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第5章 日常を脅かす敵と求める豪牙

第434話 ロイス生死の境を彷徨う!ドス黒くもやの正体とは!

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セバスに案内されて、ロイスが寝ている部屋へと向かう。そして、廊下を歩いていると、ヨゼフとカリーネが正面からやってきた。セバスが、事前に知らせたのだろう。

「アレクちゃん、待っていたわよ。ロイスは、大丈夫かしら......」

カリーネは、心配した表情でアレクに尋ねる。

「お母さん、まだ診断してないからなんとも言えないよ」

「そうじゃぞ!アレクに全て任せて、ワシらは願いながら見守るんじゃ」

ヨゼフが、カリーネの肩を抱いて支えながら言い聞かせる。

「そ、そうね......でも私を庇って、こうなったんだもの。耐えられないわ」

カリーネは、今にも倒れそうなくらい心配と罪悪感にさいなまれて、いてもたってもいられなくなっている。

「旦那様、カリーネ様をお願い致します。アレク様、こちらです。参りましょう」

セバスは、カリーネのことが心配なのだが、それよりも生死を彷徨うロイスをいち早く診て貰おうと案内する。

「うん!早く診てあげないとね」

「カリーネは、任せるんじゃ。アレクは、ロイスに集中しとくれ」

ヨゼフは、カリーネを支えながら後をついてくる。そして、暫く歩くと隔離されている部屋に着く。

「ここが、その部屋になります」

セバスは、そう言って部屋のドアを開ける。開けた瞬間、なんとも言えない陰気臭い空気が漂っているのだ。

「みんなは、部屋の外で待っていて。感染するものなら大変なことになるから」

そうしてアレクは、一人で部屋の中に入っていく。みんなは、ドアの前で大丈夫だろうかと見守る。それからアレクは、ロイスの寝ているところに行き、診断を開始するのだ。

「これは、酷い......診断」

アレクが見たものは、肌がドス黒くなり、今にも呼吸が止まるのではないかというロイスだった。

「やっぱり呪いだったのか......」

診断した結果は、呪術師による最上級の呪いだと判明した。アレクには、エリクサーがあるので、治すことは簡単なのだが、エリクサーは使わずに、全知全能薬学である薬を検索する。

「ロイス団長、悪いけどもうちょっと耐えてくださいね」

アレクは、呪いを返す薬がないかを探している。しかし、ロイスは息絶え絶えで残された時間は僅かなのだ。

「あ、あったぁぁぁ!ロイス団長、すぐに作るから待っていてください!」

やっと見つかった薬を作るために、薬素材創造で素材を生み出して、調合ですぐさま作る。慣れたものであっという間に出来てしまう。

「ロイス団長!ロイス団長!これを飲んでください!すぐに回復しますから!口を開けてください」

アレクは、必死でロイスに呼びかける。もういつ死んでもおかしくない状況なので、最後の力をどうにか振り絞ってくれと願うのだ。

「あ、アレク様......」

ロイスは、アレクの願いが通じたのか?ゆっくりだが、反応を見せる。アレクは、これを逃せば二度とロイスを復活させる機会はないだろうと思い、口元にポーション瓶を持っていき、飲ませようとする。

「ロイス団長、飲んでください!飲まなきゃ死にます」

そう言うとロイスは、ゆっくり口を開く。そこにアレクは、薬を流し込む。すると、ロイスは最後の力を振り絞り、ゴクッと薬を飲む。その瞬間、黒いもやがロイスから抜けていく。その後黒いもやは、壁を貫通してどこかに消えてしまうのだった。

「これで、一安心だね。あとは、体力が回復するのを待つのみだよ。ロイス団長、よく呼びかけに応えてくれましたね。仕返しは、出来たからゆっくり寝てください」

ロイスの肌からドス黒い色は消えて、綺麗な肌色へと戻る。

「アレクよ、もう入ってよいかのぅ?」

ヨゼフが、ドアから顔を覗かせてアレクに尋ねる。

「入って大丈夫だよ」

それを聞いたみんなは、一斉に部屋へと入ってくる。そして、ロイスの安心しきった表情とスヤスヤ寝ている様子に、一同が安堵の表情を見せる。

「アレクよ、あれはなんじゃ?急に、体から黒いもやが飛び出したかと思うと、どこかに飛んで行きおった」

ヨゼフが、先程見た物がいったいなんだったのかと尋ねる。

「あれは呪いだよ。最上級の呪いが付与された呪いの刃物だったんだろうね。今頃は、呪術師の下に呪いが返っている頃だと思う」

「なんと!呪いじゃったか!それも最上級とな?最上級の呪いを操れるのは、ごく一部の呪術師しかおらんわい!見つけ出すのは容易かもしれんのぅ」

ヨゼフは、ロイスに呪いをかけた者を許すつもりはなく、すぐにでも探し出そうと思うのだ。

「呪術師に関しましては、こちらでお任せくださいませんか?陛下から犯人を探す際は、どのような手段を使っても見つけ出すようにと、全権を与えられております」

「ならば、ルーヘン殿に任せるとしよう!頼んだのじゃ」

ヨゼフは、国が捜査をしてくれるなら、すぐに犯人が見つかると考えて、全てをルーヘンに任せると言う。

「はい!お任せください!必ずや呪術師を探してみせます」

「ルーヘンさん、呪術師を見つけるなら早い方がいいですよ。今頃、呪いを受けているだろうし、数日後には死んでしまうと思います」

「それはいけないね......アレクくん、済まないがすぐに王城へ転移してくれないだろうか?」

アレクの言ったことを聞いて、ルーヘンはいち早く王城に戻って呪術師を見つけ出せないといけないなと思うのだ。

「わかりました。転移で送ります!それと、刺した犯人と呪いがかかった刃物はどうなりましたか?」

呪術師と刺した犯人は、別だろうと推測したのと最上級の呪いがかかった危ない呪具がどうなったのか尋ねる。

「犯人に関しては、王城で拘留中だよ。ナイフは、どのような影響を及ぼすか不明だったから、ヴェルトロ家で保管してもらっているよ」

「そうでしたか!なら王城で呪いのナイフを保管してもらえませんか?今後世に出てはいけない代物なので」

あんな危ない呪具が、もし誰かの手に渡ることがあれば、大変なことになってしまうので、一番厳重な王城で保管してもらうのが一番と考える。

「そうだね。アレクくんの言う通り、王城で保管するのが一番かもしれない。なら早速、呪いのナイフと共に転移をお願いしたい」

「はい!任せてください」

その後、セバスが小さな木箱に入ったナイフを持ってきてくれて、それを持ったアレクとルーヘンは転移で王城に向かうのだった。
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