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第3章 豪牙の新たな力

第421話 第2ラウンド!決着と代償!

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「やっと名前で呼んでもらって嬉しいんだが、あまり時間がない。早速、始めるぞ」

ノックスは、折れた剣を鬼人の王に投げる。そして、鬼人の王が弾いたタイミングで懐に潜り込み、腹へと一撃を食らわせる。

「一瞬ヒヤッとしたぞ!」

鬼人の王は、黒い方の手でノックスの拳を受け止めている。

「ならこれでどうだ?」

そう言った瞬間、鬼人の王が吹っ飛んで防御結界に激突する。

「俺の真似か?確かに効いた......」

鬼人の王は、腹を押さえながらゆっくりと立ち上がる。

「さっきのお返しだ!完璧とはいかないがな」

ノックスは、鬼人の王が放った衝撃波を真似て、即座にコピーしたのだ。だが、完成した技ではないので鬼人の王ほどのダメージを与えるまでにはいかないようだ。

「フッハハハハ、まさかこの技を放てる人間がいようとはな!愉快だ!ノックス、我も時間のようだ!そろそろ決着をつけようではないか」

急に鬼人の王は、何かを感じたかのように悲しい顔をしながら語り始める。

「俺も同じくそろそろ限界を迎えるだろ。決着といこうか」

ノックスも、狂化強靭薬のリミットが迫っていることを感じる。その言葉を皮切りに、お互いが集中力をMAXにして最後の戦いへと挑もうとする。

「ノックス、行くぞ」

最初に仕掛けたのは、鬼人の王である。大剣でノックスに斬り掛かり、ノックスは拳で大剣を捌いて、それに耐えきれなくなった大剣がものの見事に折れる。だが、観客席にいるほどんどの人間が見えておらず、何が起こっているのかさっぱりなのだ。

「やはりこの剣では限界か......フッ、そうだな!剣などでは語れないか!男である以上拳で語り合うべきだな」

鬼人の王は、折れた剣を地面に置くと、単純に殴る構えを見せる。ノックスも、それにつられるように殴る姿勢を見せる。

「おもしろい!原点に戻って殴り合いといこうか」

その瞬間、二人が踏み込んで一気に間合いを詰める。そして、見えない早さで殴り合う。観客席には、殴っているとは思えないような音が鳴り響くのだ。

「愉快愉快!こんな爽快な気分になったのはいつ振りだろうか?この時間がなくなるのが切なく感じてしまうな」

鬼人の王は、笑いながら少し切なそうに語る。ノックスは、その表情を見て、この一撃一撃を大切にしようと思うのだ。

「俺も、本気以上を出せたのは久しぶりだ!鬼人の王、お前のお陰で更に高みにいけそうだ」

ノックスも鬼人の王も晴れやかな表情で、この場を楽しむ。だが、何事にも終わりがつきもので先程まで普通に受けきっていたパンチを、もろに食らう鬼人の王。

「ぐはぁっ!限界か......ノックス、我は消え逝く運命のようだ!最後に一撃の勝負といこうではないか」

「あぁ、わかった」

何かを悟ったノックスは、言葉少なげに返して全神経を拳に集中させる。そして、お互いの拳が顔面へと当たる。それは一瞬の出来事だったが、二人からするとゆっくりとした時間が流れたのだ。

「ノックス、感謝する!ありがとう」

「俺こそ、鬼人の王と戦えたことを誇りに思う。感謝するぞ」

そう言って、二人はその場に倒れ込むのだった。





「ぐわぁぁぁぁ、アレクどうにかしてくれぇぇぇぇ」

ノックスは、ベッドの上で悲痛な叫びを上げている。あの後すぐに、二人は昏睡状態へと陥り、目覚めた時にはこのように激痛に見舞われて大変なことになっているのだ。ちなみに豪牙は、エクストラポーションを飲んだお陰で静かに眠っている。

「無理ですよ!エリクサーすら効かないんですから!あんな無茶をした代償です」

目覚めてすぐにエリクサーを飲ませたのだが、書かれていた詳細通りどのような薬すらも効かなかったのだ。

「万能薬じゃないのかよぉぉぉ!クソ!いてぇぇぇ」

「一応万能薬になっていますが、師匠のしたことは未知数のことでわからないんですよ!ゆっくり休むしかありません」

「クソォォォォ」

ノックスは、悲痛な叫びを上げてもがき苦しむのであった。
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