チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
上 下
326 / 821
第5章 日常を脅かす敵と求める豪牙

第440話 呪術師の最期と平和な世界!

しおりを挟む
アレクは、ノックスの助言通り一撃で決めるつもりで、上空から攻撃を仕掛ける。

加具土命カグツチ

加具土命カグツチとは、火の化身のような存在を具現化したものである。放つと一瞬にして辺り一面が焦土と化す。アレクオリジナルの最上級魔法である。そして、加具土命カグツチによって一瞬にして燃え尽きるのだ。

「アレク、ワシの出番はどこにあるんじゃ?」

マンテ爺が不満げな顔をしながら尋ねてくる。アレクは、咄嗟に「あっ!」と言って、しまったといった顔をする。

「ごめん!マンテ爺にやってもらえばよかったね......」

「もうワシは知らん!アレクなんか嫌いじゃ」

マンテ爺は、怒ってしまいそっぽを向く。アレクは、やってしまったと後悔するが、どうしようもないので、帰ったらどうにか機嫌を取らないとなと思う。しかし、そっぽを向いていたマンテ爺が、アレクの方を真剣な顔付きで急に向くのだ。

「アレク、気をつけるんじゃ!まだ呪術師は死んでおらんぞい!そこじゃな!黒放電之宴ブラックスパークフェスティバル

黒い稲妻が、呪術師がいるであろう場所目掛けて放たれる。地面に当たった直後凄い音が鳴り響く。

「次から次へと鬱陶しい!死の呪音」

呪術師は、アレクとマンテ爺の攻撃を食らっても無傷だったのだ。そして、土から這い出てくると呪いのスキルを発動する。辺り一帯に邪悪で不穏な音が鳴り響く。

「マンテ爺、気持ち悪い音だね。それより、どうやって倒そうか?」

「この音は、悪に満ちておるわい。食う気も起こらんわい!そうじゃな、倒し方が迷うのぅ。魔法が無効化されるなら物理攻撃はどうじゃ?」

アレク達は、死の呪音を受けながらも薬のお陰で平気そうに呪術師の倒し方を話し合う。

「何故、死の呪音を受けて平気でいるんだ!俺の全てをかけた即死級のスキルだぞ」

呪術師は、アレク達が平気そうにしている姿を見て驚きを隠せずにいる。

「マンテ爺のやり方を試そうか!よし!マンテ爺、元の大きさに戻って二人で殴り飛ばそう」

「やっと暴れ回れるのじゃな。待っておったわい」

アレクは、地面に着地すると、マンテ爺に元のサイズに戻る薬を飲ませる。それからアレクも、身体強化と武功と魔装甲で完全武装する。

「マンテ爺、暴れ回るよ!ボコボコにしちゃって」

「言われずともそのつもりじゃ」

アレクとマンテ爺は、呪術師に向かって物理攻撃という名のただの暴力を振るう。マンテ爺が、爪で切り裂き、アレクが殴る蹴るの連撃を食らわせる。

「ぐはぁっ!どうなっているんだ。俺に触れれば呪われ死に至るはずなのに......ぶへっぐふぉっ」

呪術師が飲んだ液体によって、呪術師自体が呪いの根源と化している。魔法を食らわなかったのも、呪いによる黒いオーラが守っていたからなのだ。

「マンテ爺、物理攻撃は効くみたいだね。でも、この黒いオーラに阻まれて攻撃がうまく通らないね」

物理攻撃のダメージはあるものの、深手を負わすダメージが入らないでいる。だが、着実に呪術師の体力を削っているのである。

「ぐはぁっぐふぉっ!呪いの砲弾」

またまたスキルを発動する呪術師。アレクとマンテ爺に向かって黒い呪いのオーラが襲い掛かり直撃する。

「フッハハハハハ、この攻撃をまともに食らうとはバカめ!呪い苦しんで死ぬがいい!」

呪術師は、アレク達がまともに食らったのを見て、馬鹿笑いをして、やってやったぞといった表情をする。

「なにかした?痛くも痒くもないんだけど!マンテ爺はどう?」

「ワシも、平気じゃわい!こやつの馬鹿笑いが不愉快なだけじゃな」

二人共、何があったの?といった様子で平然と立っている。

「な、な、なにぃぃぃ!何故呪われていないんだぁぁぁぁ」

呪術師は、何が起こったのか理由が分からずにいる。それもそのはずだ。先程から最上級の呪いスキルを連発しているにも関わらず一切の呪いを受け付けていないからである。

「呪術師相手に対策をするのは当たり前でしょ?何も対策せずに来ると思った?」

「チクショー!お前だな!俺の呪いを全て返してきたのは!もう許さん!俺の死を代償にこの世界ごと呪ってやる」

気が狂った呪術師は、己の全てをかけて、この世の全ての住人を呪い殺そうとする。

「やっぱりお前だったんだな!よくも母上とロイスを危険な目に遭わせたな!世界を混沌に貶める前に決着をつけてやる」

アレクは、呪術師の一言で全て理解し怒りをあらわにする。そして、新技を使って全てを終わらそうと決意するのだ。

「フッハハハハハ、もう遅い!俺が全てを......なんだこれは!ぐぁぁぁぁぁぁぁ」

死を代償に全てを混沌に陥れようとした呪術師が、急に苦しみだしてのた打ち回る。

「え?どういうこと?マンテ爺、なんで苦しみだしたかわかる?」

アレクもいきなり過ぎて理解が追いついていない。

「何故かはわからんが、邪悪なオーラが弱まっておるわい!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ、呪いが、呪いが全て返ってくるなんてぇぇぇ!おのれぇぇぇぇ、ぐぁぁぁぁぁぁぁ......」

呪術師は、王国の民に与えた呪いが全て自分の元に返ってきたせいで、苦しみのた打ち回り、やがて静かになって灰と化す。

「アントンさんが間に合わせてくれたんだね。それにしても、本当に迷惑なやつだったよ」

呪術師の死ぬ間際の言葉で、アントンが全民に薬を供給してくれたのだと理解する。

「本当じゃな!アレク、雨が止んで、空が明るくなってきたわい」

「本当だぁぁぁ!これで解決したんだね。マンテ爺お疲れ様ぁぁぁ」

呪術師が死んで、黒い雨が止んで、空が明るくなって無事平穏を取り戻すのであった。
しおりを挟む
感想 2,193

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。