チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第2章 強敵ルシファーと新たな力を得る

第492話 十戒の解呪とデストロイの奴隷契約！

「タカハシ辺境伯、魔物の街に連れて行くのは、本当のことなのですか？」

アントンが、先程のアレクの発言に対して尋ねる。

「はい！デストロイも本気ではなかったでしょうが、鑑定してみて勝てると判断しました。それに、奴隷として連れて行くので、心配もないかと思います」

アレクは、デストロイが本気を出す前に叩きのめしたのだが、本気を出したとしても負ける要素はないと確信したのだ。

「そうですか......先程の行動を見て、いつでも牢から出られるとわかりましたので、ここより魔物の街の方がいいかもしれませんね。陛下には、私からお伝えしておきます」

アントンからしても、いつでも牢屋から抜け出せる囚人を置いておくわけにはいかないと思い、何かあった場合、すぐに制圧できるアレクの下に連れて行ってもらうのが一番と考えた。

「ありがとうございます。あ！奴隷商人の手配をお願いできますか？契約したらすぐに連れて行きますので」

「はい！畏まりました！バトラー、すぐに奴隷商人の手配をお願いします」

アントンが、バトラーに命令すると、すぐに「畏まりました」と言って地下牢を出ていく。

「では、本題の十戒に会いに行きましょうか」

アレクは、神力で変身したまま一番最奥にある牢屋へと向かう。そして、牢屋に着くとボロボロの服に、やつれた顔をした十戒がいた。

「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁ」

アレクを見るなり、いきなり飛びかかってくるマーカス。だが、格子に阻まれて頭を打ち、後ろに倒れる。更に、他の十戒達も暴れ始めて奇声を上げてアレクに襲いかかる。頭を打ち付けても何度も向かってくるのだ。

「完全に狂ってますね。これが、ルシファーの呪いにかかった末路とは。早く解放してあげないと」

何も言われていないが、パスクは剣を抜いて構える。それに気づいたアレクがパスクと目を合わせて合図を送って、先程バトラーから預かった鍵を差し込んで牢を開ける。

「アレク様に対して、無礼が過ぎます」

牢を開けた瞬間、襲いかかる十戒を、パスクは一瞬にして制圧する。十戒も、前のようにパワーアップをしている様子はなく、ただ気が狂った獣のような感じである。

「アレク様、終わりました」

「パスク、ありがとう」

アレクは、そう言うと神力を解放させて十戒に向かって放つ。すると、十戒全員の顔色がよくなりすやすやと眠りにつくのだ。

「アントン様、終わりました。数日して、また落ち着いた時、十戒に会いに来ます」

十戒が目覚めたとしても、心身ともに疲労した状態では、まともに会話することもできないので、回復するまで待とうとしている。

「畏まりました。今回も、陛下にお伝えすることが山のようになりましたね。こちらとしては、ありがたいことばかりなのですけど」

アントンは、悩みのタネでもある囚人達のことを解決してくれたアレクに対して笑顔で話す。

「それならばよかったです。では、あとは奴隷商人を待つのみですね」

そう言ってアレクが、地下牢を出ようと出口に向かっていると、扉が開いてバトラーと奴隷商人が入ってくる。

「タカハシ辺境伯様、大変お待たせ致しました」

「いえいえ、全然待っていませんよ。むしろ、早いことに驚いたくらいです」

もう少し時間がかかるだろうなと思っていたのだが、あっという間に奴隷商人を連れてきたバトラーに驚いてしまう。

「タカハシ辺境伯様、お初にお目にかかります。王都で奴隷商を営んでおります。ザグスタと申します」

ザグスタは、営業スマイル全開で握手をしてくる。アレクも、挨拶をしながらザグスタと握手をする。

「タカハシ辺境伯様は、これまでに奴隷を買われたことはございますか？」

「はい！あります」

「それならば、ご説明は不要ですね。早速、奴隷契約を済ませましょう」

どうやらアレクを馬鹿にしたわけではなく、手順を説明した方がいいのか、確認するために聞いたようだ。
それから、アレク達はデストロイがいる牢屋に行く。

「デストロイ、起きて！奴隷契約をするよ」

アレクが、大きな声でデストロイに呼びかける。すると、デストロイはゆっくり起き上がって格子の前にやってくる。

「随分と早いな！さっさと済ませてくれ」

デストロイは、帝国時代に奴隷をよく見る機会があったからか？手慣れた様子で、指腹をを軽く噛み切る。

「こちらの方も、お詳しいようですね。では、早速こちらに血を垂らしてください」

ザグスタは、魔法紙を出して契約を進める。アレクも、ナイフで軽く指を切って血を垂らして、デストロイも格子から指を出して血を垂らす。

「タカハシ辺境伯様、契約に辺り、成約をお決めください」

「そうですね......自分を守る場合と訓練以外での戦闘を禁じる！それから、殺しは厳禁！最後に、魔物の街の住人と仲良くすること！以上です」

「おい！待て！最後のはって契約完了してるじゃねぇかぁぁぁぁ」

デストロイは、戦闘に関することは予想していたが、まさかの住人と仲良くということは全くの予想外で、焦って訂正を要求しようとするが、ザグスタが契約を進めてしまって、どうしようもなくなる。

「デストロイ、ちゃんと仲良くしてくださいね。仲間ですから」

「クソ！誰が......ぐぁぁぁぁ」

アレクに、文句を言おうとすると、体中に激痛が走る。アレクも、魔物の街の住人であるために成約違反になったのだ。

「では、帰りましょうか！」

アレクは、思っていた以上に効果的な成約だなと思いながら地下牢の出口へ向かうのだった。