上 下
331 / 763
第5章 日常を脅かす敵と求める豪牙

第445話 アレクと豪牙の模擬戦!余裕の豪牙!

しおりを挟む
アレクは、ガントレットを久々に填めて魔力を流し込む。すると、いつも通りガントレットが喋り始める。

「久しぶりじゃねぇかよ!ご主人様は、一向に俺様を使う気配がねぇから忘れたと思ってたぜ」

相変わらず口の悪いガントレットは、アレクが相手にしてくれないことを責めてくる。

「ごめんね。全然呼ぶ機会がなかったんだよ。今日は、その機会が来たから呼んだよ。力を貸してくれるかな?」

「相変わらず都合のいい時だけ呼びやがってよ!しゃあねぇな。力を貸してやるよ」

いつものような、暴言ラッシュが来ると思いきや、すんなりと許してくれた。ガントレットも、いちいち文句を言ったところで何も得られないと察したのだろう。

「ありがとう!じゃあ、初めから全力で行くよ!それから、魔力を何回も供給するけど耐えられる?」

いつもは、一度だけ使用したら終了なのだが、今回はパワーアップした豪牙相手なので、連続使用しないと勝負にならないと感じている。

「フッハハハハハ、俺様を誰だと思ってんだ!簡単には壊れねぇからどんどん使え!」

ガントレットが、もし人間だったら胸をドンッと叩いて任せてほしいと言っていただろう。

「ならどんどん魔力を込めていくね!期待してるから」

ガントレットは、気合いのこもった声で「おう」と言う。

「準備はよろしいですか?」

豪牙は、ずっと待ってくれていたようで、そろそろ始めてもいいか尋ねてくる。

「豪牙、ごめん!待たせちゃったね。いつでも大丈夫だよ」

アレクは、ガントレットを構えて戦闘可能な意思を示す。豪牙も準備万端だったのだろう。戦闘態勢に入るのだ。

「行かせてもらいます」

豪牙が、そう言った瞬間、アレクの目の前まで来ている。

「はや!やばい!」

アレクは、思っていた以上のスピードで襲いかかってくる豪牙に驚きながら拳をガントレットで受け止める。そしてアレクは、いきなりガントレットの技を使う。「ブーストマックス」とガントレットが叫んだ瞬間、振りかぶって豪牙目掛けてパンチを繰り出す。

「ぐっ!」

「全魔力消費!休眠開始」

豪牙は、咄嗟にガードして受け止めるが、パンチの勢いが強く、後方まで吹き飛んでしまう。しかし、豪牙は見事に受け切っており吹き飛ばされたというより後退りさせられたようになる。

「ブーストマックス」

アレクは、この好機を逃がすまいとガントレットに魔力を注ぎ込んで何発もパンチを繰り出す。

「これは、一撃一撃が重いですね!そろそろ私も反撃しましょうか!」

何発も食らわせているので、普通ならガードが崩れるか?ガードの上からでもそれなりのダメージがあってもいいものなのだが、豪牙には全く効いていないようだ。

「くっ!嘘でしょ!?」

豪牙が、アレクの出すパンチに合わせて拳と拳をぶつけ合ってくる。アレクは、体格差と反動で、かなり後方まで吹き飛ばされる。辛うじて受け身を取り何とか体勢を整える。

「森の長様、怪我はありませんか?思わず力が入ってしまいました」

見事に吹き飛んだ姿を見て、心配になり声をかける豪牙。

「心配はいらないけど、豪牙に遠慮してたらすぐやられちゃうね!少し待っててね」

アレクは、豪牙のカウンターでヒビの入ったガントレットに「お疲れ様」と声をかけて、魔法鞄に片付ける。そして、狂化強靭薬を服用する。5分間理性失い、5分後全身の複雑骨折を代償に、あり得ない力を得る薬である。

「理性は保てているね!これならいけそうだ!身体強化、武功、魔装甲」

ちなみにMK2を使わないのは、寝込んでしまうので、流石に模擬戦でそのような代償までは負えないと考えたからだ。

「では、私も少し力を上げるとしましょう」

豪牙は、まだまだ余裕なのか?ちょっと能力を高めるだけで、狂化強靭薬、身体強化、武功、魔装甲といった強化のオンパレードをしているアレクに対抗できる自信があるらしい。

「行くよ!加具土命カグツチ

いきなりの化身のような存在を具現化したものを豪牙に向けて放つ。しかし豪牙は、パンチ一発で簡単に、アレクの必殺魔法でもある加具土命カグツチを消し去るのだ。

「豪牙、こっちだよ!」

豪牙が、加具土命カグツチへ気を取られている瞬間に、アレクは背後を取る。アレクは、完全に反応できないだろうとパンチを繰り出す。しかし豪牙は、見えていないはずにも関わらず、簡単に避けてからアレクの腕を掴み投げ飛ばすのだった。
しおりを挟む
感想 2,143

あなたにおすすめの小説

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。