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第5章 日常を脅かす敵と求める豪牙

第438話 打開策と呪術師との対決前夜!

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魔物の街の住人の治療を終えたアレク達は、住人全員に家の中で待機することと、やむを得ない事情で外出する際は、ドワーフ特製のローブを着用するように伝えていた。そして、選ばれた魔物達が、住人達の家を回って配給物を配ってなんとか凌いでいる状態であった。そのような対応をしていると、シャニャとアントンが城へとやってきた。

「アレク様、アントン様とシャニャ様が訪ねて参りました。お通ししてもよろしいでしょうか?」

アレクが、執務室でこの呪いの雨をどうしようか考えていると、アントンとシャニャが訪ねてきた。

「入ってもらって」

アレクが、許可を出すと二人が執務室へと入ってきた。

「タカハシ辺境伯、ご無沙汰しております。急な来訪申し訳ございません」

アントンが、頭を下げて謝る。普通なら宰相の方が身分が上なのでしない行動なのだが、それほどに切羽詰まっているのだろう。

「アントンさん、ご無沙汰しております。この非常事態です。構いませんよ。薬の提供と解決策についてのご相談でしょうか?」

アレクは、雨に当たった者の余命が3日ということで、早々に本題を切り出すのだ。その時シャニャは、身分的に今会話に入るのを失礼と考えて待機している。

「はい!その通りでございます。話が早くて助かります」

「薬の準備は出来ていますので、今すぐに持っていって下さい。あとドワーフ特製のローブを10着用意しますので、必ず着用して治療に当たって下さい。しかし、解決策はまだ見出だせておりません」

アレクは、予期していたので薬を大量に用意していたのだ。ローブに関しては、大量に作ってはいるが、生産が追いついておらず10着が限界のようである。

「タカハシ辺境伯、本当に助かります!今すぐに王城へ帰還しようと考えています。このお礼は後日必ず!では」

「待ってほしいですにゃ!解決策なら魔王様から伝言がありますにゃ」

アントンは、矢継ぎ早に帰還しようとしたが、そこにシャニャが話に割って入ってくる。

「え?シャニャどういうことなの?」

「どういうことでしょうか?」

アレクとアントンは、解決策があるということを聞いてシャニャに詰め寄る。

「にゃにゃ~待つにゃ~近いにゃ~」

目の前まで迫る二人に慌てふためくシャニャ。だが、アレクとアントンは至って真剣なのである。

「シャニャ、早く教えて!」

アレクは、お構いなしにシャニャへ更に詰め寄る。

「わ、わかったですにゃ!だから離れてほしいですにゃ」

シャニャは、アレクを両手で押して突き放そうとする。

「あ!ごめん!シャニャ、解決策と聞いて居ても立っても居られなくなっちゃったよ。離れるから詳しく教えて」

「にゃ~驚いたにゃ~!ふぅ~......伝言を伝えますにゃ!これを使えば呪術師の居場所がわかるとのことですにゃ」

シャニャが出してきたのは、ランプ型の魔道具であった。

「これが、呪術師を見つける道具なの?」

アレクもアントンも、こんな何の変哲もないランプで見つけ出せるのかと疑問に感じてしまう。

「魔ノ国の方いわく、呪いを吸収して、呪術師の下に案内してくれると聞きましたにゃ。それ以上は、よくわかりませんにゃ」

シャニャは、聞いた話をそのまま話すが、アレクもアントンも実践していないので、どうなるのか、よくわからずにいる。

「アントンさんは、至急薬を持って王都に向かってください!この呪いは、余命が3日です。取り返しがつかなくなる前に向かってください。呪術師の方は、私が対処します」

「ありがとうございます。解決した際は、必ずお礼と薬の代金をお渡し致します」

アントンは、頭を下げて感謝の意を述べる。

「パスク、薬の用意をしてアントンさんに同行して!」

「はい!畏まりました。では、失礼致します。アントン様、こちらになります」

そう言ってパスクは、アントンを薬の保管場所に案内をして、そのまま王都に向う。

「じゃあ、早速試そうか!マンテ爺、捕まえに行くときはついてきてね」

いつも通り、寝そべっているマンテ爺に声をかけるアレク。

「なんじゃ?久しぶりにワシを連れて行く気になったんじゃな?もう忘れられたかと思っておったわい」

アレクは、街を作ることを優先していたので、マンテ爺のことを全く相手にしておらず、マンテ爺は少し拗ねたように返事をする。

「ごめんね!忙しかったからさ!これからは、マンテ爺との時間も作るからね」

アレクは、マンテ爺前で手を合わせて謝る。

「別にええわい!ワシは、一人でのんびりしとくんじゃ」

完全に拗ねてしまったマンテ爺。

「あちゃ~どうしよう......マンテ爺がいてくれたら、心強かったんだけどなぁ。でも、こられないなら仕方ないよね」

すると、マンテ爺の耳がピクピクと動く。どうやら聞き耳を立てていたようだ。

「うむ!仕方ないのぅ。今回が最後じゃぞ」

「ありがとう!マンテ爺~」

アレクは、マンテ爺をワシャワシャして撫で回す。マンテ爺は、「やめんか!」と言うが顔は満更でもない様子なのであった。
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