低い声で怒声を浴びせてくる人物を一瞬だけ見て、辺りの様子を確認するノックス。しかし、周りには物も何も無い世界が広がっているのだ。

「お前には、期待していたが、失望した。クソの破壊神が気に入った相手にやられるとはな」

その人物は、ハッキリした姿は見えず、白いシルエットだけが写し出されている状態なのだ。更に、ノックスの疑問には一切答えることなく、思ったことだけを伝えてくる。

「かぁぁ！俺は、夢を叶える前にやられちまったのか！悔いが残るな！まぁ、デストロイに負けるくらいだからルシファーには勝てんか」

ノックスは、いつもの調子で言う。こちらもこちらで一切相手の話を聞いていない。

「まぁ、やられちまったのは、自分の力が足りなかったからだし、仕方ないよな。じゃあ、さっさと成仏させてくれ」

ノックスは、腕を組んで座り込む。

「まだ死んでないんだが......はぁぁ、お前も相当なやつだな！」

白いシルエットの人物は、ノックスの言動を聞いて、ため息を漏らしながら常識のないやつだと思う。

「あ？俺生きているのか？てっきり死んだと思っていた！で、お前は誰なんだ？」

ノックスは、大笑いしながら生きていたことに嬉しさを感じる。そして、白いシルエットの人物が誰なのか尋ねる。

「おっ！やっと俺が誰なのか聞いてくれたな！俺は、武神だ！神殿の神力の余波だけだと完全な具現化はできないが、姿を現すことができた」

どうやら白いシルエットの人物は、ノックスを気に入った武神だったのだ。

「お！武神様か！戦いたくて会ってみたかったんだ！」

ノックスは、武神と聞いて目を輝かせる。武の神様ということで手合わせしてみたかったからである。

「フッ！笑わせるな。そんな弱いくせに俺に挑もうとは馬鹿なのか？一言だけ伝えてやる。お前に武の才能は、これっぽっちもない」

ノックスは、これまで幾度となく危機を乗り越えて、努力を惜しまず毎日鍛えていたのだが、武神に才能がないと突き付けられて体の奥底から熱い何かが込み上げてくる。しかし、感情のままに暴れたところで解決するわけもないので、気持ちをどうにか落ち着かせる。

「はぁ～！なんとなく気付いていた！最近限界を感じているのもあったしな。だが、少しでも可能性があるなら努力を惜しむつもりはない」

ノックスは、豪牙と訓練をしていく中で、どんどん豪牙だけが強くなり、自分は成長を感じることができず悩んでいたのだ。だが、根を上げたところで解決するわけもないので考えないようにしていた。

「フッハハハ、そうだ！俺がお前を気に入ったのは努力を惜しまん心を持っているからだ！才能を持っていようが、努力しないやつはクズだ！その点、お前には見込みがある」

武神は、ただノックスを馬鹿にしていたのではなかった。しっかりと、ノックスを気に入った理由があり、神界から見続けていたのだ。

「武神様に、努力を認めてもらえたことは嬉しく思う。だが、俺はこれ以上は強くなれないんだろう？」

「このままなら無理だな！まぁ、俺が神じゃなければの話だがな！いきなり契約するような真似はしない。力の一端を僅かな時間与えてやるから試してみろ！努力をしてきた肉体であれば耐え切れるだろう」

武神は、ノックスに力を与えると宣言する。しかし、最後の肉体が耐え切れるという発言から、やすやすと使えるものではないということがうかがえる。

「契約？まぁ、強くなれるならなんでもいいか。で、俺はまたデストロイと戦えるのか？」

「戦えるぞ！それに、手助けできないよう破壊神をズタボロにしてやったからな！圧勝だろう！そろそろ、戻してやるから力を体感してくれ」

なんと武神は、破壊神が出しゃばらないように先手を打っていたようだ。そして、ノックスが武神に何か言おうとしたが、その前に意識が遠退く。

「これが、武神の言っていた力か！素直にすごいな！」

ノックスは、目覚めてすぐに体の変化に気付いて、あり得ないほどの力が湧き上がってくることを実感するのだった。