チート薬学で成り上がり！ 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました！

第2章 強敵ルシファーと新たな力を得る

第488話 大忙しのアレク！まずは王城へ行く！

「ヒルコよ、最後にアレクと言葉を交わさなくてよいのか？」

もう、神界にいる時間が残り僅かなアレクに対して、お別れの挨拶を交わすように促す。

「はい！アレクくん！世界を何度も救ったり、子供が生まれたり、仲間に恵まれたりと楽しい人生を送れていてよかったよ！見守ることしか出来ないけど、これからも楽しい人生を送ってね」

ヒルコは、アレクと笑顔で握手しながら、優しい言葉を投げかける。

「ヒルコ、ありがとう！お陰で楽しい日々を過ごしているよ。俺は、ヒルコから肉体を奪ったし、恨まれても仕方ないのに、そんな様子を見せないヒルコを尊敬する！本当にありがとうね」

アレクも、ずっと言おうとしていたことを伝える。

「違うよ！僕の弱さが招いた結果だからアレクくんは何も悪くない！後ろめたくならずに生きてほしい！」

ヒルコは、首を横に振りながら否定する。アレクは、その言葉を聞いて、自分だったらこんなことを言う余裕などないだろうなと、改めてヒルコを尊敬するのだ。

「うむ！そろそろ時間じゃ！アレクよ、これからも色々大変じゃろうが、力を貸してくれのぅ。死んだ時は、便宜をはかるでのぅ」

アレクは、それを聞いて、死んでからですか！？と言い返そうとしたが、そのまま意識が遠退いて視界が暗くなる。


◆


アレクが、目を開けてゆっくりと立ち上がる。

「タカハシ辺境伯様、随分と長い時間だったので、お声をおかけしようと思ったところでした」

話しかけてきたのは、司祭である。アレクの祈りが、かなり長かったので心配していたようだ。

「あ、ごめんなさい！神様にお願いすることが多くて長くなってしまいました。司祭様もお忙しい身なのにお待たせして申し訳ございません」

「タカハシ辺境伯様は、信仰深い方なのですね。神も必ず見てくれていると思います。いつでもいらしてくださいね」

司祭は、アレクが謙遜して言ったと勘違いをして信仰深い人間だと思ったようだ。

「では、また王都に来た際は、立ち寄らせて頂きます」

「是非またいつでもお越しください」

アレクと司祭は、笑顔で言葉を交わす。その後、パスクと合流して教会を出る。

「アレク様、今回はいつもより長かったですね。何かありましたか？」

パスクは、またまた創造神に何か頼まれたのではないかと勘ぐる。

「色々あったよ！パスクも神様に寵愛されているようでよかったね」

アレクは、そう言いながら笑顔でパスクの顔を見る。パスクは、なんのことかさっぱりなので、疑問を浮かべたような顔をしてアレクを見る。

「えっと！？どういうことですか？」

「そのままの意味だよ。聡明神様が、パスクに会いたいってさ。それで、魔物の街に神殿も作らないと行けないから大変になるよ。でも、その前に片付けておくことがあるから王城へ寄っていくね」

十戒の呪いを解くために王城に行かないといけないのだ。

「王城は、わかりました！それより、聡明神様ですか？神様は、創造神様以外にもいらっしゃったと！それより、私が神様と会うのですか！？」

パスクは、現実味のない話で、驚きと困惑してしまう。

「うん！大丈夫だよ。パスクだけじゃなくて、師匠もオレールさんもだからね」

「あの......人数の問題ではないのですが......しかし、アレク様と共にしていれば、いつかこのような日が来ると思っていました。少々突拍子もないですがね」

パスクは、苦笑いを浮かべながら受け入れるほかないかと諦める。それから、今回も事前訪問の連絡もなしに王城を訪れる。

「タカハシ辺境伯様！本日は、どのようなご用件でしょうか？」

何度も王城に訪れているのと、少年辺境伯や護衛も連れずやってくる貴族としても、門番に知れ渡っているのだ。

「陛下にお会いしたいのですが、宰相様を呼んで頂けませんか？」

「ご予約はされていますでしょうか？」

アレクが、用件を言うと、門番は規定に沿った内容を伝えてくる。

「もちろんしていませんよ」

「タカハシ辺境伯様、予想はしておりました。今部下が、宰相様を呼びに行っておりますので、少々お待ちください」

門番は、予想済みだったようであり、笑いながら受け答えをする。そしてアレクでなければ、事前訪問の連絡なしに入ることは許されないのだ。それから、暫く待っているとアントンがやってくるのであった。